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肉がね、丸見えになると血抜きすればピンクと白になる。

それは筋肉や肉がピンクで白は脂肪のコントラスト。美しいものは新鮮で芸術作品のようだ。

分解する時は関節に沿ってこうグルっと刃物で丸く切って行く。

見て良し、食べて良し。肉とは何と素晴らしいものなのだろうか。





果たしてピンクと白の色は他の物でも芸術作品として成り立つのであろうか。私はじっくりと熟考した上で別の素材を使って表現してみる事にした。

発泡スチロールを使って溶かして見る。色を塗ったり、水に浮かべてみたり。

もしも肉が腐り溶けてガスが溜まり、皮が表面張力でパンパンになった所にぷつん、とナイフや針でつつけば、皮はめくれて裏側が剥き出しになるだろう。その時、まだ肉は美しさを保ったままでいられるだろうか。

それとも醜い外見と腐臭を撒き散らして不快にさせたり、命の尊さを思い知らせてくれるのであろうか。そんな失われた命ギリギリの造詣を表現してみたくなったのだ。そうすると少し茶色がかっている場所があっても良いのかもしれないな。

発泡スチロールと炎で格闘した。思い切った思い通りの物が出来上がったと思う。出来上がった作品を眺めながら、細部を少しずつ調整する。本物とも見まごうばかりの、我ながら素晴らしいクオリティで出来た気がする。

「一人で眺めるだけで収めておくには惜しいなあ…。」





作品を展示出来るかどうかを審査してくれる調査員に、警察を呼ばれる程のクオリティで、嬉しいやら警察に説明するのがめんどくさいやら色々あったが、何とか美術展の展示へと漕ぎ着ける事が出来た。

正直言って実際の生物だったりましてや人間なんかでこんなものを作りたいとは思わない。これは芸術作品としてのフェイク、もしくは別の素材でその存在感、リアリティを持たせる事に意味があると思っている。

観覧者の中には、気持ち悪そうに口を押さえて通り過ぎる人もいた。それぐらいのインパクトを、心に爪痕を残せたと言う事だ。まずまず自分の中では満足出来た結果だと思う。





美術展が終わり片付けて持ち帰ると、いかにも自分が何のために作ったのか、私は狂ってしまったのでは無いかと言いようのない狂気じみた自虐的な喜びに満ち溢れていた。ワインボトルを片手に、芸術作品を眺めながら、その痛々しさすら感じさせてくれるクオリティに惚れ惚れする。





突然。





抑え込んでいた欲求が溢れ出すように湧き上がって来た。いけない。そんなことをしてはただでは済まない。止めろ。止めるんだ。

頭の中の善心とは裏腹に何かに誘われるように立ち上がった私は、鋭利なナイフを手に取った。
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