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完全フィクション
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何を思ったか、砂漠横断なんて旅行を選んじまったせいで、ただいま、絶賛遭難中。
頼りの車は壊れるわ、水は尽きるわでとりあえず冷静ではいられない。

喉が渇く・・・。呼吸をするたびに喉が焼けるような暑さなのはどうにかならぬものか。
布で覆えば何とかなるとも思ったが、それでも気休め程度にしかならない気がする。
ボクサーが体重を絞る時は、最初に食べ物、次に飲み物、最後に水しか考えられなく
なると言う話があるが、まさに今それを実感していた。

「み・・・ず・・・。」

正直言って思考は良く回るけど、歩くのも寝るのも億劫だ。
これで夜は凍るような寒さになるのだからタチが悪い。
丁度良いと言う加減を知らんのかこのバカ砂漠は。

まあいいよ。暑くても寒くても。どちらにしろ何とか布で我慢できるぐらいにはなるから。
問題は水だよ。水!喉の渇きだけはどうにも耐えられない。かと言って
地団駄踏んで転げまわっても、暑くなるだけ、喉が渇くだけ。

絶望に近い諦観溢れる脳内は、段々と考える事すら億劫になって来た。
もう随分長くオアシスらしきものが見えていて、そちらを頼りに歩いているけど、
まさに神のいたずらか、あれが話に聞いた蜃気楼なのだろうな。

まるで夢でも見ているかのようにフラフラと水を夢見ながら、ひたすら歩く。
めんどくさくなって手荷物も全て捨てて来た。いつか同じように遭難する
人間や、通りすがった同士の誰かが役にでも立ててくれれば良い。

今は水だ。とにかく水が欲しい。他には何もいらない。水!水!水!

「み・・・ずぅ・・・。」

遂にバッタリ倒れてしまった。目もかすんでまともに見えない。
暑いけれどもうこのまま目を閉じてしまった方が楽になれる。
頭も痛くなっていたが、段々ぼーっとして来て良くわからなくなった。
もう、どうでも良いよ。こんな事をした自分がバカだった。最後に水が飲みたかった・・・。



おやすみなさい・・・。



ん?



何かが視界の端を横切った。



「な・・・んだ鳥・・・か・・・。」



あれ喰ったら美味いだろうな・・・それより水が欲しいけど。
生き物が見れただけでもよしとするか・・・。




・・・生き物?




「ま・・・さか!」




心なしか、オアシスが近く見える!

そこからは、全精力を振り絞って歩いた。
夢じゃない。オアシスだ!水!水!水!

どのぐらい時間が経ったのかわからない。
欲望のままに水をたらふく飲んで、吐いて、また飲んだ。
これからどうなるかわからないけど、とりあえず眠ろう。
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ったく・・・どうしようもねーな。

なんだこれ。くだらねー。

馬鹿じゃねーの。見てらんない。

うわー良くこんなの公開して恥ずかしく無いね。

はははっワロス。

毎日毎日、キーボードを叩きながら、罵詈雑言を書き込むのが楽しかった。
自分では何も出来ないくせに、悪口を書く手間だけは怠らず、
まるで自分が批評家にでもなったような、そんな気分で。

もっと言えば、この誰もいない空間で人の反応がどんな形にせよ
返ってくるのが本当に嬉しかったから。もう何年も家族とすら話していない。
飯を喰い、排泄するだけの毎日。シャワーを浴びる事もあるが、湯船には入らない。

鏡も見ていないけれど、きっと病的な顔が映る事だろう。
ごくつぶしやにーと、引きこもりなんて言葉が頭を掠めるたびに、
自分でも抑えきれないぐらいの奇声を、ベッドの中で上げる。

俺は来るってしまったのかもしれない。何も生み出さず、消費していくだけ。
俺には才能も無い。根性も無い。努力が嫌い。最低の人間だ。
もしかしたら人間ですらない。ただのゴミだ。自分がそんな人間だから、
他人を貶すのに何の躊躇もしない。普通の人間なら思い留まるだろう。

ありがたい事に巨大掲示板では俺の同類が、どれだけいるのかはわからないが
同じ時間を過ごしてくれている。画面や電気信号を通してもそれが俺の唯一の
ぬくもり。人間だって脳からの電気信号で動いているんだ。機械と何ら変わらない。

たまにどうしようもなく虚しくなって、涙がボロボロと零れる事もある。
本当は生産的な人生を少しでも送ってる人達が本当に羨ましい。
俺もそんな風に生きてみたい。外に出る事すらなくなった俺は、
後はこの場所で死んでいくしか無いのか。嫌だ。もっと幸せになりたい。

何をトチ狂ったのか、暇だけはいくらでもある。何の気無しに片っ端から登録、
文章に、音楽に、画像に、動画に、色々なものを投稿し始めた。

最初は反応なんて無かった。こんなものかと舌打ちをして、
何も続かない俺はたったそれだけで全てを諦めてしまった。

同じ生活を続けて、数ヶ月が経ったある日。いつものように罵詈雑言を
掲示板に書き込んで、満足してから、ふと色々と登録していたのを思い出した。

どうせ感想なんて書いて無いだろと、半ば冷やかし気分でIDとパスワードを入力。
するとどうだろう。一件だけ、感想が書いてあった。

『面白かったです。』

面白かった?人を否定する事しか出来ない俺の作品が?










笑いながら泣いた。
若くして親父が死んでしまい、墓に手を合わせた。

桐箱に入った代物。親父が遺言と共に遺した物だ。

俺には見知らぬ誰かの思い入れのある物に触ると、
付喪神化させてしまう能力が備わっている為、
むやみやたらに触れないのでこうしてある。

普段なら何かしらの依頼を受けて、
落し物や忘れ物を届けに行くのだが。

親父は孤児院で育ったそうだ。クラスメイトだった友達が、
両親に買ってもらったプレゼントを学校で自慢していたらしい。
桐箱に入った代物を見た俺は、何でそんな物を学校に持って
行ったのか、理解に苦しんだのだが。

天涯孤独の身だった親父は、嫉妬からその代物を
盗んでしまったと言う。しかも悪い事に翌日、
その友達は突然転校してしまったそうだ。

何でも両親の不仲が原因だったと後で知る事になる。
親父は死ぬまでそれを後悔していて、息子である
俺に、最期のワガママだと尻拭いをさせる魂胆だった。

罪悪感もあるだろうが、生きてる内に自分で返しに
行って謝るなりすればいいものを。今更こんなものが
戻って来ても、相手は大の大人だ。喜びもしないだろう。

小学生の自分は、能力のせいでニヒリストになってしまったせいか、
どうにもランドセルなる物を背負うのは恥ずかしかった。

親父の都合で巻き込まれた代物に、直接尋ねてみる事にする。
桐箱から代物を取り出し、手に取って付喪神を呼び出す。

「こんにちは!」

「…こんにちは。」

「僕の新しい持ち主?」

「残念ながら違う。訳あって君を元の持ち主へと届けに行こうと思ってる。」

「人間達の時間では、もう随分経ってるよね?僕の事覚えてるかな?」

「俺は本人じゃないからわからないけど。」

「もし差し支えなければ、案内するから僕を倉庫にでも戻してくれないかな?」

「君が望むのであれば、そうしようと思ってる。」

それから戻す家に行くまで、色々な話を聴かせてもらった。
前の持ち主の話だ。転校する前から、どうやら辛い思いを
していたらしく、祖父母の家に預けられたりもしたのだと言う。

親父もわざわざそんな友達を選ぶ事も無かろうに。
もしかしたら、元の持ち主にとって、両親との
確かな繋がりだったのかもしれないな。それを
買ってもらって、学校に持って来てしまうほど
嬉しかったのかもしれない。それが当時の親父には
眩し過ぎて許せない対象に見えてしまったのだろう。

目的地に着くと、付喪神は代物に戻った。
音を殺して鍵を開け忍び込んで、
倉庫にそっと戻しておいた。

古ぼけた黄色いシャンプーハット。
キミの瞳は一万ボルト・・・いや、死ぬから。なんて考えてたのも若かりし頃か。

「例えばね。街を歩いてるとするでしょ。」

「うん。」

「まあ、なんだろう。不良って死語かもしれないけどDQNとかそういう人とかが口笛吹いちゃうぐらいのイイ女がいたとするじゃない。」

「キミの表現がいちいち古いのは置いておくとして、それからどうした。」

「それで目を引くような素敵な・・・。この際露出が多くても良いけど、とにかく、誰もが目を奪われるような格好をしていたとしてね。」

「ファンタジーになって来たけど・・・うん。」

「その人の顔がもう笑っちゃうぐらい、自分の好みだったとするよね。」

「白馬の王子・・・いや、お姫様かっ!・・・それで?」

「で、目が合ったとして、それって一目惚れ・・・なのかな。」

「んー・・・。なんか私が言うのもなんだけど、純粋なソレとは何かが違う気がする。」

「だよね。」

「うん。」

「で、今のは例え話で。」

「・・・うん。」

「ウチの学校の制服が好きなわけ。結構それ着てるだけで五割り増しに見えるぐらいに。」

「それを着てる異性に対して堂々と性癖を暴露するキミは凄いな。・・・で?」

「まあ、会っちゃったわけですよ。自分の超好みの女の子。顔も好みならスタイルも好み。高嶺の花かなーなんて思ってたら結構フランクで、話し易くてね。」

「へー。おめでと。」

「ありがとう。で、もう毎日が楽しくてね。その人とばーっかりしゃべってるんだけどさ。もう本当に毎日が幸せなわけ。」

「・・・・・・・・・うん。」

「最初から好きだったんだけど、これって一目惚れだと思うんだ。」

「・・・・・・・・・。」

「でね。ついに最近気持ちが抑え切れなくなって来て。我慢出来なくなって来ちゃったw」

「・・・・・・・・・ちょっと待て。」

「何?」

「・・・・・・・・・それって・・・・・・・・・・・・・・・・・・いいよ、続けて。」

「でもさ、さすがに本人目の前にすると、情けない事に勇気出無くってさ。」

「・・・・・・・・・がんばれ。」

「うん。もっと応援してくれる?」

「・・・・・・・・・男だろ!勇気出せよ!」

「キミのそういう所が好き。」

「・・・・・・・・・わかんなかった。」

「付き合ってください。」

「はい。て言うか先に言われた。」

「え?」

「先に言われた!くやしー!」

後で聴いて見ると、彼女も最初から好きでいてくれて、いつ言おうか、自分の勇気の無さを悩んでくれていたんだって。
森の中を歩いていた。

こうやって言うとまるで何か木漏れ日に溢れた・・・そういった美しい光景に清々しさを感じる輩も多いのだろうが、自分は逃げ込むようにハッパを吸いに来ていた。

色々な事が嫌になって、森の中に逃げ込んでみた。煙草を一服する所だが悪い事にデニムのポケットに紛れ込んでいたのはあろうことかハッパだった。この流れから言って、まずは貴兄の期待を裏切っているであろう事を謝らなければならない。

まあ、謝った所で何が変わるわけでもないのだが・・・。

すぐに逃げ出したくなる割に面倒事を背負い込んでしまうタチの自分には、この日課がストレス発散に随分と向いているらしく、依存するかの様に、それでいてバラバラな時間帯に森の中へと休憩を取りに来ているのだった。

気の利いた椅子や机なんぞが木漏れ日溢れる森の中に存在しているはずもなく、適当な老木を探しては根元に座り込んで、申し訳無い気分で寄りかからせてもらってハッパを一服。

するとどこからか笛の音が聞こえて来るのだ。ん~・・・この音はフルートかな。

深い緑に染まった音符が木漏れ日をあざ笑うかのように飛び交い、挨拶を交わす。その光景が非常に可笑しくて、笑いながら音符の母親を探しにゾンビのようにフラフラと彷徨う。

音が止まったな。

「・・・どちら様ですか。」

未だ見えぬ姿の主が声を上げた。母親発見。

「はじめまして。しがないスモーカーでございます。」

ピエロのように大仰に挨拶してみせる。そこにいたのは美しい・・・若い、もしかしたら子供と呼んでも差し支えの無いような・・・シフォンのワンピを身にまとった女の子が、フルートを片手に立ちすくんでいた。

「それ、煙草じゃないですよね?」

怪訝な顔で訪ねる彼女に、紫色の煙で応える。

「何もしやしない。あんたの生んだ綺麗な色の音に導かれてやって来ただけだよ。何だっけ?」

「・・・・・・?」

「さっきの曲。」

「J.M.ラヴェルの『ボレロ』です。」

「そうか。教えてくれてありがとう。差し支えなかったら、続きを聴かせてくれないかな。」

彼女は少し後ずさった。彼女の挙動に目もくれず、適当な老木に寄りかかって、ハッパをふかす。こちらを警戒しながらも、スイッチが入ったのか、目を閉じて続きを奏でる。

「深い緑に染まった子供達が楽しそうだ。」

こちらの言葉が聞こえたのか聞こえてないのか、彼女は少し目を開けてこちらに一瞥をくれただけで、止める事無く演奏を続けた。
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