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完全フィクション
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あなたの心の周りにガラスの壁があって。
どうやったってその壁は壊せそうにない。

壊そうとすればそれはあなたを傷つけることになり
何よりも私自身傷ついてしまうのだと思う。

だからこうしてガラスの外から眺めながら
あなたの心を眺めながら。洗練された光を。

何度か気まぐれに照らしてくれたことを思い返して
それ以上にふいに垣間見た光を思い返して
だからこそ届かないだけに心を眺め続ける。

あなたには信じられないかもしれないけれど
私の足元はぬかるんでいて、それは抜け出し
たくても抜け出せない底なし沼。

私だって好きでここにいるわけじゃないんだよ。
あなたのようにその地面に根を這わすかのように
しっかりと踏みしめて立つことが出来たのなら。

そこから見える世界は私の見てる世界と違うみたい。
でもそれでいい。いつか必ずサヨナラする日が来るから。

繊細とか弱小とかでもなく傷だらけの身体を抱き締めて
ここから私はあなたを眺めている。ガラスの壁を挟んで。

心配しなくても大丈夫だよ。もうあなたに迷惑はかけないから。
私がここからあなたを見つめることが迷惑なのだと思うけれど。
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今日は小説家の家に遊びに来た。
彼がしょっちゅう執筆しているので、
大概は俺が彼の家に遊びに行く。

彼はいつも背を向けながら、振り向くこともなく
俺と言葉を交わす。それを失礼だとも思わない。
彼は仕事をしているというのに、俺が遊びに行くのだから
逆に俺が失礼に当たるんじゃないかと思っていたが、
どうやら彼もまんざら悪い気はしていないようだ。

「むしろ誰かと会話していた方が、一人で考えて
いるよりもインスピレーションが刺激されるんだよ。」

とは彼の弁。

こうして今日もやってきて、仕上がった原稿を
出来た順に読ませてもらっている。

俺は彼の友達だが、彼の作品のファンでもある。

「いやあ、しかしおもしろい小説を書くよね。」

「そうかい?素直に嬉しいよ。」

「こういった話は実体験に基づいているのかい?」

「かけらを寄せ集めて創作しているだけさ。
ある出来事があったとして、登場人物の反応や
考えが僕の考えと=というわけではないよ。」

「文章の内容と君の心はリンクしていないってこと?」

「しているものもあるかもしれないが、
何しろ創作小説なんだから実体験は
ただのヒントやきっかけにすぎないね。」

「そうか。」

「うん。だから作品の内容が必ずしも僕の思想と
同じとは限らないんだ。よく勘違いする人はいるけどね。」

「確かに自分の考えだけを書いていたら、
同じような内容しか書けないか。」

「そういうこと。」

俺も勘違いしていた一人だな。
と、出された日本茶をすすりながら、
自分とは違う考えのキャラクターを
描く彼に、ますます興味を持った。
基本的に、自分を好きな異性の気持ちは、いつも気付かない。
灯台下暗し?いやいや、表現が違うか。

「あなたのことは大体わかるよ。」

と、ある女性に言われた。なんでだろうと聞き返すと、

「だって好きな人のことは気になってずっと目で追ってるもの。」

ああ、そうか・・・・ってお前もかい!
これって告白みたいなもんだよなぁ。
でもここまでハッキリ言われないと
なかなか気付かないもんだね。

と、言うことは自分の愛するあの人のこともわかる?
もしかして俺の予想、当たってるかなぁ。
当たってるのだとしたら、あの挙動不審な?言動は
かわいい嘘をついていたと言うことになる。

・・・・・そういえばあの時の反応は少し過剰だったような・・・・。
もしかして・・・・もしかして?そうだとしたら目にしていた他人が
実はあの人だったということになる。ちょっと驚きだ。

何が本当で何が嘘なのかわからないけれど、
あの人のことで頭を悩ませ続けている自分は、
取り越し苦労と言うことなのかしら。

希望的観測は絶望を併発するから極力避けておきたいけど。
自分を隠すことで安心を得られるのならば、
所詮それはそういう関係でしかない。

何もかもをあけすけする必要はないし、
何よりも相手に対して100%見せることは不可能。

見せてもそれが自分の意図しない捉えられ方をしたら、
それはそれで100%ではなくなってしまう。

相手を知りたいから、私は相手の心という
水面に一石を投じてみる。わからなければ
二つでも三つでも投じてみる。

それでもかけらほどしかわからないだろう。
こちらの情報だけを開示した所で、
フェアでない関係は信頼すら生まれない。

一方が求めても、絆を双方で深めていかなければ、
全く持って関係は意味を成さない。それだけのこと。

『わからない』という状態は、当然のことながら疑念を生む。
嘆く前に双方がフェアに信頼を生む関係を築けないのであれば
エゴでしかなく、その先に進むことなど到底出来ないのだ。

秘密主義者は、無駄に根こそぎ関係を断絶しているようなもの。
どんな理由があろうとも、隠し続けるなら、信頼は永久に生まれないのだ。


木々の香りが漂う中で、私は眠りから目が覚めた。
おや。昨日は自分の家で眠ったはずなのだが。

小鳥のさえずりが聴こえて、辺りには自然しか見当たらない。
少し周りを探検して見ても、同じような所をぐるぐると
歩いているような感覚に陥る。まっすぐ歩いているつもりなのに。

一時間ほどして(何故かはめていた腕時計で確認。)泉に辿り着く。
喉が渇いたので、少しためらったが澄んだ水だったので喉を潤した。

切り株があったのでそこに腰を下ろして、休むことにする。
しかし何もない。夢でも見ているのだろうか。うららかな日差しと
小鳥のさえずりだけがこの空間を満たしている。

はて。そういえば季節も真夏のはずだが、心地良いぐらいに暖かい。
しかしながらあまりに気持ちよいので段々と気にならなくなり、
そのままうとうとと眠ってしまいそうになる。

きっとここで眠りに就けば、次に目が覚めた時は家だろう。
楽観的に考えて、夢かどうかもどうでも良くなり、瞼を閉じた。
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誕生日:
1987/01/14
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フリーター
趣味:
音楽鑑賞
自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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