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完全フィクション
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そういえばもう何年も経つ。

あの場所に立って彼女と話していたのが嘘のようだ。

それは当たり前の日課だったし、

あの頃はまるで今のような状況に置かれるとは思っても見なかった。

僕は歌を歌っていた。

彼女はそれを聞いて僕に声をかけてくれた。

別に僕の歌が好きだったわけでもなく

声が好きだったわけでもないらしい。

なんとなく、だそうだ。

彼女と過ごす時間は単純に楽しく

彼女の前で歌うのはもしかしたら

自分が一番自然に歌えている時だった。

彼女のことは名前ぐらいしか知らなくて

いつもそこに行けば出会えるだけの存在だった。

彼女は一度だけ僕の歌を好きだと言ってくれた事がある。

それは僕好みの歌でもなく、僕の作った歌でもなく。

歌の技術を見せ付けるような歌でもない

ありふれた特に何の特徴も無い歌だった。

次の日、彼女はそこに来なくなった。

彼女がいなくても、ああ、いなくなったんだとしか思わなかった。

どうして来なくなったのかはわからないが

何故か何かあるたびに僕はここへ来てしまう。

最後に彼女が好きだと言ってくれた他愛の無い歌を口ずさむ。

恋でも愛でもないかもしれないけど、

ここに確かに彼女との絆があった。

ただ、それだけの話。
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君が語ってくれなければ僕は何も出来ない。

僕はただ、君の言葉を待ち続ける。

トラブルの原因はなんだい?

失敗の原因はなんだい?

自分の意思で選んだ道なのかい?

馬鹿だなあと笑って欲しいのか

放って置いて欲しいのか

僕一人と話したいのか

誰かと聴いて欲しいのか

僕は超能力者じゃないからわからない。

何をして欲しいのか読むことなんて到底出来ず

仕事はしているのかなあとか無駄に心配が募る。

僕は家族じゃないから挙動一つで見て取れないけど

話してくれたら楽になるかもしれないのに。
風のやうに 水のやうに

自然に生きていられたのなら

風のやうに 水のやうに

流れのままに生きていられたのなら

風のやうに 水のやうに

生きることは出来ないのだろうか

風のやうに 水のやうに

全ての物が僕を遮り 生きる流れを変えていく

風のやうに 水のやうに

どこまでも流れ行き

風のやうに 水のやうに

死なないでいることなんて出来ないから

風のやうに 水のやうに

・・・・・・・・。

風のやうに 水のやうに
上の空で毎日を過ごしている。
やるべきことがあって、こなしてはいても。
魂はどこか虚ろで、自分が何の為に
生きているのかわからない。

世界は途方もなく広く、様々な人間が混在している。
出会う一人一人とコミュニケーションを
とらなければならず、そしてそれを苦手とする。

人生の目的がどこにあるのかわからない。
それは誰かに設定して教えてもらうものでもない。
だから懊悩する。かと言って答えが出るわけでもない。

人は自分の理論を押し付けたがる。
自分の話は聴いてもらいたいが、
人の話は聴きたくない。そんなものだ。
人の理論も受け入れることもない。

相談と言う物は大概が答えが決まっていてするもの。
ただ同意が得たい為の確認作業なので
自分と違えば途端に不機嫌になる。

残念だがこれが大半の人間の実情。
聴いているようで聴いていない。
人の言葉や考え、生き方などどうでもいいのだ。

聴いていないから当然誤解も生じる。
そこには理解すらしようとしていない
思考も一つの要因として挙げられる。

こんな世界だから大きな壁を隔てた
孤独を感じざるを得ない。嘘八百を並べ立て
責任逃れの虚言を流布するなんて日常茶飯事。

こうして自分の考えとは全く違う認識で
人からは評価されてしまうのだ。

言葉を交わしていても、心は通わない。
それこそが本当の『孤独』なのだ。
「お母さんはもう歌わないの?」

「歌わないわよ」

「なんで?あんなに上手じゃない」

「素人レベルの話でしょ。自分の実力がプロと比べてお遊び程度のものだって、自分でよくわかってるわ。」

「歌いたくないの?」

「いつだって好きな時に歌ってるじゃない」

「そうじゃなくて、歌手として」

「歌手じゃないから歌手としては歌えないわ。主婦だもの。家族みんなのサポートが出来て、みんなの笑顔が見れて。私はそれで幸せよ。」

「お母さんの嘘つき。」

「嘘なんてついてないわ。」

「私は歌手になるから。」

「やめておきなさい。公務員にでもなって置いた方が経済的には安心よ。」

「お金なんて要らないもん。私は歌手として歌いたい。」

「日本で100番以内に入っても、食べていけないかもしれないのよ?それに、お金はこの世で唯一使える魔法だから。本当に必要な物だとお母さんは思うわ。」

「私にとっては儲ける事より歌うことが一番なのっ!」

「何怒ってるのよ。生半可な努力じゃ歌手になれないわよ。実力以外にも宣伝力や運も必要だし。努力したからってなれるとは限らないのよ。人生を棒に振るかもしれない。それでもいいの?」

「お母さんは、私が歌手になるのは反対なの?」

「あなたが食べていけるなら、何をしていたっていいわよ。」

「・・・・・。」

「お母さんもあなたのように考えていたことはあったけど、人生はそれが全てじゃないわ。もちろんあなたが一番やりたいことをやりながら生活できていくことが大事だけど。後は面倒見てくれるような素敵な男の子でもさがしなさい。あなたがサポートしてくれるようなパートナーがいれば、とりあえずお母さんも安心よ。」

「恋愛なんて興味ないもん。」

「だったらお母さんが何も言えなくなるような生活をして見せてね。そしたらお母さん全力で応援するから。」

「・・・・・頑張る。」

真剣なまなざしで娘の話を聞いていた母親は、優しく微笑んで、愛でるように娘の頭をなでた。
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1987/01/14
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自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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