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完全フィクション
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路地裏の掃き溜めに人は生きる。

人だかりが出来ていた。もう耐えられ無い。
この現状を打開する為に、俺達は立ち上がら無ければならない。

「動かなきゃダメだ。」

誰かが呟いた。そうだ。このままじゃあ俺達は
ゴミと同じ扱いのまま死んでいくだけなんだ。

もちろんこの掃き溜めのような裏通りに
愛着が無いわけじゃないが、ここを出たい、
俺達は真っ当な生活がしたいと言う気持ち
の方がはるかに勝っていたのだ。

「俺達は働きたい!何でも良い、仕事を寄越せ!」

遠く極東の国ではニートとか言う親のすねかじりが
働くのは嫌だと駄々をこねのうのうと生きているらしい。

馬鹿か。働いて初めて対価がもらえる。
金が無きゃ生きていけない。
当たり前の事なんだよ。

偽りの自由に甘ったれてんじゃねえ。
働きたい。働きまくりがいい。
対価があれば何だってやってやる。

俺達は人形じゃねえ。ましてやゴミでもねえ。
自分の意思で、働いてまともな生活がしたいんだ。

働きもしないで主張する馬鹿はすっ込んでろ。
俺達が先だ。道を開けろ。義務を果たさない
奴らに権利なんて存在しない。俺達は本当の



自由が欲しいんだ。



もう止まらない。動き始めた人の波は膨れ上がり、
大きな渦となって世界を変えていく。

本当に欲しい物は戦って手に入れるんだ。
日和見な平和ボケはその場で立ち止まってろ。

俺達は先に行く。自分の権利を勝ち取るために。
俺達の生きる場所も意味も、自分自身で勝ち取るんだ。

文句を言うばかりで、自分の事ばかり考えて、
他人は俺達を助けてなんてくれない。

当たり前だ。俺達の人生なんだから。

「行くぞおおおおおおおお!」

さあ行こう。自由と権利のある場所へ。
俺達が生きるべき場所へ。

もうここには戻らない。
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僕は猫です。名前は・・・人それぞれ
呼び方が違うので決まってません。
ミーとかタマとかニャン太郎とか呼ばれたりします。
みなさんも好きに呼んでください。
この間、ここのサーカスに拾われて、飼われています。

今までの生活が野良猫だったので、
サーカスの中の生活は面白いです。
様々な動物や人が一緒に働いています。
人は金を稼ぎ、動物はご飯を稼ぎます。

不思議なんですけど、僕は飼われているので
働かなくてもご飯がもらえます。人で言えば
ニートとか、ペットとか言うらしいです。

この前、ピエロくんがバニーガールさんに告白しました。
でもピエロくんは振られました。バニーガールさんは、
ピエロくんのことが好きなのに、どうしてだろう?
と思っていたら、人と話せない僕に、バニーガールさんは言いました。

「お互い、こんな稼業じゃあ、身なんて固められないよ、ねえ?」

人は言葉が通じないとわかっていながら、話しかけてくる時があります。
もちろん僕たちは人の言葉を理解しているんですけど、僕たちが
人の言葉を話すことは出来ません。そういう喉をしてないからです。

空中ブランコのコンビの人たちは、いつも仲が良さそうです。
もんはんとか言う携帯ゲームに夢中になっているみたいです。
興行が無い時や、練習してない時は、団長に怒られるぐらい
いつもゲーム機ばかりいじってるみたいです。

ナイフ投げさんは、この前やって来たしがないアンテナ売りから
買ったアンテナを立てて、テレビに夢中になっています。

ライオンくんは昼間はいつも寝ています。人に百獣の王って
呼ばれてるらしいけど、似合わないよねって言ったら吼えられました。

ぞうさんはおとなしいけど、大きくて、見ていて何だか安心します。
たまに僕はぞうさんとお話をします。僕の見ていない土地の話や、
僕の見ていない人たちの話をたくさん聞かせてくれます。

団長さんは僕を拾ってくれた人です。ご飯も団長さんがくれます。
団長さんを悪く言う人はいません。お金をもらえるからでは
無いみたいです。ピエロくんは、団長は人徳があるって言ってました。

そんなバラバラの生活をする人たちが一緒に住んで、旅をします。
夜になれば一つの興行の為にみんなでお仕事を頑張ります。

僕はあまりサーカスを見たことが無いけれど、みんなが
頑張る姿を見て、楽しそうに帰っていく人たちを見て、
自分のことでは無いのに凄く満足します。

今夜も、たくさんの人が並んでいます。さあ、開演です。
私は、父に犯され続けていた。

幼少の頃から、それが当たり前だったし、
かと言って嬉しくも気持ち良くも無かった。
子供ながらに、家族だから仕方が無いのかなと思っていた。
他人に他言してはならないと言う父の言葉を守り続けた。

時折繰り返し求める父のせいで、痛くなって
病院に行ったりもした。妙に目立たない、怪しい病院だった。

私には母がいなかった。だから、割と早くから家事全般は
こなせるようになった。父に褒められて、悪い気はしなかった。

母は私を産んで死んでしまったそうだ。
最初からいないから寂しくもないし、親と言えば
父が出て来てくれるので、特に不便さを感じた事も無かった。

学生になって、私に恋人が出来た。初めての経験だった。
身体を重ねる事に嫌悪感は無かったし、そういうものだと
知識では理解していたので、無難にこなした。

ペアのペンダントも買ってみた。私がハートの鍵で
彼がハートの錠。二人で一つ。繋がりを示すには充分だった。

ある日、彼に言われた。

「君は、本当に僕を愛しているの?」

何故そんなことを言うのかわからなかった。
身体の関係もあり、多くの時間を過ごしている。

彼と付き合い始めてからは父に抱かれる事も無くなった。
拒否し続けているので、暴力は増えていたが、痣が出来る程度で
彼への誠実さが守れるなら、特に苦痛を感じる事は無かった。

彼は私を心配していたが、大丈夫、心配ないと彼をなだめた。
最近、左手首に包帯が巻かれている事が気になったが、
話したく無い事を詮索しても失礼かなと思い、聴かなかった。

ある日、家に帰るとたくさんのパトカーと野次馬に囲まれていた。
当然家には入れない。警察に連れて行かれて話を聴いた所、
私のいない間に彼が父の元を訪れ、父を問い質し、
事実を知った彼が父を殺してしまったのだと言う。

彼は彼で、抵抗した・・・と言うか半ば一方的に半殺しに
した父の暴力で、重症になってしまったと言う。

彼も父も、私のいない間に勝手な事をしてくれたものだと苦笑した。
警察に気をしっかり持ってと言われたのだが、特に動揺も無かった。

彼の意識も戻らないし、父もいなくなってしまったので、
つまらない人生だなと思った私は、首を括る事にした。
「ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷらんらんらん♪」

「懐かしい歌歌ってるなあ・・・。」

近所の子供たちが嬉しそうに合羽と長靴を着けて、
水溜りを飛び回りながら歌っていた。

「雨が楽しいなんて気持ち、俺にもあったかなあ・・・。」

思い出してみても、思い当たる節が無い。
と言うか実は、子供の頃の記憶は無い。
特に何があったと言う訳ではないのだが、
記憶喪失のように学生時代まで丸々忘れてしまった。

だからと言って別に何か辛い思いをしたと言う訳でもなければ
孤独だったわけでもいじめられていた訳でもない。

思い出す事は出来ないが、平々凡々な生活であった事は
実感としてある。家族円満。疎遠ではあるが両親も健在だ。

ただ、何か忘れているような気がしてならないのだが・・・。
まあ忘れてしまうような事なら、さして重要ではないのだろう。

コンコン。

ドアをノックする音に、玄関を開けると、友人たちがやって来た。
友人たちは入れ替わり立ち代わり、様子を見に来てくれる。

親のすねかじりであるニートな俺を面倒見てくれるのだから、
何しろ素晴らしい仲間たちだ。いつも通り馬鹿話をしては笑い、
散々世間話から政治に至るまで華を咲かせて帰って行く。
親の金ながら俺はご馳走でもてなし、後片付けをする。

いつの間にか左手首に巻かれている包帯がかゆいが、
何かしら傷が付いているのだろうから、掻かない方がいいのだろう。

洗い終えて一息付き。いつの間にか首に掛けられている
柄にも無いハートの錠型ペンダントを指で弄ぶ。

今日も幸せな一日だった。

何一つ不自由無い生活、規則正しい毎日。些少の怪我はあっても、
特に病気をしている訳でも無い。平穏な気持ちで、眠りに付くのだった。
深夜に創作をしてはいけないと言われた事がある。
ロマンチックな方へと偏りがちになるからだ。

書斎とも呼べない、子供の頃買ってもらって
何十年も使い古した机の上で頭を捻った。

「複合的アイデアって…どうすりゃいいんだ…。」

そもそも、複合的なアイデアとはどういうものか
多分私には理解出来ていない。素人の浅知恵、
下手の横好き。自分を蔑んだ所で答えは出ない。

「お悩み中ですなー。」

いつも家に勝手に来ては勝手に帰る幼なじみがやって来た。

「複合的なアイデアとはなんぞや!」

「なんだあ?また例の小説かあ?」

買って来たプリッツのサラダ味の袋を開けて、
煙草よろしく口の端に咥える幼なじみ。
何かを企んでいるようなニヤリとした顔に
見えて吹き出しそうだったが、そこは堪えた。

「アドヴァイスを頂いたんですけどね…。」

「自分の解釈で書いて見ればいいんじゃねーの?」

ベッドに寄り掛かり、膝をポンと叩いて提案して来る。

「ワンアイデアの作品が多いと言われたんだ。自分なりに、勢いをつけて書く思い付きの文章が、一番ナチュラルで美しい物が書けると思ってたんだ。」

椅子から立ち上がり、幼なじみのプリッツを一本拝借。
幼なじみは文句も言わず、軽く頷いて許可を下す。

「でもそれが単純過ぎて深みが無いと思われたのかも。」

「ま、そうやって試行錯誤して書いてりゃいつかはたどり着けるんじゃ無いの?」

二本目をヒラヒラと虚空に揺らしながら、のたまう幼なじみ。

「失敗を恐れて立ち止まる事の方がマズイだろ。」

幼なじみの話を聞きながら、自分の椅子に戻る。

「いつものやり方が一番気楽で早いんだけどなあ。」

頭の後ろに両腕を回し、椅子でウイリーするように
バランスを取って、天井を見上げながら思案を巡らせる。

「何事も経験。自分の苦手なスタイルでやって見るのも、何か発見があるかもよ」

いつの間にか数本同時に口に咥えた幼なじみ。
ヘビースモーカーかお前は。いや、この場合
プリッツァー?いやイーター?そんなの漫画でいたな。

「ほいじゃまあ、頑張ってみますかね。」

フンッと頭上後部に両手を伸ばして伸びをする。

「おお、頑張れ頑張れー。」

俺が書く体勢に入るのを見越してか、幼なじみが
側にある本棚に手を伸ばす気配を感じた瞬間、
それは突然にして必然、見事な弧を描いた。

ゴスン!

後ろにあるテーブルに、往年のFMWばりに危険な
一人バックドロップを投げっぱなしで放つのだった。










チカチカして見えなかった視界が回復して来た頃、
目に飛び込んできたのは、盛大にプリッツを
撒き散らしながら爆笑する幼なじみ。

笑いたいなら笑うがいいさ。でもな、
その口から吐き出した無数のプリッツは、
ひとつ残らず綺麗に片付けてもらうからな!

コンチキショーめ。
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