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完全フィクション
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さらさらと流れる小川を見つめていると、
足を滑らせて小川に踏み入れてしまった。

何とはなしに川沿いに辿り着いた所で靴と
靴下を脱いでいたので、裸足ではいたのだが。

「冷たっ。」

思っていたよりも水は冷たく、澄んでいる。
ゴツゴツとした石の感触が足裏を伝う。

するりと、水面をさえぎる足首の間を
魚がゆうゆうと通り過ぎた。

「気持ちがいいな。」

秋だと言うのに水は冬のように冷たい。
風邪を引いてしまうかなと、考えながらも
なんだか色々な事柄が忘れられるような気がしていた。

頭の中を空っぽにして、小川を眺める。
珍しく空は雲ひとつない青空で。
何者にも邪魔されない空間が、
心を洗い流してくれるかのようだった。

ふと首を回せば、森林の生い茂る風景も目に入る。
もちろん、この自然すらも人の手によって創られたものだが。

目を閉じて、水の流れと音を楽しんだ。
気の留めていなかったせいか、小鳥のさえずりや
木々のざわめきがこの耳に流れ込んでくる。

そう、まさに水流のように。

リセットは出来ないけれど、焼け石に水でも
心に良い作用をもたらしたのだなと実感した。
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車を走らせながら片腕を出していたら、
いつの間にか肩から先がなくなっていた。
血がドクドクと噴出しているが、悪い気分
ではないのでそのまま放置しておいた。

だんだん血が足りなくなってきたのか、
なんだか寒くて眠くなってきたので、
人気のない脇道に車を止めた。

座席を倒して横になる。その間も
肩口からどんどん血は失われていく。

臙脂色のシャツだから目立たなくて良かった。
車内が汚れるのは仕方がないか。

目を閉じると、今までのことが
走馬灯となって脳裏をよぎる。

不思議と救急車を呼ぶ気にはならなかった。

意識も失いかけてきたころ、真っ暗闇の中で
血流もだんだんと落ち着いてきていた。そろそろ
身体の中がからっぽになりつつのあるのだろう。

あ、でも致死量は三分の一だっけ?
そうするとからっぽなわけではないな。

まぁどうでもいいか。どうせ終わりなんだし。

特にこの状況を改善しようとも思わず、
薄目を開けて何も考えずに時を待った。
墓参りの道すがら、休憩を取った道端に猫じゃらしが揺れている。
こんなに間近で、頭が空っぽのまま見たのは久しぶりだ。

休憩を終えて出発すると、車窓から見える焔の様な稲穂。
こんな穏やかな気持ちで自然に触れるのは久しぶりだ。

ワクワクでも、虚無感でもなく。安心でも、悲しみでもなく。
心に何もない状態で見るのは、非常に美味しい。
目に入る光景をあるがままに受け入れる。
本来の自然な自分になんだかほんわか和んだ。
「こんにちはぁ。」

何やらせっせと納屋の掃除をしているおじさんに声をかける。
麦わら帽子が似合っているなぁ。

「やぁ。どうしたんだい?」

「いえ、ちょっと近くに立ち寄ったもので。」

「ちょっと待っててね。」

首に巻いたタオルで汗を拭きながら
おじさんは家の奥へと引っ込んでいった。

ほどなく麦茶を持ってきたおじさんに、
納屋の奥の縁側へと通された。

「もう秋だなぁ。」

実はおじさんとは直接の交友があるわけではなく。
この家に以前住んでいたおばあちゃんと
よくお話をしていたものだった。

おじさんと葬儀に参列した時に
初めて顔を合わせたのは春のこと。

特にお互い話すこともないのだけれど、
なんとはなしに近くを通る時になって覗いていく。

おじさんも嫌な顔ひとつせず出迎えてくれる。
小一時間の短い時だけれど、縁側でそれとなく
過ごすのが通例となっている。

一言二言交わすと、後は景色を眺めるだけで終始無言。
麦茶を飲み干して、しばらくすればおいとますることになる。

理由なんて、どこにもない。
すれ違った先に得た、ちょっとした人情。

「ごちそうさまでした。おいしかったです。」

「またいつでもおいで。」

会釈しておじさんの家を後にした。
戦争のない世界にしたい。

誰も傷つけたくないし、
誰にも傷ついて欲しくなんかない。

本当は憎みたくもないし、
頭の中を怒りなんかで満たしたくはない。

みんなが仲良く、平和に暮らす世界。
それぞれの主張や思想を尊重し、
お互いを敬い、差別もなく。

本当の意味で心の底から
お互いを平等に見つめ合える世界。

理想論かもしれないけれど、
この地球上の全てが平和で。
争いごともなく、愛し合える。

負の感情もどこかへ置き去りにして。
ただただ生きることを幸せに思う。

楽園のように輝く、そんな世界が





そんな世界が





あ る わ け ね え だ ろ

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1987/01/14
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自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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