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完全フィクション
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何故自分は生きているんだろう。

何故人はいつか死んでしまうんだろう。

歳を取るってどういうことなんだ?

物心ついた頃から、追いかけている疑問。
何十年と生きてきた今でも、答えは出ない。

答えは出たはずでも、経験を積めば積むほど
その答えは終着点ではないことに気付く。

いつか、動けないほど歳を取って。
その時に見える世界と、感じる自分は
どんな感覚を持って生きているのだろう。

未来のことなど誰にもわからない。
だからこれから先の自分なんて、
明日ですら想像もつかないのだ。

もちろん健康であれば日常を繰り返していることだろう。
だがしかしどこでどのようなイレギュラーがあるのかなんて
誰にも知ることが出来ないのだから、予想も出来ないのだ。

答えなんて出るはずもなく。
それでも毎日を過ごしながら考え続ける。
最早それ自体が生きている証明であるかのように。

などとわざわざ小難しいことを考えていると、
天候の変化に全ての思考が停止した。

「・・・・・・・・・・雨だ。」

ただ、それだけのことで全ての考えが止まる。
自然に比べたら人間の思考なんてちっぽけなものなのだなと
まるで宇宙の広さを思い知ったかのように空を見上げた。

それはなんとも、心地の良い気分だった。
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今日は墓参りに来ている。墓の中には俺のかつての親友が埋まっている。

「あれからもう15年は経つのか・・・・。」

世界はひどく変わり果てて、あの頃の面影など微塵もない。
彼が生きていたらどんな顔でこの世界を見つめているのだろう。

信じて、裏切られ。それだけの当たり前のことなのに幾重にも
重なって彼の過敏な心は耐え切れず、自ら命を絶った。

「俺はお前の絶望に気付いてやれなかったんだよな。」

線香を添えて、懺悔をするかのごとく手を合わせた。
俺の背中には重い十字架が背負われている。
『お前の責任じゃない』と言われてはいても、
手を差し伸べることすら出来なかった自分の
無力さは、死ぬまで拭い去ることは出来ないだろう。

何の疑いもなく、信じることのできたあの日。
あの頃の彼の笑顔が、心臓をえぐるように
心を捉えて離れないのだ。

あれから、たくさんの人間の力になろうとした。
だけど、自分が思うほど相手は思っていなかったり、
救おうと思っても結局は何も出来なかった。

いや、救おうと思うこと自体がおこがましいのかもしれない。
今は関わる人たちの全てに、出来ることをやるしかない。

しかし虚しさを心に秘めたまま生きるのはもう疲れた。
寄り添う者すら信じられなくなって。世界はこんなにも、
こんなにも黒色に塗りつぶされているじゃないか!!

手元には一丁の銃を用意してある。今日はそのつもりで来た。
誰の心にも触れられないのならば、もういいじゃないか。
それぞれが自分たちで生きていけるはずだ。俺は必要ない。

見上げた空は灰色に曇っていて。それなのに
今まで見たこともないぐらいに綺麗に見えた。

「絶望の空を見上げるのも、これが最後か・・・・・。」

ひとつひとつの幸せに感謝して。思い出にさよならを告げて。
出会った人達に思いを馳せながらこめかみに銃口を向ける。
最後に愛した人を思いつつ、引き金を引いた。
あなたを支えたい。

あなたを愛しているから。

それは見返りのないものでも

あなたに幸せになって欲しいから。

いつかあなたと離れてしまうことになったとしても

私はあなたの側にいます。

そして私の出来得る限りのことを

あなたに注いであげたい。

愛情が私に還らないとしても

あなたを幸せにしたいから

幸せになって欲しいから

そして今私の手の中には

絶望しか残されていないから

あなたに私の分の希望を差し上げます。

失礼に当たらなければ

遠慮なく受け取ってください。

それが私の喜びなのです。

「何度言ったらわかるんですか。そういう卑猥な話はしたくありません。」

彼女に露骨な、言ってみればセクハラのようなアプローチを
仕掛けても彼女の心は微動だにしない。笑顔で交わすこともなく、
汚物を見るような目つきで文字通り『キッ』と睨みつけてくる。

しかしめげずに彼女にセクハラもといアプローチを仕掛ける
男はたくさんいる。なぜなら彼女は職場で恐れられていると共に、
高嶺の花としてその美しさを誰しもが認めているからなのだ。

皆は彼女の反応を楽しんでいるのかもしれない。
しかし俺は真剣に彼女に恋をしていた。

彼女が怒っていようといまいと、彼女の反応が帰ってくるのが
楽しいし、冷たくされようが関われていることが嬉しい。
俺、Mっ気はなかったはずだけどなぁ・・・・・。

「どうして男性はそんなことばかり考えているのかしら・・・・。」

給湯室で同僚に相談しているのを
たまたま通りかかった時に聴いてしまった。

「男ってそんなもんじゃない?女だって性欲はあるわけだし」

同僚である彼女の言い分は概ね正しい。
なぜなら性的欲求があるのはごくごく自然なことだし、
それを汚らわしいような目で見るのは、偏見というものだ。

むしろ性欲のない人間がいたとしたら、明らかに異常。
夜の営みの問題を法的に離婚の理由として認めている
国もあるのだから、ごくごく健全なことなのだ。

だからといってセクハラをあけすけにかますのもどうかと思うが。
それにしたって彼女の反応は異常である。もし誰かと恋に落ちて
もしくは片思いをしたとして、相手が俗に言ういやらしい男だったとしたら
彼女は同じような反応をするだろうか。いや、きっとメロメロになるだろう。

要は主観の問題であって、本来行為を否定しているわけではない。
もしも彼女が恋愛相手に同じ態度を取るとしたら、二人は進展しないだろう。

誰彼構わず・・・と言うのは問題あるだろうけど、
彼女にアプローチを仕掛ける男たちは、大概が
彼女以外の女性にはセクハラを仕掛けない。

もちろん上司のような例外もいるがね。
そのほとんどが彼女を狙っているのだ。

人間なのだから理屈では割り切れないだろう。
しかしながら彼女の態度と悩み事に、大きな矛盾を
感じざるを得なかった。そんなことを考えつつ仕事に戻った。


私は今日も待っているのです。この部屋で彼を。
もちろんこの部屋は私の部屋ではなく、
彼が前もって用意してくれたものです。

彼の指示に従うままにこの部屋に参りました。
彼に対する気持ちがどういうものなのか、
私にもわかりません。でも彼を待っています。

愛しているとまでは言えないかも知れません。
でも彼と心を通わせたい・・・・。ただ、それだけなのです。

彼があのドアを開けたと同時に、私は最高の笑顔を
用意して彼に言葉を投げかけるのです。

「はじめまして。早かったですね。」





「はじめまして。早かったですね。」

彼女にそう言われて、ぎこちなく笑った。

「会いたい気持ちが足早にさせたのだよ。」

彼女とはメールでしか会話をしたことがない。
今日は初対面であるが、初対面ではない。
会話の中の彼女を知ってはいるが、
現実で彼女に触れるのは初めてなのだ。

「隣に座ったらどうですか?」

広いベッドの端に座る彼女は、ポンポンと自分の
脇を軽く子供を寝かしつけるかのように叩いた。

彼女とは森の中の迷路のような精神世界の中で出会った。
彼女は彼女で学ぶべきことがあり、私は私で仕事があった。
すれ違いが何度もありながらも、私は彼女の存在を求め、
紆余曲折を経てこうして隣に座り、彼女を眺めている。

「どうにも緊張してしまうね。」

「私も緊張していますよ?」

彼女はとても美しい。まるで人形のように細く、腕に巻かれている
包帯は言わずもがな、彼女自身を傷つけてしまった痕だろう。
現実感のないその美しさの中に、どうしようもなく欲情させられてしまう
妖艶な雰囲気と、どこか陰というよりも闇を抱えているように感じる。

そしてその印象とは裏腹に、屈託のない幼い笑みを浮かべるのだ。
若い。彼女は当たり前だが私よりはるかに若い。羨ましくもあり
どこか私自身の心に戸惑いを覚えさせる命の脈動を感じた。

「どうしたんですか?」

顔を覗き込まれてドキッとした。彼女がいとおしくなってしまう。

「抱いてもいいのですよ?」

言葉とは正反対の純真無垢な笑顔に欲望は抑え切れなかった。
彼女の服を乱暴に脱がし、その実彼女を包み込むように抱き締めて
体中を愛でている自分がいる。彼女は全てを受け入れてくれて、
何の迷いもない笑顔でこちらを目を細めて見つめている。

全裸になった彼女も美しかった。非現実的な細さの中に、
溢れんばかりの妖艶な印象は、いつの間にか彼女の手首を
露にするために、巻かれた包帯を解き、手首をなめていた。

当然のことながら、今彼女の手首からは血が流れていない。
しかし彼女の血流を感じるかのように、丁寧に嘗め回した。

「くすぐったい・・・・・。」

その仕草がたまらなく色っぽい。犯罪的な優しい笑顔に甘えながら、
彼女の体内に私は侵入していった。この世のものとは思えない
満足感が、それだけで心を満たしてくれる。彼女と繋がっている。
求め続けたその存在と、愛されてはいなくても繋がれたことが
心の中を幸せの液体で満たし、溢れさせていった。

彼女の感じる声が室内に響き渡る。今までのどのまぐわいよりも
はるかに早く私は彼女の身体の外に果ててしまった。
彼女の髪の毛をなぞるようになでまわし、何度も舌を絡めて、愛で続ける。

「今日はあなたが気が済むまでお付き合いします。」

少し乱れた吐息の中で、この場に似合わぬ屈託のない
笑顔をこちらに注ぎ込むように向けながら囁いた。

どうやら今夜は帰れそうにない。
逃れられない繋がりを、私は知ってしまったのだ。
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1987/01/14
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自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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