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自分自身でも何を考えているのかわからないが、ナルコレプシーと言うものなのだろうか、状況や場面を選ばずに私は寝てしまう。

人間の三大欲求とは良く言ったもので、自分の中から湧き上がり溢れ出て来る睡眠欲求に私は抗う事が出来ず、いや抗う気すら起きる事無く、いつでもどこでも24時間営業のように眠ってしまうのだった。

上司や先生は私の人生の中で私の身勝手とも言えるこの体質に割と寛容に、半ば諦観を含めた面持ちで、一定の理解を示してくれるのであった。きっと私は幸運なのだと思う。

私はいつも通り欲望に従って眠りに就いていた。

目を覚ませばいつの間にか麗しの君がよだれを垂らし眠りこけていた私のそばに佇んで微笑んでいた。

何かの夢でも見ているのだろうか。

「君の事、好きだから。」

恥ずかしそうに走り去った君の表情はぼやけていて、寝ぼけている自分には

「ああ、これはきっと夢なんだろうな。」

と思うのには充分過ぎるほどの脈絡の無い唐突な出来事だった。

現実かどうかなんて今は関係無い。それよりもとにかく今は眠い。私を静かに眠らせて欲しい。

一度は目を覚ましたものの、私は再び深い深い闇へと、眠りに落ちて行った。





目が覚めて。

私は一連の出来事を反芻してみる。あれは夢だったのだろうか?夢では無いとしたら、私は答えを返すべきだろうか。正直麗しの君に対して、好感以外の感情を持ち合わせていないし、こちらからお願いしたいぐらいで、願ったり叶ったりな話だ。

麗しの君は何だかそわそわして顔を赤らめながらやたらと話し掛けて来るし、何やら私と仲良くしたそうである事は間違いないようだ。

なんだろうな。何と返したらいい物やら。

それからと言うものの、一週間悩みに悩み抜いた。いつでもどこでも眠ってしまう眠りのコンビニエンスストアの様な私が、まともに人と付き合えるかどうか心配だったし、何よりも人生で何回も無いイベントなので、何か心に残る様な気の利いたセリフを返そうかと思いあぐねいてみたものの、考えれば考える程眠くなってしまう。そしていつも通り寝てしまう。

だんだんとその事自体がめんどくさくなって来て、麗しの君がわざわざ自分から私の事を好いていると言って来たんだ。これはもう乗っかって付き合っちゃえば良いんじゃないかと、割と楽観的に答えを返す事になんら気遣いする事も無く返した方が良いんじゃないかと思った。だから君に言ってやったのさ。

「私も君が好きだよ。何だか眠ってばかりの人生で、君と過ごせる時間は限られているかもしれない。何よりも一番は睡眠になってしまうけれど。」

告白を果たした後の一週間の君よりも赤い顔で、

「嬉しいよ、ありがとう。」

と言われた。

あれ、良く考えたらこれはプロポーズになってしまってやしないか。

それよりもまた眠くなって来たし、まあいいや。君と添い寝出来るなら、それはきっと幸せな人生なのだろうと思いながらもまた、眠りに落ちた。
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1987/01/14
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自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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