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まあ、よくある話なのだが、みんなで集まって怪談で盛り上がった。

酒も入っている事もあって、みんな舌が回る回る。
普段怖い話なんて縁の無さそうな奴まで、
躍起になって怪談を口にする。意外さも手伝って、
少しばかり遅い納涼に華が咲いた。

百物語にする程ネタは無いだろうし、
何より肝心要の蝋燭なんかも用意していない。
それぞれが思い思いに、満足するまで語った。

ネタも尽きてきたかな、と思い始めた頃、
一人の気の弱い女の子が、端から見ても
おいおい大丈夫か?と思うぐらいに真っ青な顔をして
ガタガタと震えながら、隣にいる女の子にしがみついていた。

「ちょっとぉ、大丈夫?」

しがみつかれている女の子が心配する。

「怖いよぉ・・・。」

涙目で、と言う表現は控え目で、
ボロボロと涙を流しながら泣いている。
さすがに可哀想と思ったのか、男の子の
一人が対策を口にし始めた。

「宗教の違いとかあるかもしれないけど、南無阿弥陀仏
と唱えると、霊が寄って来ないらしいよ。」

気休めだった。あまりにも震える女の子に、
自分でも信じていない話を提案してみた。

しかしながら、震え上がった女の子にとって、
その言葉は救いの光だった。早速、唱え始めた。

「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏・・・。」

一心不乱に唱える女の子。その光景にどこか部屋の空気が
暖かくなって和やかな雰囲気が流れ、締めくくるはずだった。

次の瞬間、震え上がる女の子が一心不乱に唱える念仏を
、そして部屋にいた全員を凍りつかせる声が、耳に届いた。

誰しもが間違いなく耳にした、低い、この世のもの
とは思えない恐ろしさをはらんだ男の声。











「そんなの効かねえよ。」
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プロフィール
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耕助
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1987/01/14
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フリーター
趣味:
音楽鑑賞
自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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