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俺は一念発起して、この部屋を出る事にした。

何故かって?このくだらない世の中に鉄槌を下す為さ。

そして何よりもこのくだらない俺の人生を終わらせるために。

最期に大きな花火を上げてやろうと思ったんだ。

有言実行が美しいとされるけれど、犯罪者の美学としては不完全だと俺は思う。

申し訳ないが俺が恨み憎んでいるのは特定の誰かじゃない。この世界の全てだ。

自分でも俺は狂っているのだと、いや、狂ってしまったのだとはわかっていたのだが、溢れ出して止まらなくなった激情を俺自身が、そして他の誰かが止める事なんて出来やしない。

限界はとうに越えていたんだ。何よりも誰に知らせたわけでも無い。俺自身が自分一人で思い付き、これから実行する。失敗したとしても必ず別のアプローチで成し遂げることを考えた。誰にも伝えて無いのだから、失敗した事すら誰に知られる事も無いだろう。無理はしないで良い。確実に成し遂げる事を考えるんだ。

しかしながらそんな心配をする必要は無かった。





実行する日、自分の鼓動は思いのほか静かで、緊張する事も無かった。計画は嘘のように上手く行った。それはまるで神に愛されているかのように。鍵の付いたタンクローリーを見つけた。迷わずそれに乗ればエンジンをかけるのはたやすかった。

大きな会社の、誰もが知っているような会社のエントランスに突っ込む事にした。だがそこで死んではいけない。そんなもの、大した花火ではないし、俺自身まだやるべき事があった。

エントランスには軽々突っ込む事が出来た。途中で飛び降りて無傷だったのはありがたい。とっさに物陰に隠れた。衝撃で爆発した。飛び散った破片で相当の人間が死傷した。こんなものでは終わらない。

武器になるものはたくさん持って来た。改造したエアガンで自作の銃弾を打ち出せば、人間なんて脆いものだった。たやすく殺す事が出来た。バットで殴り殺したり、意外と皆あっけないものだった。あまりに上手く行きすぎて、警察に取り囲まれる頃には疲れ果てていた。だが捕まる訳にはいかない。

人のいなくなったビルのガス栓を開けて回った。どれだけ上手く行くかはわからない。携帯電話を使って、人質を取って警察を牽制しながら最上階に辿り着いた。

導火線に火を点けて屋上へ飛び出した。人がゴミのようだとはよく言ったものだ。見下す景色はゴミだらけ。そして俺自身もゴミでしかない。

ここから飛び降りよう。鉄柵にロープの片側を結びつけると、輪っかを作り首に巻き付けて、俺は大空へと飛び出した。











そんな夢を見た。

家に火を点けて首を吊る間際の妄想。

引きこもってからと言うもの、家族にも迷惑を掛けてしまったせいか、みんな心労で死んでしまった。

蓄えも全て底を尽きた。

後悔は何も無い。

最期に素敵な夢を見た。

さあ、旅立とう。

足元の箱を思いきり蹴とばした。
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