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親に誘われて、川に釣りに来た。

虫が好きでは無いので付けてもらう。その時点で釣りを存分に楽しめてるとは言い難いのだが、苦手なものは仕方が無い。水面に釣り糸を垂らすと、教えてもらい糸を軽く探りながら、魚からのアタリを待つ。

のんびりとした時間。雲が流れている。

長い。

これは来るまで非常に退屈であるなと思いながら、少し眠くなったりしながらも、来るかどうかもわからない引きを待つ。

しばらくして。何かに引っ張られる感覚。竿が曲がる。

来た。

初めてのことで興奮しながらもリールを巻いて糸を手繰り寄せる。

大当たりとは行かないまでもハゼが釣れた。

ピチピチピチ。

宙を舞い近寄るぶら下がった魚を取ろうとする。

びたん!

額に当たった。親に笑われる。照れ笑いを浮かべる。初体験ながらどうにも向いて無いな、と思う。でも釣れたのは素直に嬉しい。楽しい。

それから何匹か釣れた。大漁とまでは行かないまでも、ビギナーズラックなのかそれなりに楽しめたような気がする。

持って帰って食べる事になった。自転車で今日一日を振り返りながら親と話す。家に帰って家族に話す。笑われた。一家団欒。

親が調理してくれた。自分で釣った魚を食べる。美味い。何だか不思議な気持ちになる。揚げて甘辛いたれがかかっていた。でも釣りにハマりそうにはないな。ごはんに合うけど、一日ああしているのは何となく自発的にそうしたいとは思わなかった。

向き不向きがある趣味なのだと思う。考え事をしていたら魚は逃げてしまいそうだし、寝てしまえば竿が手から離れて流れて行ってしまうかもしれない。釣り人に聴かせたら笑われてしまうであろう事を思いながら、釣って来た魚と夕飯を平らげた。余は満足じゃ。

眠りに就く前に、布団の中で今日一日を振り返る。そうだな。自分の中で趣味には成り得ないのかもしれないけれど、自分の釣った魚を自分で調理した訳では無いにしろ、自分で食べられたのは貴重な経験だったと思う。

家族みんなに笑ってもらう事が出来たし、また自分が誰かに話して笑ってもらえるかもしれないエピソードも得る事が出来た。そう考えると充実した、意味のある一日だったようにも思える。

子供ながらにそんな可愛げの無い事を考えながら何度も反芻するように思い返して、眠気にまかせて眠りに就いた。



そう言えば、ダボハゼってなんだろう?と大人になってから思い返して調べてみると、どうやら食べても美味しくないものを差していたようだ。食べられない訳では無いのね。なるほど。
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