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「大丈夫?最近眠れてないんじゃない?」

「ん?いやあ、ちゃんと眠れてるよ。寝過ぎなぐらい。」

ぼーっと考え事をしていたせいか、同僚の女の子に心配されてしまった。

「そうなの?…何か悩み事でも?」

「いやいや、至って元気だよ。」

「そう…ならいいんだけど。あなた、少しやつれてる気がするから。…もし良かったら、気晴らしに今晩どう?」

「遠慮しとく。これでも下戸なんだ。すぐに眠ってしまうよ。」

それが狙いだったんだけど…同僚はその言葉を飲み込んだ。

「無理しないでね。あなた、仕事はきちんとこなしてるんだから。」

「ご忠告ありがとう。」

僕は嘘を吐いていない。最近自分でも驚くほどに良く眠れている。ただ…ずっと気になってる女の子がいる。どこの誰かもわからない、記憶の片隅にふとよぎる女の子。理想よりも化粧が厚い気がするが、体型も、顔も。いつかどこかで会ったような親近感を覚える。ただ、記憶によぎるだけでいつどこでお会いしたか覚えていない。もしかしたら夢かもしれない。

同僚の彼女が言う通り、自分で思ってるよりも疲れてるのかもしれないな。特に趣味も無く、家と職場の往復だから。中性的な体型と見た目のせいか、同性異性問わず心配してくれる仲間がいるのはありがたい事だ。心配掛けないようにちゃんと休まなきゃな。

ひと欠伸をして、仕事に戻った。





「ちょっとアンタ、最近疲れてるんじゃないの?」

いつも通りBarに出勤して来ると、ママに心配されてしまった。

「そんな事無いよ。昼間ずっと寝てるし。」

「そう?なら良いんだけど。良い男でも出来たのかと思った。アンタなかなかだから。」

「冗談w仕事だけで精いっぱいよw婿でも欲しいぐらい。」

「あんまり無理しないでね。身体が資本。休みが欲しければあげるわよ?」

「戦力外通告受ける程、サボっちゃいないつもりだけど?」

「馬鹿。心配してんのよ。」

「…わかってる。ありがと。大丈夫。」

実は最近頭によぎるあの人。誰だかは思い出せないけど…どこかで見たような親近感がある。もしかしたら…あたしの妄想かも知れない。だけど最近あの人が頭から離れない。正直に言うと、私はあの人に恋している。会いたい。でもどこの誰だかわからない。フッと、自嘲気味に苦笑すると

「なんか馬鹿みたいね、私。」

夜勤が続いているのが祟っているのかな。水商売、天職だと思うんだけど。今日も帰ってぐっすり寝る事にしよう。





オセロの石のような、表裏一体の恋。
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1987/01/14
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自己紹介:
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