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生まれ出でた時、周りの人は笑ってくれていて、
私は泣いていた。それからと言うもの、
家族と周りの人たちに愛され、一身に愛情を受けて、
健やかに育つ事が出来たと感謝している。

箱入りと言われても仕方の無いような、
時には厳しく、時には優しく。存分に色々な事を教わり、
背中を見て、自分もこうしようと生きるべき道を
決めるだけの材料は与えてもらったと思う。

もちろんそれは過保護と呼ばれても仕方の無い境遇だし、
だけどそれは誇るべき家族と周りの人たちからもらった
財産だと胸を張って言える。注がれた愛情。



『飴は甘ぇ。』



自分の意思を持ち、一人立ちとは言わないまでも、
夢を抱き、こうなりたい、ああなりたい、こう生きたいと
自分の考えだけで歩き始めて来た道程。

それはまだどうしたらいいかわからず、
夢を思い描きながらもただがむしゃらに
その目的に辿り着く事だけを信じて
ひたすら前を向いて歩き続けた日々。

それは振り返れば無駄な事だったのかも知れない。
しかしながらそれは大きな経験となり、以後様々な
場面で役立つ事となる。ただし、夢に届くには
あまりにも遠く、まるで自分が小さな蟻のように
見上げるそれをただ眺めるが如く。



『アルミ缶の上にある蜜柑。』



たくさんの挫折を知り、自分は夢に、目標に届かない
人間だと諦め、他人に裏切られ、自分が愛すべき
人間に対して何の役にも立てない。それは絶望を味わった
瞬間でもあり、自分の思い通りに行くばかりではないと
痛感した、戒めのような苦痛と悔恨の積み重ね。

失うものと得るものが交差して、混乱しつつも
生きていかざるを得なかった日々そのものであり、
もう繰り返したくは無いと、人間不信に陥っても
尚且つもがき苦しみ、涙すら失ってしまう。

思い知ると言う言葉を何度頭の中で繰り返したのか。
いっそ死んでしまおうかとすら思った。



『カレーは辛ぇ。』



再構築の中で再び色々な大切なものを取り戻し、
愛する人も、大切な友も、家族も。繋がりを取り戻した。

後は生まれた時とは真逆の最期を迎えられたら、
きっとそれは幸せな人生だったんじゃないかと思う。
周りの人は泣いてくれて、私は笑って安らかに眠りたい。

答えを見つけた今は死ぬ事すら恐怖を感じる事も無く。
ただ平等に訪れるゴールを目指して。歩く事さえままならなく
なったこの身体を支える一本のそれは、まるで私が
感じて来た全てを集約するかの如く。



『素敵なステッキ。』



振り返れば、生きて来たのはそんな人生。
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誕生日:
1987/01/14
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音楽鑑賞
自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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