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どこまでも続くらせん階段を、私は登り続けている。

一体どれだけ歩いたのだろう。私はいつどんな理由でここを登り始めたのかすら忘れてしまった。

そしてどこまで、いつまで登れば頂上に辿り着けるのかもわからない。もちろん引き返すなんて無駄な事は考えたくも無い。

階段の両側にはしっかりとした壁があって今来た道を振り返るか、これから行く道を見上げるかぐらいしか出来ない。

「…少し疲れたな。」

階段を段違いに椅子代わりにして休む事にした。

登る事に夢中だったせいか、お腹も空かなかったからなのか、一体私は食事をどうしてしまったのだろう。何も考えていなかった。無心で歩いていた。だからと言って、人間の三大欲求を忘れてしまうなんて、どうかしている。

三大欲求と言えば睡眠はどうだ。こんな所ではまともに寝れないじゃないか。一段に横になったとしても、寝返りを打ったらゴロゴロと転げ落ちてしまいそうだ。何より狭いし。

「何のために私はここにいるんだ…。」

今まで考えてもみなかった…考えようとしなかっただけかもしれないが…様々な生きる為に必要な事柄を一体どうしてしまったのかすら、忘れてしまっている。

何だかばかばかしくなって来た。どうして私がこんなことをしなければならないんだ。

どうしようかと思慮を巡らせて思いあぐねいてみたが、どうしたって階段を上り続けるしか無い事に気付く。下っても良いのかもしれないが、今まで登り続けて来たんだ。それ自体を意味の無いものにしたら、骨折り損のくたびれもうけだ。

でも、一体いつまで?いつまで登り続けなければならないんだ?

心の奥底から湧いて出て来そうな疑問は、無理やり仕舞い込む事にした。考えるのを止めた。

もしかしたら私は、もう何度も同じような事を繰り返しているのかもしれない。そうして忘れてしまっているのかもしれない。そうしてここまで歩いて来れたのかもしれない。

汗だくになったり、疲れて休んでみたり。そんな事を繰り返して、私はいつまでもこの階段を登り続けて行く。それしか、出来る事が無いから。

少なくとも後ろに引き下がるよりは、今までのように登り続けていた方が、必ず一歩一歩ゴールへと近づいているんだ。私のやっている事は無駄じゃ無い。無駄じゃないんだ。

「人生なんて、そんなものじゃないかな。」

誰の物とも思えぬ声が耳に届いた。私自身の声だったのかもしれないし、疲れ果てて脳が勘違いした幻聴なのかもしれなかった。
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1987/01/14
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自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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