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「うわ、ひでえなこりゃ。」

「すごいですね。警部。」

「どうやったらこんな死に方が出来るんだ?最近は不可解な事件が多くて困るよ。」

「被害者の懐にこんな手紙が入っていたのですが。」

「どれどれ?」

『被害者の僕から加害者のキミへ。

そこから僕を見つめて、楽しいかい?僕はもう限界なんだ。
キミはきっと僕を見つめることで支配欲を満たしているのだろう。
僕に精神的危害を加えて、ウサを晴らしているのだろう。

だから僕は気づかせることにしたよ。
こうでもしなければキミは自分がどんな犯罪を犯しているのかわからないだろ?
いつまで経ってもキミは事の重大さに気付かないと思う。

どんなに完璧を期しても証拠が残らないと言うことはない。
例えば今の科学力なら、ふき取った全ての指紋を調べることも出来るし、
機器を介する以上、動作を完璧に抹消することなんて出来ないんだ。

もし僕が訴えれば、簡単にキミの人生は終わってしまう。
信用を全て失うんだからね。それをわかっていて僕を見ているのならなお悪い。
でもね、そんな終わり方を僕は望んでいない。
出来ればキミ自身に気付いて欲しいんだ。

だから生きる意味のない僕の人生を終わらせることで、
僕を見ていることがどれだけ卑劣で凶悪な犯罪なのかわかってもらえると思う。
もちろん肉体的な危害も犯罪だけど、ケガは治すことが出来るんだ。
でもね、精神的な損害はなかなか治らないんだよ。

キミ自身は相手を屈服させることで満足しているのかもしれない。
だけどね、僕はたくさんの精神的な欠落を見てきたから、それがどれだけ
ツライ物か知っている。だからこれ以上危害を加えて欲しくないんだ。

何人の人間をキミが壊してきたのかはわからない。
でも結果的にキミの心に平穏は訪れたかい?
こうして精神的危害を加えることを繰り返すこと自体、
何の意味も持たないということなんじゃないかな。

とりあえず、僕は旅立つとするよ。
これでもキミがわかってくれないのなら、それは仕方のないことだ。
キミはそういう人間でしかないとあきらめるしかない。
これ以上苦痛を味わって生きていくのは、ツライからね。

キミの笑いは、本当に笑いなのかい?

さようなら。』

「なんじゃこりゃ?ここに書いてある証拠なんて見つかったのか?」

「いえ、被害者には例の通院歴もあるので、被害妄想だと思います。」

「ふん・・・見えない相手におびえて自殺か・・・なんだかかわいそうだな。」

「交友関係もないようなので、多分そうだと思われます。」

「この手紙も、鑑識に回してくれ。」

「わかりました。」
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1987/01/14
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自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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