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何もかもを捨て去って。周りには何も無くなった。

断舎利と言うにはあまりにもゼロに等しい現在の境遇に、身軽さを感じていた。

実は私は自殺しようとしていたのだ。

けれども自殺をしようと思い立った時に、自分の人間関係や、持ち物など何かこの世に残しておくことで誰かの迷惑になってしまうのでは無いかと、全てにサヨナラを告げる事にしたのだ。

必要なものや未練があるものが結構あるのだと思ったものだが、決断してみると私には私以外に必要なものなど無くて、意外にあっさりと全てを捨て去る事が出来た。

しかしながらここでひとつの問題が生じてしまった。

スッキリしてしまったのだ。

色々な事に思い悩んで、読んで字の如く自らを殺して全て終わりにしようとまで考えた気持ちはどこへやら。どうでも良いなあと言う気持ちが心の中に満たされていた。

仕事も止めて人間関係の全てに別れを告げて、家も無いし金も寄付してしまった。服も今着ている物だけ。何の特徴も無いカジュアルな服装。

特に借金があるわけでもないし、このままどこへでも行ける。こんなにも身軽な事が、自由な自分が簡単に手に入るものなのだと自分で驚いてしまった。

捨てる事で生まれ変わったと言えば語弊がある。私は私自身でしかないし、この世で生きて行くのが辛くて辛くて耐えられなくて自殺を選んだのも私。けど今の全てがどうでも良いと感じている自分も私自身なのだ。

他人の何かを邪魔しなければ、今私は本当の自由を手に入れたのだ。

もちろん生きて行く事を選んだら今まで以上に大変な思いをするかもしれない。

だけどリセットして何も無くなってしまった今、一から始める事に何かワクワク感さえ感じてしまっている。一体どうした事なのだろうか。

実はもう疑問に思う気持ちさえ薄れて、なるようにしかならないとすら思えて来ている。それはとても清々しく、心地良い。別にこのまま何もせず、野垂れ死んでしまっても構わない。それほどに今、自分はとても気持ち良いのだ。こんな気持ちになれたのは生まれて初めてなのかもしれない。

いつまで続くかわからないが、この余生を十分に楽しんで死に向かおうと思う。

神様が最後にくれたプレゼントなのかもしれない。

そう思ったら自然と鼻歌交じりに歩き出していた。

どこへ行こうかなんて事も、何をしようかなんて事も考えない。

ただただ、からっぽの清々しい心。

自分の欲望が無いって、こんなにも気楽なものなんだなあと微笑んだ。
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1987/01/14
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夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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