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完全フィクション
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以前、絶対バレない殺人方法と言うのがあった。

ひとつは、耳の裏から細く長い針を
脳幹に突き刺す方法。検死官が見落とすことが多く、
初めてその方法が発見されるまでは「不審死」として扱われていたらしい。

もうひとつは、尖った形の氷で突き刺す方法。
こちらは溶けてしまえば完全に証拠がなくなるので、
意外と使われていたようだ。ただし、返り血を浴びなければの話だが。

氷を使う方法では、自分達が罪を着せたい人間の使用している銃弾を
ドライアイスの銃弾で殺害した後、死体に埋め込むと言う方法。
こちらに関しては冷戦時代に良く使われていたらしい。

どれも今では使い古されてしまってのでバレやすいが、
実際に完全犯罪として成立してしまっていたものだ。

逆に言えば、ネタさえ掴んでしまえば、どんな完全犯罪も暴けるということ。
警察・検察には手間と努力を怠らないようにして欲しいものだ。
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霧に包まれた山の中で目が覚めた。

何か夢を見たような気がするが覚えていない。

もう何日も山の中を歩いている。
1m先も見えない霧の中を。

たまに今みたいに疲れてその場で寝てしまうこともあったが、
風邪もひかずこうして無事に生きている。

幸い、食料はかなり持ってきたので、餓死することは当分ないだろう。
少しずつ食べていけば、二ヶ月は大丈夫だと思う。

目が覚めてからしばらく歩くと、川が見えてきた。
なんだろう・・・イヤな予感がする。

船乗りが話しかけてきた。

「乗ってくかい?六文だよ。」
気がつくと、天井が見えた。

・・・・?

見回してみると、どうやらここは病院らしい。

隣では母親が居眠りをしている。

「母さん」

「・・・・ん・・・・・・・あ、目が覚めたの?!
良かった・・・まったくこの子は心配かけて・・・・」

「俺はどうしたの?」

「遭難して衰弱していたところを、たまたま登山家の方が見つけてくださったんだよ。
警察に捜査を依頼しようかとも思ったんだけど、アンタたまに寄り道の旅を
してくることがあるでしょ?だから思いとどまって待ってたんだよ。」

「そうか・・・心配かけてごめんなさい」

「本当だよ!この子は本当に・・・お医者さまの話では、
健康に異常はないみたいだから、安心して休みなさい。」

「うん・・・ありがとう。」

安心したせいか、急に眠気に襲われた。

「母さん・・・もう少し寝かせてもらうね。」

母親は微笑みながら黙ってうなづくと、
俺はゆっくりと眠りに落ちていった。
もう何日も山の中を歩いている。
1m先も見えない霧の中を。

たまに疲れてその場に寝てしまうこともあったが、
風邪もひかずこうして無事に生きている。

しかし、これだけ下ればもうふもとについてもいいはずなのだが・・・。
何か異次元の世界にでもハマってしまったのだろうか、
という馬鹿な考えまで浮かんでくる始末。

しかも、友人の幻を見たり、とっくに亡くなった祖父母を見たりと
妄想も満載。我ながらかなり極限状態になっていると思う。

それとも、下りているつもりでも、登ったりしてしまっているのだろうか。
そうだとしたらお手上げだ。この霧が晴れるのを待つしかない。

幸い、食料はかなり持ってきていたので、餓死することは当分ないだろう。
少しづつ食べていけば、二ヶ月は大丈夫だと思う。
しかしこの霧の中にそんなにいたくない。何より帰りたい。

無常にもいつまでたっても霧は晴れない。
こんなことってあるのだろうか?不思議でならない。
そのうち、三途の川でも見えてくるんじゃないか・・・。

などと思っていると、何やら本当に川が見えてきた。

おいおい・・・俺死んでるのか?

目の前の川岸に、舟が停まっていて、船乗りが話しかけてきた。

「乗ってくかい?六文だよ。」

地獄への橋渡しか?勘弁してくれよ。

「乗る気がないならとっとと帰んな。」

「でも、帰りたくても帰れないんです。」

「なんだお前、道に迷っているのか。こんなところに来てはダメだ。
送り返してやるから、目をつぶれ。」

言われるがままに目をつぶると、何かの光に包まれた。
どこかのB級映画のタイトルのようだが、
本当の食人族のビデオをご存知だろうか。

リポーターが、カメラマンを引き連れて食人族の村に
突入するというだけのビデオなのだが・・・。

突入する前に、食人族の襲撃に遭い、2人は殺されてしまう。
そして、2人が首を取られた様と、その後の首無し死体が
テープが終わるまでずっと映っているだけ、というビデオだ。

このビデオはもちろん、発禁となっているはずなのだが、
なぜかどこからか流出しているらしい。

どちらかというと、惨劇の記録とも言うべきこのビデオ、
一体どのような場所に流出しているのだろう。
我々には想像もつかない。
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1987/01/14
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自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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