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完全フィクション
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本当は、黙って行くつもりだったのに。

小学校を卒業して。卒業式を終えて。

明るさで売っていた私は、みんなの前で泣きたくなんて無かったし、でも卒業式で少し泣いてしまったけれど。

みんなとは違う学校へ進んで行くのを、黙って置く事にしたんだ。お父さんとお母さんの仕事の関係で、仕方が無かったし。

お父さんやお母さんから、さようならを言わなくても良いのかって聴かれたけど。二度と会えなくなる気がして、言いたくなかった。

そんな時、君からの電話。

何人かの男子、女子で遊びに行こうって。誘ってくれたの。

嬉しかったよ。凄く。君の事、好きな男子とかじゃなかったけれど、結構好きな友達だった。

引っ越しに間に合わないのと、お父さん、お母さんの都合で行けなかったから。でも凄く嬉しくってね。君に行けないって事だけ話して、号泣しちゃったんだ。ごめんね。困らせるつもりはなかったんだけど。

電話を切ってしばらくしてから、君から電話が掛かって来た。号泣していた私を心配してくれて。優しくしないでよ。好きになっちゃうじゃ無い。もう会えなくなっちゃうのにさ。

君にだけは。最後に私を誘ってくれた君だけには嘘を吐きたく無くて。泣きながら説明したんだ。もしかしたら君をもっと困らせてしまったのかもしれないけれど。君にだけは、事実を伝えたかったんだ。このまま、遠くへ行ってしまうんだって事。

君は、これから先、会えるかどうかもわからないのに、またね。って。言ってくれたから。本当に嬉しくって。もっともっと泣いちゃったんだ。ごめんね。本当に、本当に嬉しかったから泣いちゃったんだよ。大人になった今でも、そのことは説明できていないけれど。

君は今、どんな大人になっているのかな。他にちゃんと好きな人とかいたけれど。その人たちよりも今では少し気になっちゃうかも。きっともう二度と会う事も無いんだろうけど。いつか一度、会ってお礼が言いたいな。

君は別に格好良い訳でも無かった。でもどこか私と似ている立ち位置だったような気がするって、勝手に思ってるの。面白い事が魅力だったって、手前味噌になっちゃうけど、思ってるんだよ。

ねえ、私も少しは綺麗になったと思うんだ。まともな女性になれたのを、君に自慢したいな。ちょっとだけからかって、誘惑しちゃうかも。私に手を出すなら、君が素敵な男性になって無きゃダメだからね?

いつか、また。会える日を願って。

本当に嬉しかった。ありがとう。
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プツリ。

ポタポタ。

指に針を刺したら、血が垂れて来た。当然だ。自分で突き刺したのだから。

針と言うと細いイメージだが、ニードルと聴くと何故かバカでかいイメージがある。針の穴に糸を通すようなと比喩されるあの細さは微塵も感じなくなる。なんだかとても不思議だ。



あなたに出会ったのは、ずっとずっと昔の話。でも厳密に言うと、私とあなたは出会ってすらいないのだけど。

一方的に私が見つけて、一目惚れしてしまった。ストーカーとまでは行かないまでも、見つけるといつも目で追っていた。ガン見って言うのかな?傍から見たら私の思いはサランラップのように透けて見えていた事だろう。だけどあなたは気付かなかったし、気にも留めてくれなかった。

だって気にしてくれていたとしたら、あんなに毎日あなたの事を見つめていたのに、一度も目が合わないなんておかしいじゃない?いつかあなたと恋に落ちれる…日本語変だな…事を信じて。

でも私からは何もアクション起こさなかったから、あなたは知らなくて当たり前なのよね。一言だって交わした事も無いんだから。あなたは私の名前さえ知らないんじゃないかしら。私もあなたの名前、知らないけどね。

あなたに彼女がいるのだって知ってるよ。私と同じ立場になったら、別れろって思うような人もいるのかもしれないけど、私にはそんな事考えられなかった。だってあなた、あまりにも幸せそうでデレデレなんですもの。笑ってしまったわ。こっちまで幸せな気分になっちゃうくらいだったもの。

きっとあなたを見守り続けて、私の人生は終わってしまうのだと思う。あなたを見守る事すら、いつかは叶わなくなってしまうかもね。もしいつか奇跡的に、あなたが私を知ってくれたとしたら。あなたは私の事をどう思うかしら?想像を巡らせるのが楽しみよ。それこそ針の穴に糸を通すような願いかも知れないけれど。

たまたまあなたの帰り道が近かったおかげね。この窓から、毎日あなたを見る事が出来る。誰かに話したら、奇跡は起こらないような気がして、誰にも話して無いのよ?私だけの秘密。こんな話、誰にも出来ないけどね。今の私には。





針は、ニードルは。私にとってとっても細くしてあるのかもしれないけど、とっても太く感じるの。三日に一度刺し替える、血管に刺さったままの点滴針。さっきの裁縫針なんて何とも思わないぐらいの、太くて、重い針。

あなたはこんな話、聴きたくないでしょうね。

また明日、ね。
「今日、満月か…。」

摩天楼の上層階、都会の夜景を見下ろせるテラスのあるバーで、ジンベースにバイオレット、レモンを絞って濾して注いだカクテルを楽しみながら呟いた。

私は今日失恋してしまった。

それは、もちろん私のワガママだったし、相手には家庭があった。家庭をとても大事にする彼を振り向かせるなんて、出来ない事はわかっていたのに。私の想いは当然届かず、ついに決定的な返事をもらってしまった。

あまりにもハッキリ、そしてスッキリとした答えに、このカクテルが持つ意味の様な彼の素敵さを、魅力を再確認してしまった。今飲んでいるのは私が注文したからだが、状況から言って彼におごってもらったようなものだ。この恋はおしまい。始まってすらいなかったのだけど。

カクテルの香りがまるで無様に誘惑し続けた私の無駄な妖艶さのように想い、親近感を感じながら味わっている。涙はもう流さない。むしろ諦める決心が付いた。

親友には、物好きだと言われた。彼は周りの人から見たら、極々普通のおじさんだったようだ。しかし私は身が燃え尽きる程恋焦がれたし、本当に彼の事が好きだった。きっと彼の奥様には、凄く滑稽な話だけど、気持ちを理解してもらえると思う。

これで良かったのだ。彼の家庭を壊さずに済んだのだから。彼には子供だっている。守る物が、捨てられない物が多過ぎた。そしてきっと、彼は独りだったとしても、私には振り向いてくれなかったであろう事は、実は理解していたのだと思う。

青い月を見るよりも可能性の低い奇跡。そんなものを私は長い間追い求めていたのだ。非常に無駄な時間だったとしても、自分を納得させるには必要な時間だったのだと思う。時間を掛けなければ、私は諦める事が出来なかったのだ。

きっと彼はこれからも私に、今まで通りに接してくれるだろうし、その彼の優しさに対して、私は傷ついては行けない。そんな事は、今日で、今夜で終わりにしなければならないのだ。ただの気の迷いであったと、盛っていただけだと、満月のせいにして、気持ちを葬り去らなければならない。それが出来ない事は、まっすぐに私の気持ちと向き合ってくれた、彼に対しての侮辱にも成り得るからだ。

夜風が気持ち良い。火照った身体を、もう少しだけ感覚を鈍くする為に、おかわりを頼んでしまおう。酔いにまかせて、素敵な夢だったと笑い飛ばそう。そうこれは、私の真剣な、とても大切な、血迷った末の笑い話だったのだ。
「ん~…。あと五分…。」

なんて呟いては見たものの、私を誰かが起こしに来たのかどうかさえも、はっきりとしない。

今自分が起きているのか寝ているのか夢の中なのかさえも判別が出来ない程、うすぼんやりと眠気に浸食された意識の中まどろみを楽しんでいた。

自分がどんな人間なのか、どんな立場にいて、今どこで寝ているのかとか、そう言う事もあまり良くわからない。と言うよりも睡眠が最優先で欲求が理性を凌駕していて、私が果たして私かさえもわからない状態にあった。

あなたはそばにいるの?それともあなた自体が、存在しない私の妄想なのかしら。そんな事を考えるのもほんの束の間、流れては消えて行く脈絡のない思考をただ茫然と眺め見送って行くような、そんな精神状態。

そもそも私は起きなければならないのだろうか。いつかのように起きてみたら休日で、な~んだ、まだ寝ていてよかったんじゃないかと後悔するよりも、このまま欲望に従っていた方が良いような気もする。

しかし何かしら起きなければいけない…例えば仕事や約束があったとして、もしも遅刻に至る程の遅い時間であったとしたら、私はすぐさま起きなければいけないだろう。

私が女性であったとしたら化粧には時間がかかるだろうし…。私は女性だっけ?考えている間に起きればいいのにとは思っても、眠気がそうさせてはくれない。

身体は動く。寝返りを打つ事は出来る。だけど目を開く事が叶わない。いや、きっと私は心の奥底から起きたくないのだとわかっている。だけど葛藤し欲望に抗おうと言う気持ちが欠片でも頭を掠めると言う事は、やはり起きなければいけない何かがあるのだろうか…。

ちょっとだけ起きて確認すればいいだけのはずなのだが、どうにもそれがもったいない事のようが気にしてならない。睡眠と覚醒の狭間にいる今の状態こそが至福の時間。私に許された贅沢。いや、許されてはいないのかもしれないが。

嘘だ。本当は悩んでなんかいない。その証拠に、一向に目を開こうとする意思すら感じられない。自分自身の事なのに他人の事の様な。

目を覚ましたら、隣に愛しいあなたがいるかしら。それともそんな人はいなくて、一人朝日の中で目を覚ますのかしら。

ああ、何故だろう。こんなにも眠っていたいのに、起きなければいけないような気がして仕方がない。そろそろ好奇心が睡眠欲に競り勝とうとしている。まだ寝ていたいのになあ。

きっと不機嫌な顔で、私は目を覚ました。
あの人には一番がいる。私はもしかしたら二番目にもなれないかもしれないけれど、彼が好き。愛してる。

ひょんなことで出会って、何かと顔を合わせる機会があって。彼も私の事を可愛いって言ってくれたこともあるし、それはおせじでは無いんじゃないかなあって、思ってる。

だけど彼には一番がいるから、邪魔しちゃいけないんだ。

私は一度、ネットでメンヘラと呼ばれるような状態まで行った事があるけど、今の私は(たまに自分でも心配になるけれど)どうやら大丈夫な段階まで自分を取り戻したような気がする。

私は一番になれないから、せめて過剰なボディタッチで、彼に触れるぐらいの事しか出来ない。連絡先も聴いても聴かれてもいない。それが私と彼の隔たりであって距離なのだ。決してこれ以上近付いてはいけない。

もし身体の関係なんて結んでしまったら、私はきっと我慢出来なくなってしまうだろう。毎日夢に見るぐらいに彼の事を考えていて、すぐにでも抱かれたい感情に駆られている。しかしながらそれはきっと永遠に叶わない夢。私は彼の今の幸せを壊したいとは思っていないからだ。私は本当に彼の事を好きだけれど、彼を不幸にしたいとはかけらも思っていない。

もし彼が私と一緒になりたいと思う日が来たとしても、私は悩んでしまうだろう。私はきっと一緒になれても、必要以上に束縛・依存してしまって、到底彼と幸せになれる自信なんて無いから。私はそれほど重い女で、めんどくさくて、頭がおかしいのだ。

だから毎日彼と過ごす時間の妄想をする。不思議と、性的な物よりも日常生活を想像する事が多い。本当に、彼の事が好きだと言う証拠だ。でも彼に抱かれたくないと言う訳では無い。むしろ、毎日、24時間抱かれたい。どんな要望にも応えてあげたい。毎日毎日、彼に気に入られるような抱かれ方をしたいのだ。

だけどきっと私と彼の距離は絶対に縮まないだろう。こんなにも彼の事を愛しているのに、ひどく冷静な私が、情熱的な私を見守っている気がする。これが理性と言う事なのだろうか。症状がコントロール出来なかった時は、わからなかったし見えなかった事だ。私と言う人間は私自身を信用出来ていないがゆえに、しっかりとブレーキを掛ける事が出来ている。これが普通で、正常なのかもしれない。

だけど少しだけ彼に会う機会を多くしたくて。理由を付けて彼に会いに行く事もある。

彼の幸せは邪魔しないから、それぐらいは許してください。
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