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完全フィクション
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初めて会った時から、君との距離はとても遠くて、電波を介して連絡するしか出来なかった。

君から誘ってくれて私はとても嬉しかった。一度会ってしまえば、心の距離はすぐに近づいた気がした。だけど実際の距離はいつも遠くて、二人の意思で意識的に近づかないと、触れる事さえ叶わなかった。

冬の寒さや届かない距離を乗り越えて、でも君とはさらに遠い距離になって、このまま一緒にいれるかどうかさえ分からなかったね。だから、一緒になれると君の意思を聞けた時は、何かまるで夢でも見ているんじゃないかと思ったよ。

距離の遠さがそのまま簡単には二人を一緒にしてくれなかったから、たくさんの書類や許可を必要としたけれど、君と一緒になる為に、ものぐさな私も努力する事にした。それが私の幸せだったからね。大変だったけど、苦とは思わなかったよ。

そしてようやく認められてからも、君との距離をなかなか近づける事は出来なかった。君には果たさなければならない約束があったから、それを無事果たしてから、やっと触れられるだけの距離に来てくれた。とても嬉しかったよ。ありがとう。

だけど他人同士が家族して暮らすのは並大抵の事じゃないのを良く知っていたから、それでも君との生活を擦り合わせて、何とか上手く暮らせるところまで二人で来れたと思う。君にはたくさん苦労を掛けているかもしれないが、私は今本当に幸せで、間違いなく君を愛している。

たまに喧嘩になったりする事もあるけれど、それはそれで別の話。違う人間同士が暮らす上で、避けられない壁なんだ。君は良く不安げに訊ねて来るけれど、その程度で私たちの愛は揺るがないと、私は思っているよ。

そして君は定期的に、私との距離が離れざるを得ない時間もたまに来てしまうけれど、心の距離はすぐそばにいると私は信じているから、遠く離れても淋しさはあっても心配しない事にしている。

世界は広くて果てしないけれど、どこにいても、君と愛し合っているのだと言う実感があるから、何かで私と君は繋がっているのだと言う実感があるよ。

移動するのに時間が掛かるから、常に君の無事は願っているけれど。時間と共に、また会える時には、君との愛は深まっていると確信している。それが君と一緒になった事の幸せそのものだし、何よりも君に対しての注ぐべき愛情とその証なのだと、私自身は思っているからね。

どうか、身体にだけは気を付けて。遠い場所での生活を楽しんでおいで。
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先輩!私、告白できなかったけど、先輩の事が好きでした。

先輩は本当は心通じる人がいるって、目の前で見ていてわかっていたけれど。でもね、先輩。恋をする先輩も、本当はこう胸がキュンとして、凄く好きだったんですよ。

私が応援団に入って、先輩は応援団長でした。先輩が想いを寄せていたのは、先輩の同級生のあの人ですよね。

頭も良くて、運動神経も良くて…。私なんて敵わないと思いました。だから、私、頑張ろうと思って先輩がなれなかった生徒会長に立候補したんです。

実は私、昨年の先輩が立候補した生徒会長選の時から、先輩の事見てたんですよ。だから、堂々とした先輩に、私一票入れたんです。でも、先輩は負けてしまいましたね。先輩が本当は無理やり乗せられただけで、そんなになりたくなかったって、風の噂で聴きましたけど(笑)

先輩とあの人が、先輩の好きな人の話になった時、緊張しました。

話の内容はわからなかったけど、何だか、こう…。先輩とあの人にしかわからない言葉が交わされていたんだと思いました。

生徒会長選の時に、私に票を入れてくれた時、私本当は抱き着きたかったんです(笑)でもね、応援団のみんなが見てたから、我慢しました。本当に、抱き着きたかったんですよ。本当です。



運動会が終わってしまって、先輩と会えなくなって。先輩は受験で、私は生徒会。忙しくなって、顔も合わせなくなって。先輩、自分の志望校に合格したって聴きました。おめでとうございます!

それから、卒業式前に、あの人に告白したんですよね。先輩、凄いです。私は先輩に告白出来ないでいるのに。私、フラれた事になるんですかね?でも、私思ったんです。やっぱり先輩を好きになったのは、間違いじゃ無かったって。誇りに思います。





先輩が卒業してしまって、私にも受験の季節がやって来て、高校に入学しました。先輩、彼女が出来たんですね。この前、最寄駅からの帰り道、先輩が彼女を優しく送ってるところを見ましたよ。

なんでだろう。悔しいはずなのに、先輩が幸せでいるのを見て、私、安心しました。同時に、頑張ろうって思いました。きっと先輩は私にとってずっと憧れのままなのかもしれません。私も頑張りますから、先輩も元気で頑張ってください。

私の青春は先輩と共にありました。そのことを凄く誇りに思います。いつかどこかで出会えたら、ありがとうって言いたいですね。その時、先輩は私のこと覚えてるかな?自信無いな(笑)
最近あの人と凄く仲が良い。聴かなくても、あの人と私はきっと両想いなんじゃないかって勘違いしてしまうぐらい。

それもこれも席替えで前と後ろになっただけのあなたと私。

あなたはあなただけのあだ名を私に付けてくれて、当たり前のように毎日そのあだ名で呼んでくれる。私にたくさん興味を持ってくれる。毎日楽しかったし、あなたの事だけを考えている事に気付いたの。

でもね、私も確信があっても確証を得たいじゃない。だから、あなたがみんなの前に立っている時に、口パクで聴いてみたの。

『私の事好き?』って。

あなたが大きく頷いたから、私はとても嬉しかった。

でも今思えば、あなたは途中で恥ずかしくなったのね。私の所まで来て、『今、○○って言ったんだよね?』って、私が伝えたかった事と全く違う風に言って来た。

ねえ、怖かったの?それとも恥ずかしかった?照れ隠しだった?

でも、私も馬鹿よね。だって、口パクじゃ無くて、直接声にして聴けば良かったんだって、今では思うわ。





それからも私はあなたと仲良くいられたけれど。若かった私は、あなたが些細な事で怒った時に、幻滅してしまったの。もちろん、私に対してでは無かったけれど。あなたが怖くなってしまったのかもしれない。

それから、あなたが私を好きだった友達との告白の仲介に現れたり、私の彼氏と仲良くなって、私と付き合ってるとは知らずに、私にあなたとの昔話をして来たり。あなたはきっと、良くも悪くもとても素直な人だったんだと、今は思うわ。





あなたとの思い出は、遠い昔話。こうして何かの拍子に思い出すのは、きっと楽しかったからだと思う。もちろん、今現在あなたとの交流は無いし、それ以上でもそれ以下でも無いわ。

私は今、結婚して、夫も、子供たちもいます。きっとあなたと話す事なんて、めったに現れない同窓会にあなたが現れて、私とお話してくれる気になったら、かしらね。あなたはまた照れ隠しにはぐらかすのかしら。それとも懐かしい思い出として、私と共有してくれる?

きっともう二度と出会う事は無いのかもしれないけれど、私はあなたに伝えたい事があるの。

勘違いしないでね?

今でもあなたの事を愛してるとか、そういうお話じゃ無いのよ。

ただ、たまにあのころを思い出すと思うの。

色々な事から解放されて、責任の無かったあの時代に。

あなたと楽しい時間を共有できたことが、宝物なんだってたまにだけど思うわ。

心を込めて言うわね。

ありがとう。
生まれ付き、私は自分が異常だと思っている。人と話すと自分の考えがいかに異端であるかを思い知ったし、家族にまで宇宙人と言われる始末。いつしか自分の本心を隠しながら生きる事に慣れて、特に自分の我を通さなくても、上手く折り合いをつけて生きて行く術を身に着けるまでに至った。

社会に出て色々な異端を見て来たけれど、みんな何かの真似事で、足を踏み入れればその世界の人数が多い事を知る。言うなればそれは異端でも何でも無く、一部のメジャーなのだ。異端気取りで得意げな顔をしている人間を見て、同じような人間がいくらでもいるのになあと、温かい目で見守るようになった。

異常者ぶってる人間はいるけど、本当の異常者は一握りだ。何故なら異常者である事で、この世界でまともに生きて行く事が出来ないからだ。だから自分を主張する為に異常者を気取る。自分だけは特別だと、口で言わなくても行動がそう見せている。誰もが凡人なのに特別を気取る。その光景はとても愉快だった。

異常に仕事に没頭する人間も、病的に趣味に没頭する人間も。覗いて見ればいくらでもいる。頂点ですらそれは個性足り得ないのだ。しかしそれは極々普通の事であり、当たり前の事であって、永遠に無限に新しい何かを別の誰かが生み出す事なんて出来やしない。時代の流れに乗って、踊らされて楽しんでいる人間の方が、私には幸せに見えた。わざわざ異常者ぶる必要なんて無いのだ。何の変哲も無い平和な人生で充分じゃないか。波乱万丈なんて聞こえは良いけど、要は不安定でしか無いのだ。そして安定する事が出来ない、と言う結論まで辿り着く。

そう言った経験や考察を重ねている内に気付いてしまった。





実は『普通』が一番難しくて、異端なのでは無いか。





犯罪者なんてただ自分の欲望が抑えきれないだけだし、地位や名誉や栄光なんてものは、言うなれば自己満足に過ぎない。キチガイじみた自分が本当に辿り着くべきは、誰もが頭に思い浮かべる『普通』の人生だったのだ。果たして、これが自称異端や異常者たちに出来るだろうか。普通ってなんだよと逆ギレするのが関の山だろう。

私は私好みの極々平凡な相手を見つけて、付き合う事にした。当たり前のことを当たり前にこなし、当たり前のように相手を大切にした。もちろん裏切るような真似なんてしなかったし、普通に喧嘩もしたが、平凡な家庭を築いて、そして平凡な一生を終えた。

究極の異端とは、普通だったのだ。
新しく入ったバイト先で出会ったあの人は、お世辞にも格好良くなんて無かったけど、物凄く私に興味を持ってくれた。

私は背が低いし、暗いし…。何の取り得も無かったけど、彼とは趣味の話も合ったおかげで私は自然と笑顔で話している事に気付いた。

そんな私の笑った顔を、笑顔が可愛いって言ってくれた。とても嬉しかったし、それだけで幸せだった。

メールも良くくれたから、引っ込み思案で奥手な私には、とても居心地が良かった。彼が話してくれたらそれだけでその日は楽しかったと思えたし、話している感じから、私の気持ちには気付いていないのだろうな、と思っていたし、実際そうだったのだと思う。

だから、彼がデートに誘ってくれた時は、本当に喜んだ。彼にとってはデートでは無かったのかもしれないし、気軽にカラオケに誘われただけなのかもしれないけど。それでも二人きりの空間は、とても緊張したし、嬉しかった。歌声が可愛いって言ってくれた。もしかしたら、距離が少しは縮んだのかなって思ってた。



だけど彼は、そのすぐ後に他の人と結婚した。いっぱい泣いた。初めて号泣したかもしれない。彼にメールを送った。私が泣いた事も伝えた。だけど、彼はやっぱり私の気持ちを知らなかった。当然だ。私は、彼に一言も。気持ちを伝えていないのだから。



それからしばらくして、彼が離婚したって聞いた。私はメールアドレスも変えて、自分から彼が連絡を取れないようにしていた。だけど、今、私には大切な人がいない。寂しかった。だから少し考えて、私の居場所を書かない年賀状を送ってみた。

もしかしたら彼は気持ち悪がるかもしれない。私の事なんてとっくに忘れていて、覚えていないかもしれない。だけど、何も無くなってしまった私の人生にとって、唯一の楽しみであり、蜘蛛の糸だった。絶対に手繰る事の出来ない、願いが叶う事の無い、存在証明をするだけの。



貴方にもらったCDを、今でも大切に聴いています。その事を書いた後、彼が再婚している事を知った。その人は歩き続けていた。私はこの場所で立ち止まったままだ。



もう止めよう。



私とその人が繋がる事は無い。一縷の望みも絶たれた私は、これからどうしようかとぼーっと考えていた。





毎年届いていた、以前の職場の女友達の年賀状。居場所が書いて無いから返事することも出来ない。

不思議に思っていたが、今年は届かなかった。

きっと彼女も大切な人を見つけて、幸せになれたのだろう。
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1987/01/14
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自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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