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完全フィクション
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本を開いて、ページをパラパラとめくる。

何度も繰り返している内に、自分の好みの作品を探し出す。

レジに向かう。

「これください。」



CDを視聴する。再生ボタンを押す。

いくつかボタンを押して曲を変えている内に、自分好みの楽曲を見つける。

レジに向かう。

「これください。」



PCを立ち上げる。暇潰しにクリック。ページを開く。音が流れる。飛び込む文章。舞い踊る画像。揺らめく動画。打ち震える心。

ブックマーク。



ふとしたことで、喧嘩になった。

今までそれ程仲良く無かったのに。

お互いに許せない何かがあったのかもしれない。

最初はお互いを避けていたけど。

我慢出来なくなって本音をぶつけ合った。

酒の席も交えて、夜を明かした。

お互いの道は譲れなかったが、心が通い合った気がした。

酔い覚ましに烏龍茶を飲みながら。

二人だけの交差点の上で。



ネット上で徘徊していたら、良くコメントし合うようになった。

お互いの顔も知らなければ、性別だってわからない。

だけど趣味が合った。話が合った。

チャットをすればどこまでも話が尽きなかった。

相手がどんな素性かもわからないけれど。

同じものを好きだと言う連帯感を感じた。

画面の向こうにいるのは、間違いなく温かい人間だった。

仮想空間の片隅で。



気にはならなかったけど、ふと目が合った。

アタシの好みじゃないけど、何かが気になった。

たくさんの人がいる飲み会で、その人だけに心が揺れた。

それはただの勘違いかもしれないけれど。

たった一夜で終わってしまうかもしれないけれど。

私の心は、確かに動いた。一緒に、身体も動いた。

話してみる。楽しかった。

二人だけの夜を過ごした。

喧噪で溢れかえる街の片隅で。私だけの夜想曲。



一目で、恋に落ちた。

話せば楽しかったし、一緒にいるだけで心が落ち着いた。

理由なんていらない。ただ一緒にいたい。

プロポーズも受けてもらった。

これから先、いくつもの夜を一緒に。

時には別々の場所で。同じ月の下。幾重もの夜を過ごす。

いつか家族が増えて、どちらが先に旅立つかわからないけれど。

最後まで一緒に過ごすつもりで、二人で歩み出した。

この長い道のりの真ん中で、君と出会った。



世界はどこまでも広がっていて。

70億以上の人間が、違う文化、土地、人種の中でひしめき合っている。

そこにはさらに多くの物がひしめき合っていて。

星の数ほどの中から巡り合える奇跡。

探せば理由もあるかもしれないけれど。

理屈なんていらない。

好きだから。
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「何、今度のは勘違いだって?」

「ええ。何か逆恨み、人違いの上ストーカー行為を経ての殺しみたいですよ。」

「そりゃあとばっちりもあったもんじゃないな。」

「被害者からすればそんな事情は関係無いですからね。」

「大体同じ名前だからって確認すら怠るとは…。しかも自分が捕まるとかは考えて無かったのかねえ。」

「ストーカー行為でも立派に犯罪になりますからね。自己満足が満たせれば良いんじゃないでしょうか。」

警部と警部補が今回の事件について、苦渋の表情で状況を鑑みている。

「で、容疑者はなんだって?」

「尊厳を…とか挑発された…とか。まだ人違いである事も伝えて無い段階だったんで、それこそドヤ顔で語ってたらしいですよ。」

「バーナム効果の逆恨みか…。世も末だねえ…。」

「自意識過剰と過度なプライドが生み出す、とばっちりの迷惑行為です。」

「当人の事情とか、そんな事は関係無いからな。犯した罪は償ってもらわないと。」

「正式な手順で裁かれて、順当に償う事になるでしょうね。」

警部は就職前に憧れていたドラマのように、ブラインド越しに外を覗いた。



「お姉ちゃんが通報した事件がドラマでやってるよ!」

「そんなもの見てどうするのよ。」

「どうするのよって…。自分が通報した事件じゃない。興味無いの?」

「無いわよ。犯罪に興味なんて。ただただ関わりたくないと思うだけだわ。」

「逆恨みで人違いなんだって。名前が同じだけなのに。怖いわあ。」

「そんなのやられた側には関係無いでしょ。勘違いだからって、罪が許されるわけじゃないし。」

「お姉ちゃん、どうなるかも知りたくないの?」

「無いわよ別に。庶民は庶民の出来る事をやっただけだわ。後は専門家に任せて、裁かれるなり、償うなりすればいいじゃない。」

「まあ…やった事が勘違いでも、別に罪が消せるわけでは無いよね。」

「そうそう。もう後戻りは出来ないの。人生にリセットボタンは無いのよ。ボーダーラインを越えたら、それでおしまい。自分だけは大丈夫、なんて思わない方が良いわ。」

「人を呪わば穴二つ…。」

「呪いだったらまだ洒落で済んでたかもね。でも国によってはそれすら裁かれるところだってあるのよ。」

「害意を以て害を与えようとすることが問題な訳だ。」

「しかも人違いなら、その人関係無いしね。私にとっても、その人がどうなろうと、知った事では無いわ。」

「南無阿弥陀仏。」

「それは被害者に向けてるのよね?w」

因果応報。南無。
ぬめりとした空気が部屋の中を満たし、まるで沼の底にでもいるかのような気分にさせる。なんて書き出しの漫画だか小説があったような気がしたが、そんな事は別にどうでも良かった。

自分自身は動いていないのに、正気のままぐるぐると部屋を回っているような感覚に、

「あ、眩暈でも起こしているのだろうか」と

自分自身の頭の中を心配しているような、そうでも無いような。

録音したばかりの新曲を再生すれば、あっと言う間に異空間出来上がりだ。胃に来る重低音と、眠気を誘う繰り返しが心地良くすら感じる。

持ち上げられるのは好きじゃ無いが、目立たず、わかる奴にだけわかれば良いと開き直って自分自身の好きな音楽だけを突き詰めて行くと、いつの間にか宣伝もしていないのに、二酸化炭素が何もしなくても存在しているかのようにファンやフォロワーが湧いて出て来ていた。

まだ一度も音源を出した事も無ければLIVEをしたことも無い。どこから漏れたのかを考えるとうすら寒い気分になるが、生と死すらもどうでも良くなった自分にとっては他人なんて虫けらのようにどうでもいい存在だった。

ただ、自分が良いと思う物だけを創り続ければいいだけなのだ。他人なんて関係も無く、評価もいらない。だけれども、共感出来る者たちが、何かしらの感動を経て、辿り着いてしまったようなのだ。

気が付けばうるさい何かが多数まとわりつくようになったが、俺の人生には関係無かった。思いがけない頭痛に何もする気が起きなくなったりもしたけれど、この部屋の空気はいつだって変わらない。私の領域は何者にも侵される事は無かった。

毎日毎日、同じことの繰り返し。それは私の音楽の嗜好を現しているかのごとく…それはもしかしたら人によっては退屈な時間なのかもしれないが…心地良い絶妙なバランスを私の人生に創り出していたのだ。

それだけで私の空虚な心は満たされる。もっと言えばたったそれだけで私は幸せなのだ。こんな安くて簡単な人生があろうか。誰に迷惑を掛ける訳でも無い、ただの自己満足で完結出来る人生だ。

他人にとっては本当に屑ほどの欠片も意味を見出せないだろう。それもそのはず。私にとっても私以外の、もっと言えば私が生み出す音楽以外は何の意味も持たず、それ以外は生き延びる事しか考えていないのだから。

最近はそれすらも億劫になって来た。全てを終わらせても良いぐらいだと考えている。

私の、私自身による、私の為だけの空間で。
ころころころころ。林檎が転がって行く。坂道を下り、走って追いかける。

たまに転んでみたり、水たまりに脚を踏み入れてしまったり。

見た目はとても美味しそうな林檎。時には一緒に転がり落ちる。

坂道はどこまでも続いていて、でもその先に地獄が待ち受けていると言う危険も無く。

この先には車道なんてものもなかったはずだ。

もしそういったものがあったとしても、追いかけるのを止めただろうか。

ころころころころ。林檎が転がって行く。坂道を下り、走って追いかける。

酸いか甘いか。食べてみなければわからないのに。

ころころころころ。林檎が転がって行く。坂道を下り、走って追いかける。

ああ、もう少しで平地が見える。あそこで拾って食べてしまおう。

ころころころころ。林檎が転がって行く。坂道を下り、走って追いかける。

平地で止まり、拾い上げる。

迷わず拭いて、ひとかじり。

甘い。でも美味い。甘すぎると言う事も無く、自分にとって絶妙の味だった。

ふと空を見上げれば、それはこれ以上無く晴れていて。

確か昨日は大雨だったような気がするが、口の中に広がった林檎の味と

雲一つ無いその空の青さに、そんなことは忘れてしまった。

そういえば、随分下まで来てしまったのだな。

元の場所まで戻らねばならない。

今度は坂道をしっかりと踏みしめて、一歩一歩歩き始める。





しばらく歩いて、ふと下ばかり見ていたことに気付く。

元いた場所のさらに向こうに、大きな林檎の樹が生えていた事に気が付いた。

その堂々たる佇まい。何のことは無い。自分が口にした林檎は一部でしかなく、

その素晴らしい全容は圧倒されるほどの魅力を持ちながらも、

押し付ける事も無くそこにただ存在しているだけで笑みを禁じ得なかった。





触れている部分はいつだってたった一部で、全てを見るには時間が掛かったり

深く踏み入れたり、自分から知ろうとしなければわからない事も多い。

誰にだってあの林檎の樹の様な魅力を携えている可能性があるのだ。

もちろんそれが誰しもに危害を加えるような危険性を持ち合わせている

可能性も否めないのだけれど。

判断するには、自分の感性を信じるしか無い。

それが見誤ったとしても、自分の五感で感じたものの答えなら、

誰に責任を押し付ける術も無く納得するしか無い。

その結果どうなるかも、その後の判断と自分の行動に任せればいいだけの事。




風にざわめく葉の歌声を聴きながら、温かい気持ちで林檎の樹を眺め続けた。

林檎の芯を手に。
「夢か現か幻か。よってらっしゃい見てらっしゃい。妖怪たちの大行進だ。」

普段車や人が通る大通りに、見た事の無い…いや、もしかしたら人々が古から見ていたかもしれない異形の群れが列を為していた。

見物人は次々と増えて行く。たったひとつの目的地へと赴く異形の群れに、人々は何を思っただろうか。

実は人間も、同じようなパレードの中にいる事にお気付きだろうか。『死』と言うたった一つのゴールに向かって、十人十色、様々な手段、方法、道筋を辿ってただゴールへと突き進む。人類が誕生してから例外は無い。その百鬼夜行の群れから外れる事などまずありえないのだ。

妖怪どもと一緒にするなと憤慨される方もいらっしゃるかもしれないが、同じ種族と言うだけで、肌の色も違えば血の種類も違う。姿形など統一性は無い。中身を見ても趣味趣向それぞれがてんでバラバラ、お互いを見れば異形そのものでは無いだろうか。

強い共通観念から、同種である事を認識してはいるものの、それでは何故人々は殺し合い、または憎み合い、いがみ合うのだろうか。同族嫌悪などと言う言葉はあるが、その芯は自分とは違う異形に対する嫌悪に過ぎないのだ。ちょっとした違いが許せないのだ。それは本来どうでも良い事であるはずなのに。

地球全体、そして自然を蝕む人間こそが異形と認識されても仕方が無い事なのだ。それは人間の中からも

「一度人間は全て滅びた方が良い。」

なんて意見が出る事からも、それを物語っている。

しかしながら平和に暮らす凡人の大半は、滅びるわけにはいかない。地球上の百鬼夜行と成り果てても、種を残す為に、大事な人々を守るために、それぞれが働き、戦い、少しづつでも、這ってでも前へと進む。それは既に異形では無く、理解出来るものからすれば美しくもあり、はかなくもある。

そう考えれば妖怪だからなんだと言うのだ。人々に驚きを与えてくれる百鬼夜行は、決して異形などでは無い。むしろ人生そのものを鏡のように写しているのでは無いか。

しかしながら、それはまるで生き急ぐ事を選択した人間のように、魂を奪われて天に召されても、自分の選択、自己責任である。他力本願、責任転嫁などとんでもない。あなたの人生は、あなたしか生きられないのだから。

今日も今日とて進めや進め、百鬼夜行。魂奪うか、好奇の目に晒され喜んでいるのか。笑い声すらこだまする。諸行無常は承知の上。いざ進まん、生まれながらの死出の旅。南無。
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自己紹介:
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