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完全フィクション
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「あなたは後数時間で死にます。」

「なんだって?」

帽子を被った子供…だよな?俺にとんでもない事を言って来た。

「最近の漫画原作のドラマの見過ぎじゃないか。」

「あれは作者に頼んで心構えをしてもらう為に書いてもらった作品です。内容までは口出ししてませんけどね。」

「悪い冗談だ。大体なんでそんな早く死ななきゃならないんだ。」

「これでも数か月前からフル動員で頑張ってたんですよ。」

「なんだって?」

「率直に言いましょう。地球は数時間の後、滅びます。」

なんてこった。これ、夢じゃあ無いか。

「残念ながら夢ではありません。」

「心を読むな!(笑)」

「笑ってる場合でも無いんです。あなたが、私が担当する人間の、最後の一人です。まだみんな生きてますけど。」

「地球が終わるって?何で。」

「実は地球もあなたがたと同じように生きてるんですよ。」

「だから何だ。」

「つまり、寿命です。」

「これからどうなる。」

「世界中で異常気象が始まります。ただ、最初の地震と津波、火山の爆発による火砕流でほとんどの人間は息絶えます。ちなみに、日本は富士山の大爆発で、逃げ場は無いでしょうね。」

「何でもっと早く教えてくれなかったんだ。」

「あなたが、一番何もしなそうだからです。」

この一言に、きょとんとした後、爆笑してしまった。

「大丈夫ですか?」

「いやいや、すまんな。こんなに笑ったのは生まれて初めてだよ。」

「そうですか。」

「わかっているとは思うが、今俺は引きこもりでね。家族もいないし、もう何もやる気を出せなくなってしまった。まさか死神にそんなことを言われるとはな…俺も大したもんだ。」

「あと数時間、悔いの無いように生きて下さい。」

「お前の言う通り、何もする事は無いよ。みんな死ぬのなら満足だ。」

「そうですか。特例として、会いたい人にも会わせてあげられますけど。」

「天国だか地獄だか知らないが、死んでからゆっくり会いに行くよ。会えなかったら会えなかったでそれまでだ。」

「不思議ですね。」

「何がだ。」

「あなたが一番落ち着いて死を迎えようとしている。正直、潔くて格好良くも見えます。死神目線ですが。みなさん、見苦しいほど取り乱してますよ。」

「きっとやり残した事があるんだろう。羨ましい限りだよ。」

「そうなんですか。」

「ああ。何も悔いは無い。死神だが、最後に話が出来て良かった。」

「お役に立てて光栄です。」

「ありがとう。」

「どういたしまして。」

「時間ですね。」
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文章にしたためるにはあまりにも甘美で切ない誘惑・・・。

ガーターベルトとランジェリーだけじゃ物足りないのかしら。
バラの棘であなたのその張りのある肌を裂き、美しい紅い液体を滲ませる。

そこに舌を這わせればあら不思議。私もあなたもお互いの虜。
虜になるって、そう簡単じゃないのよ。それこそ血が混ざるような
交わりが欲しい・・・だからこそあなたを選んだの。

どうしたの?動けないでしょう。世界はすでにあなたと私だけのもの。
ここから出たいのなら欲望に身を任せて、抗うことなく感じなさい。
ああ・・・背筋がゾクゾクするわ。鞭を振るってあなたに痛みという名の
快感を与えてあげる。キズモノにはしないから安心してね。

私は何かが欠落していて、何もかもが足りないからあなたという
存在で私を埋めるの。逃げたい気持ちも止めたい気持ちも
無くなるぐらいに喜ばせてあげるから。もう少しだけ、不自由を楽しんでね。

手錠は外してあげるけど拘束で手首を皮の戒めとして結んであげる。
本当は私も辛いのよ。あなたの悲痛な叫びが聞きたいのに、あなたの
口を黙らせているのだから。噛ませたタオルは苦しいかもしれないけれど、
あなたが身を委ねてくれればすぐにでも外すつもりよ。待ってるから。

興奮して息を荒げて震えるあなたの・・・目は見えないけれどその顔が好き。
私の感触を肌で味わってね。あなたを束縛しているように思えるかもしれないけれど、
本当は私があなたに何をされても良いと思っているのよ。理解して。

淫靡な音が冷たいコンクリートの地下室に響き渡る。ここに存在するのは
あなたと私と言うアダムとイヴしか存在しない快楽の楽園(エデン)。

何もかも忘れて、骨が見えるくらいに愛して。私はあなたに全てを曝け出すから。
紅とピンク色に染まった私の中身を見せても良いのよ。これで人生が終わりでも良い。
もっとあなたの存在を、私の中に注ぎ込んで。私の身体に沁み込ませて。
喉の奥まで潤して。そして燃え滾った私の心もあなた色に染めて欲しいの。

もっと。もっとちょうだい。私にはあなたしかいないしあなたには私しかいないの。
もういいでしょう?私以外の全てを諦めて、残りの全てを私にくださいな。

ここには何も届かない。あなたを探す手も。臭いを嗅ぎ回る脚も。
あのけたたましいサイレンの音もここには届かないわ。

私はあなたを愛しているから、あなたも私を愛してね。
それがこれからの二人の全て。そして未来なのよ。
殿方の視線が、私の肢体に降り注ぐ。

嫌だわ、私ったら少し興奮してしまっているのかも。

上気づいた表情を見せれば、場内も興奮の坩堝と化しているような幻想・・・?に捉われる。

私、渦の中心になってるんだわ。



「彼女の色っぽさは芸術的だね。」

「お褒めの言葉、ありがとうございます。」

「マスター、彼女にチップを渡したいんだが。」

「それならばお客様のお近くへお呼び致しますので、彼女の衣裳の間に挿入下さい。」



マスターに呼ばれて殿方の元へ。衣裳と胸の間に札束が挟まれる。

「ダメです。感じてしまいます・・・。」

「あっはっは!それじゃあもう一束やろう。」

私への賞賛が札束になって降って来る。だけど本当に欲しいものはこれじゃないわ。



私たちは脱がない。あくまで美しさで勝負。オンナですもの。オンナを捨てたらオンナじゃなくなっちゃうから。

歌に踊りに、殿方を魅了する。色恋沙汰で失敗するのは二流の仕事。私は流されない。殿方の心を、歌と踊りと動きだけで満足させて見せるわ。

もっと、もっと拍手を頂戴。私にたくさんの賞賛の雨を降らせて。

私が恋してるのは、誰でも無く舞台の上の私にだけだから。



「彼女は本当に楽しそうに踊るわね。」

「仕事だと思ってないんじゃないかしら?」

「私たち嫌々ながらを隠しながらの二流とは違うのよ。」

「段違いよね。同じオンナでも見惚れちゃう。」

「あらダメよ。あの娘、色恋沙汰はしないって言ってたわ。」

「そんな事言って抜け駆けしようったってそうはいかないわよこの泥棒猫。」

そんな同性の言葉も、快感に一味。

それに私の仲間だもの。家族みたいなものだから、褒められたら素直に嬉しいと思うじゃない。



「ずっと、この場所にいたい。」

メイクを落としながら、一人呟いてみる。だけどわかってる。いつかは年齢も重ねて、肉体だって外見だって衰えて行くもの。永遠にこの場所になんていられるはずが無い。

だけど、どんなに見苦しくても、這いつくばっても、この場所にこだわり続けてやるわ。しがみついて妖怪のようだと言われても。プロ意識で少しでも長く居座ってやるんだから。

「私ったら居直り強盗みたいね。」

図々しい事この上無い自分の考えに苦笑する。

ああそうか。私、本当にこの場所が好きなんだ。

だから死んでもこの場所を離れたくない。

みんなと一緒に、歌って踊って上達していくの。

世界一のバーレスクを世界中に見せてやりたい。

誰に笑われても良いの。それが私の夢だから。
いつも、居場所を探していた。

「私の本当の才能とか、向いてる、向いてないとか、そんなの自分じゃわかんないよ。

本当はね、私、自分に正直に。欲望も、欲求も、全て曝け出して生きていたい。

だけどそれはここじゃ出来ないみたい。

でもね、それってさ、制限がある中で工夫して新しい自分を生み出すチャンスかもしれないって思ったの。

だからね、いつもの自分とは違う、新しい道を歩く事にしたの。

着飾っても、媚びてでもいい。多少背伸びしても無理してても、それは新しく生み出された自分なんだって考える事にしたんだ。

それはもしかしたら、すごくカッコ悪くて、どうしようもないつまらない事かもしれない。

だけどね、私、失敗は成功の元だって、昔好きだった先生に教えてもらったの。

本当はね、全てを曝け出した私の裸をみんなに見て欲しいんだけど。

それはここではダメみたいだから。私、着飾って踊ってみる事にする。

滑稽でもいい。暇つぶしにでもしてよ。私の事なんて。

それでもあなたの何かを動かせたのなら、きっと私の勝ちなんだと思う。

負け続けるかもしれないけど・・・準備はいいかな。

私、これから風呂敷を広げるから。眺めても踏みつけても構わないよ。

あなたの好きにして。私の一部を視姦して。

あなたが外で遊び歩いて、気が向いたときにここに来てくれればいいから。

都合のいい女でいいから。私は、あなたが来てくれた時にいつでもここにいるわ。

あなたは忘れていても、私はここで待ってるから。

お願い。

一生に一度でいいから、ここで私の一部を抱いて欲しいの。」

『さあさあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。夢見るウェンディ、時を追い掛けるアリス。

そんなものとは比べ物にならないただの売女の独り語りだよ!

お題は結構、いつでも無料。24時間営業と来たもんだ。

いつでも見に来て良いよ、チラシは街中にばら撒いた!

さあさあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。』

「もしかしたら、私が女だからって馬鹿にしてる?

いいわ、せっかくだから、私、自分を偽ってあげる。

あなたに純粋に見て欲しいから、男の名前にしておくわ。

いえ、決して腐女子ってワケじゃあないのよ。

あなたの見えない所で、私だってわからない形で。

私が女だって気付いたら視姦して欲しいだけなんだから。

これは火遊び。私のワガママ。

さあ、私と言う名の物語が始まるわ。

時間と気持ちの許す限り、ごゆるりと楽しんで行ってね。

それじゃちょっと幕外に失礼。」
それは壮大な裏切りであり、実験である事には間違いが無かった。
誰もが羨むその人間を、憧れる人間だけで実行しなければならない。
理由なんてどうでも良かったのかもしれない。小さな事が積み重なって、
皆が裏切られたと感じる頃には、私は少しづつ話を進めていくことにした。

希望者を募る・・・と言っても途方も無い時間が掛かると思われた。
しかしながら人の興味というものはどうやら予想以上に力を
持っていたようで、噂を流すだけで自然と集まる動きが、
そしてひとつのプロジェクトとしての流れが出来上がって行った。

発案者は私であったが、自己顕示欲の強い者たちが自分が自分がと
名乗り出てくれたおかげで、少なくとも主犯格にならずに済みそうだった。

もしかしたら・・・いや、成功する可能性は少ないかも知れないと思っていた。
しかしながら復讐するにあたって、殺すことよりも苦しませる方が、より長く
悔恨と、理不尽さを彼自身が思い知る結果になるであろうことにほくそ笑む。

会場に集まるのは希望者のみでなければならない。
被害者が増える可能性があるからだ。しかし彼以外の人間には
情報が万遍なく伝わるはずである。スタッフも裏切られたと
感じていることを何度も確かめ、良く精査した上で確信を得た。

彼の知名度は高いが、人間的には褒められたものでは無かったのかもしれない。
それでも皆が憧れるだけのカリスマ性があったが、それに応えるだけの
誠意が足りなかったのだろう。可愛さ余って憎さ100倍。そんな言葉が
頭を掠め、これ以上無い状況を表す語句だなと苦笑した。

当日のチケットはSOLD OUT。至極当然の事だっただろう。
それだけの人数が皆、復讐をしたいと思っていたのだ。
事前に用意された耳栓は、それぞれの耳に嵌められた。

これ以上無いほどにそれぞれが正確に時計を合わせて来た事だろう。
成功しないにしても、息がピッタリと合わなければ実行すら出来ない。
それにしても耳栓をしても、大きな音は聞こえるものだなと、
身体で感じながら、精一杯会場全体が楽しむフリをしていた。

彼は自分が復讐されるなどと思ってもいないだろう。
誰か彼に伝えるような裏切り者がいなければ、の話だ。
中には半信半疑の興味本位で参加しているものもいるかもしれない。
成功すれば確実に、一生残る傷を与えられるというのにだ。



アンコールを迎え、シンと静まり返った。



時間だ。



全く同時にたった一度の拍手。楽器の音が彼の鼓膜を。
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1987/01/14
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音楽鑑賞
自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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