完全フィクション
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震災後の影響がどのように働いたのかはわからないが、
ここ数年、蝉の鳴き声が聞こえなくなったように感じていた。
それは少なからず平穏を感じる日常や夏らしさを味わえない
寂しさであったり、不安であったり、どこか負の感情を抱えていた
心中が少なからずあった。これは異常事態なんだな、と。
それが今年に入って、うるさいくらいの蝉の声がけたたましく聞こえる。
墓地と林の中の涼しげな風景も何処吹く風、蝉たちはまるで
俺たちは滅んでいないぞ、生きているぞと主張しているようにさえ感じる。
何はともあれ、数年経ち、日常が戻って来たのであれば言う事無し。
自然界にも大きく震災の影響が出ていたのだなと、爪痕を振り返るような、
それでいて少しづつ取り戻している平和を心から望むばかりだ。
ただ、蝉の声が聞こえないだけで、こんなにも夏らしさを失ってしまうとは
うるさいなと汗をかきながら蝉時雨の中に身を置いているとなかなかに
普段は気付かないようで、微笑ましくも感じていたのだなと思う。
何もかも解決はしていないけれど。そして、何も終わってなどいないけれど。
せめて人の心の平穏ぐらいは取り戻しておきたいなと願うばかりである。
そうでなければあまりにも救いが無さ過ぎて泣けてくる。
犠牲者の方々のご冥福を祈ると共に、少しづつでも日常と言う
本来誰しもが持つ事の出来るささやかな幸せを取り戻して、
一歩一歩前に進んでいる事を実感したいものである。
忘れてはいけないけれど、人の心は癒されるべきだ。
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