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おとうさんとおかあさんがまたけんかしている。

ぼくがけがしないようにおばあちゃんにおじいちゃんのいえにつれていってもらう。

「あの二人はどうして仲良く出来ないのか。」

とおじいちゃんはためいきをつく。

おばあちゃんはただ、かなしそうなかおでぼくのあたまをなでてくれる。

ぼくはあまりおとうさんとおかあさんがなかよくしていたきおくがない。

だからいつかぼくがおとうさんになったときは、ぼくのおよめさんとたくさんななかよくしようとおもう。

おばあちゃんがふとんをしいてくれて、きょうもおじちゃんとおばあちゃんとねることになった。





わたしのおとうさんとおかあさんはいつもなかがいい。

「またいちゃいちゃしてるー。」

おとうとがからかうと、おとうさんはまじめなかおで

「家族が仲良くしているのは大事な事なんだぞ。」

とおとうとのあたまをなでながらニカッとわらう。

わたしはおとうさんのわらったかおがすき。

だからいつかおかあさんみたいなひとになって、おとうさんみたいなひととけっこんするんだ。

きょうもみんなでねる。おとうとはいつもたのしそうにしてる。わたしはしあわせ。

おやすみなさい。





「おにいちゃんがまたぼくのおもちゃとったー!」

泣きながら下の子が訴えてくる。すまなそうな顔で上の子がオモチャを下の子に返す。

「わるかったよ。ほら。」

罰の悪そうな顔して、悪い子には育ってないなと一安心。普段からとても仲が良いから、子供たちが喧嘩をすると、昔の両親の姿を思い出してドキッとする。

「だってお父さんが悲しそうな顔するんだもん。」

偉いわね、と頭を撫でる妻に、上の子がそう答えた。自分ではわからないが。

「お父さんと弟と。そしてお母さんの為にも、これからも仲良くしてね。」

妻はとても家族が仲が良い事に喜んでいる。幸せだとも言ってくれる。いつぞやの両親のようにはなりたくないと、自分なりに努力はしているつもりだが、今の所大丈夫なようだ。

これからもいろんな事があるだろう。もしかしたら子供達の反抗期に悩み、涙する時も来るのかもしれない。でも、今の時間が子供達の心の中に根付いてくれるなら、大丈夫じゃないだろうか。

湯船から出て、あの頃ひとりぼっちで風呂に入り使っていた、久しぶりに見つけて来たシャンプーハットを被ってみる。

洗髪しながら目に染みた振りをして、一緒に入る子供達にばれないように、あの頃の寂しい気持ちと、この幸せな時間に対する喜びから少し泣いた。
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1987/01/14
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