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二人で寝る時は、パーソナルスペースは二等分が良い。

君と抱き合って眠るのは気持ちが良いけれど、
じっくりたっぷり眠るなら、お互いは寝やすい様な体勢で
眠った方が深く眠りに就ける。腕枕で腕が痺れる事はあまり無いけれど。

ふと夜中に目が覚める。何だか狭っ苦しい。トイレに向かう。
ベッドに戻る。まだ狭っ苦しさを感じる。君がのびのびと
僕のパーソナルスペースを侵食しているからだ。

二人で眠ってい無ければ、体感出来ないであろう幸せな苦労。
他人が聞いたらのろけになるのだろうなと苦笑していると、
君は寝ぼけ眼で、実際には暗闇で何も見えないのだが…。

「大丈夫?」

君は就寝時の記憶を失う事が多いから、今感じている
幸せな苦労を言及したとしても、君は忘れてしまうだろう。

「大丈夫。」

君はどうやら嬉しそうに、抱きついて来る。
僕も君を抱きしめ返す。お互いに愛の言葉と、
おやすみなさいと、口付けを交わしてしばらく
してから体勢を立て直し、眠りに着く。










翌朝目を覚まして、君に話してみる。
責めるわけでも無く、笑いながら。
しかし君は、悪ぶれもせず言った。

「あなたは壁の男ね。だからこれは運命なのよ。」

多分僕は、鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔をしていただろう。
君の極論と、普通に生きていたら一生聞かないであろう
カテゴライズに僕は決めつけられてしまい、苦笑する。

君と暮らしてから、思い出し笑いが多くなった。君と言う
魅力に溢れた人の、不可思議な言動に幸せを感じる。
何でも無い事が毎日楽しくなる。君をパートナーにして
本当に良かったと心から思うのだ。口付けを交わす。










訝しげな顔した君が、匂いを嗅いで、一言。

「なんだか変な臭いがする。」

俺の口の臭いを嗅いで

「あなたからたまねぎの臭いがする。」

「食べてから歯は磨いたけど。」

もう一度歯を磨いたが、残念。臭いは取れなかった。

「さばの臭いもする。」

「さばと野菜炒め食べたからね。君の作ってくれた。」

「あなたはさばたまねぎの男ね。」

笑いが止まらなくなった。さばたまねぎってのも聞かない言葉だ。
どうやら今度の配属先は、さばたまねぎの男に決まったようだ。
君と言う上司は、部下である僕に、素っ頓狂な役職を与えてくれるね。
愛情が込められた君の辞令に、笑顔で頷くしか無いじゃないか。

君は僕を抱き締めて笑いながら、さばたまねぎの男と
繰り返し僕を呼んで、僕を何度も笑わせる。










そんな君を心から愛してる。



壁の男改め、さばたまねぎの男より。
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耕助
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37
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男性
誕生日:
1987/01/14
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フリーター
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音楽鑑賞
自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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