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ともかく私は、ヒーローズギルドの受付になってしまった。

なってしまったと言う言葉遣いに違和感を覚えた読者諸君。
諸君らの感性は全く以って鋭さを褒め称えて余りある。

ヒーローってカッコイイものじゃない?
女である私が、いえ、この町の女性みんなが
うっとり思い出して語られるような。理想かもしれないけどね。
白馬の王子的な妄想なり憧れを抱くのは当然じゃないですか。
もちろん私もあわよくば・・・ゴニョゴニョ・・・な展開も期待した上での下心。

そう。願わくば諸君らに気の迷いであったと、全力で言い訳させてもらいたい。
ウチのヒーローズギルドは全く以ってやる気が無い。ヒーローのヒの字も無い。

そのくせ、町にはこれでもかと言わんばかりにモンスターがやって来る。
もちろん他力本願な町人や私のようなか弱いヲトメ・・・(私だよ私。
ほら、そこ唾吐いてんじゃねーよ蹴っ飛ばすぞ)が咎めるのが筋違いなのも
読者諸君らの指摘であれば甘んじて受け入れる所存ではございますが・・・。

正義感の無いヒーローってどうなのよ。まがりなりにも下心丸出しで受付に
受かってしまった・・・そう、受かってしまった私を石投げて笑ってくださひ。
モンスターが来てもあくびはするわ、泣き出す奴はいるわ、寝るわ・・・
ある意味肝が据わっていてそこら辺がヒーローなのかもしれないけどね。

「ぼらんてぃあ?しらねーよ報酬寄越せ」だの「生きたもん勝ち」だの
ぶつくさ言いながら壊れる町を見ながら酒盛りを始める始末。

それでいて実力はあるからタチが悪い・・・いや、本当に。ドラゴンぐらいなら
モンハンやりながら・・・おっと失礼。片手間で倒せちゃうぐらい強いのです。

「モンスターが出たぞー!」

町人の声に窓の外を見ればトロールですよ。二階建ての一軒家が小さいぐらいの。

仕方が無いのでギルド内のヒーロー・・・もとい飲んだくれの酔っ払いどもを
けしかけるために、か弱いヲトメ(だから私だっつってんだろ)である私が
操を守りながらやる気を出させるしかないのです。
町のクレームは受付である私に集中するので。

「今回の報酬はほっぺにちゅーです」

「ふざんけんなー!」

「乳もませろー!」

「嫁入り前の美少女になんてことを・・・。」

「誰がびしょうj・・・いえ、なんでもないです。」

私の上目遣いに恐れをなs・・・もといやられちゃったのかしら。
(二つの意味で。)仕方無いなあ・・・。

「なんかモンスター倒してくれたら酒おごってくれるとか言ってたけどなあ。」

俄然色めき立つヒーロー?たち。こののんべえどもが・・・。

「やったろうじゃねえか!」

「お茶の子さいさい!」

「酒じゃ酒じゃ酒じゃ!」

集団で出てったよ・・・。あ。トロール泣いてる。
まあ、ある意味集団で個々を撃破するのは常套手段だし、何とか言う
ヒーロー番組なんかでも弱いものいじめにしか見えない5対1とか
あるからなあ・・・。寄ってたかってタコ殴り。めでたし、めでたし・・・か?
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1987/01/14
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自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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