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手作りチョコレートなんて言えば聞こえは良いのだけれど、カカオマスで一から作る人はいないだろう。溶かして固めてアレンジを加えてラッピングして完成とするだけだ。

友達が私にお願いをして来た。だったら私もお願いしちゃおうかな。夜を待って、あの人の家のチャイムを鳴らした。

あの人のお母さんが出て来た。後からあの人が出て来る。私は後ろに隠れた友達の代わりに、あの人の幼なじみに、私の友達がチョコをあげたいからって、あの人に伝える。家の裏のあの人の幼なじみの家に向かい、私の友達がチョコを渡す。

「ごめんね。こんなこと頼んじゃって。君にもあげようか?」

「良いよ、気を使わなくてw」

あーあ。欲しいって言ったらあげたのにな。

私の友達が恥ずかしそうにあの人の幼なじみにチョコをあげて戻ってくる。あの人は家に帰る。私は私の友達と帰る事にした。

「あげられなかったね。チョコ。」

「…うん。」

本当は、ずっと前から。あの人が好きなんだけど。

友達に協力する事は出来ても、ひねくれた私は素直にあの人にチョコを渡す事は出来なかった。





私はちょっと粋がってしまって。不良なんて言葉で当てはめられるような立ち位置になってしまった。

私はまだあの人の事が好きだったから、何かとあの人の顔を見ると嬉しかったのに、からかう事しか出来なかった。ひねくれてる上に、幼いだなんて、ダメね私。

そうこうしている内に、不良と呼ばれる人たちにも疎まれてしまって。私は孤立してしまった。自殺する様な人たちみたいなひどい事をされた覚えは無いけど、他人から見たら私はいじめられていたのかもしれない。



そんな割とつまらない時間を過ごして。無事に卒業する事になった。

不良と呼ばれた人たちの何人かは脱落する事になってしまったけど、私は勉強する時間に不自由は無かったから。



卒業した日の放課後。あの人が笑顔で卒業アルバムを持ってやって来た。

「ひとこと書いてよw」

昔から変わらない、少し成長したあの人の笑顔。君だけは、私に変わる事無く接してくれたね。君のそういう所が好きなの。あの時、チョコ渡せば良かったな。

『からかってごめんね。』

そう書いて渡すと、

「ありがとう!」

笑顔で受け取ってくれた。

きっと君と会うのがこれで最後になってしまうんだろうけど。

嬉しかった。楽しかったよ。こちらこそありがとう。

そう思いながらも、笑顔で見送る事しか出来なかった。

ごめんね。さよなら。

今でも、後悔してるよ。
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1987/01/14
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自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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