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「ん~…。あと五分…。」

なんて呟いては見たものの、私を誰かが起こしに来たのかどうかさえも、はっきりとしない。

今自分が起きているのか寝ているのか夢の中なのかさえも判別が出来ない程、うすぼんやりと眠気に浸食された意識の中まどろみを楽しんでいた。

自分がどんな人間なのか、どんな立場にいて、今どこで寝ているのかとか、そう言う事もあまり良くわからない。と言うよりも睡眠が最優先で欲求が理性を凌駕していて、私が果たして私かさえもわからない状態にあった。

あなたはそばにいるの?それともあなた自体が、存在しない私の妄想なのかしら。そんな事を考えるのもほんの束の間、流れては消えて行く脈絡のない思考をただ茫然と眺め見送って行くような、そんな精神状態。

そもそも私は起きなければならないのだろうか。いつかのように起きてみたら休日で、な~んだ、まだ寝ていてよかったんじゃないかと後悔するよりも、このまま欲望に従っていた方が良いような気もする。

しかし何かしら起きなければいけない…例えば仕事や約束があったとして、もしも遅刻に至る程の遅い時間であったとしたら、私はすぐさま起きなければいけないだろう。

私が女性であったとしたら化粧には時間がかかるだろうし…。私は女性だっけ?考えている間に起きればいいのにとは思っても、眠気がそうさせてはくれない。

身体は動く。寝返りを打つ事は出来る。だけど目を開く事が叶わない。いや、きっと私は心の奥底から起きたくないのだとわかっている。だけど葛藤し欲望に抗おうと言う気持ちが欠片でも頭を掠めると言う事は、やはり起きなければいけない何かがあるのだろうか…。

ちょっとだけ起きて確認すればいいだけのはずなのだが、どうにもそれがもったいない事のようが気にしてならない。睡眠と覚醒の狭間にいる今の状態こそが至福の時間。私に許された贅沢。いや、許されてはいないのかもしれないが。

嘘だ。本当は悩んでなんかいない。その証拠に、一向に目を開こうとする意思すら感じられない。自分自身の事なのに他人の事の様な。

目を覚ましたら、隣に愛しいあなたがいるかしら。それともそんな人はいなくて、一人朝日の中で目を覚ますのかしら。

ああ、何故だろう。こんなにも眠っていたいのに、起きなければいけないような気がして仕方がない。そろそろ好奇心が睡眠欲に競り勝とうとしている。まだ寝ていたいのになあ。

きっと不機嫌な顔で、私は目を覚ました。
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夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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