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バイト先に新しく入って来た君は、スレンダーで背の高い私より大きくて、何となく恥ずかしかったのを覚えている。何でだろう。

私には付き合ってる人がいるのに、君は一生懸命私と接する時間を作って、好きだって気持ちを態度で表してくれたね。少しだけ、嬉しかった。喜んじゃいけないのかもしれないけれど。

君は部署が変わっても頑張っていたから、何となく少しずつ見る目が変わって行ったんだよ。君はきっと、私の心の中なんて知る由も無いだろうけど。

バイト先から花火大会の花火が見えた時に、二人だけで花火を眺めた事があったよね。君は私と花火を見に行きたいって言ってくれたけど。私には付き合ってる人がいたし、なんて答えて良いかわからなくて、笑ってしまったけど。本当は少し嬉しかったんだ。

いつだって君はまっすぐで。まっすぐに私の小さい目を見つめてくれて。たまにドキっとした事もあるんだよ。少しずつ、少しずつ。私の中の何かが変わって行ったのを、ごまかして過ごしていたのは隠せなかったと思う。

だからね、君が辞めてしまうって聴いた時。二人っきりで、ご飯食べたよね。君は浮わついた、私に対する緊張したような、喜んでいるような、そしていつもの表情で。ありがとうございました。って言ってくれた。

本当はね。君がちゃんと私に告白してくれるんじゃないかって。してくれたらどうしようかって少しだけ考えてたの。だから、何だか肩透かしを喰らったような…。裏切られたような気持になってしまって。

少し悔しくなって、悲しくなって、切なくなってしまって。何て言っていいかわからなくなって、軽く頭を小突いてしまった。ごめんなさい。

君の気持ちに応える事なんて、出来ない可能性の方が高いのに。憧れてくれていたであろう君を、いつしか私の物だって勘違いしていたのかもしれない。

それに、君と一緒になりたかったら、本当はもっとたくさん時間があって。私にもしも現状を打破する覚悟があれば、一緒になれていたのかもしれないのにね。

停滞を選んだ私には、何も言う資格なんて無い。だから、お疲れ様でした、って。事務的な挨拶だけで終わってしまった。君は何とも言えない表情で、私を見つめて、深々と頭を下げて残りの仕事に戻った。





君は今、元気にしてるかな?私じゃ無い、お似合いの誰かと幸せに暮らしているのかしら。私の事はもう忘れてしまっただろうけど、君は幸せに生きているよう願っているよ。ありがと。
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1987/01/14
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音楽鑑賞
自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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