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テレビを見ていて。新聞を見ていて。そして周りの多過ぎる旅立ちを見ていて。確信に近い不信感を募らせていた。

家族は世代が旅立つ時期なのだと言う。誰もが天災で済むはずの人災が引き起こした、取り返しのつかない過ちを、未だ解決すらしていないと言うのに忘れようとしていた。

いや、ただただ考えたくなかったのかもしれない。

先送りにしたからと言って現状が変わるはずも無く、日々過ちは肥大化し続けている。しかしながら誰もが話題に出さなくなった。危険なはずなのに。話題に出す事を愚かだと笑う人間すらいる始末。

この現状を見てそう思うと言うのなら、狂っているとしか自分には思えない。しかしなんら個人に手立てすら無いのは明白で、国が、政府が、焼け石に水のポーズだけを取っているのはこの国の…いやこの星の誰もが止める事すらできないのは明らかだった。



「これで本当に良かったのでしょうか…。」

「考えても仕方の無い事だよ。」

わざとらしいほどの政権交代は茶番劇。増え過ぎてしまった高齢者を支える若者の負担を減らす為に、腹黒い古狸達を説得、もしくはコントロールする事は事実上不可能だった。

必要悪と言ってしまえば言い訳になるかもしれない。しかし現状、多くの人間を欺き、高齢者の数を減らす事が、現時点での唯一の有効な方法だった。そうでもしなければ若者の未来を、私も含めた老害が暗闇で押し潰してしまうであろう事は、火を見るより明らかだった。

「誰だって人を殺したくは無い。だが、今どきの若者はなんて言えなくなるほどの、理不尽な状況が先に待ち構えているのがわかっていて、何もしないなんて事は出来ないだろう。」

多くの犠牲を払ってしまったが、これは未来を少しでも明るくするための英断。結果若者にも犠牲は出るかもしれないが、無駄な長生きなど、穀潰しも良い所だ。政府公認のすねかじりを増やす訳には行かない。

悪魔と呼ばれようとも、私の行動は全て間違っていないと考えている。いや、確信しているのだ。願わくば頼りがいのある若者が、多くこの国を支えて行って欲しいものだ。



タレントであるのを良い事に、好き勝手やって来た。正直もうやる事が無くなってしまった。未だ銭ゲバで貯め込むのもやめられないが、そろそろ世代交代。可愛い後輩達に稼がせてやらねばなるまい。

引退を決意していた時だった。タイミングの良さに神様を信じた。

「検査の結果、あなたの病名が分かりました。ガンです。」
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1987/01/14
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自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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