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「ねえ、いつまでこんな関係続けるの?」

彼女は言った。

「嫌だったらやめれば良い。」

俺は応えた。

「お互い、特定の相手がいるわけじゃないから、寂しさを埋める為に肌を重ね合わせたんだろう?俺だっていつまでも続くと思っちゃいないさ。」

「・・・・・・。」

「特定の相手を俺にしたいってのかい?」

「・・・・・・まさか。」

お互い、微妙な空気の中、何かを確かめるように言葉を紡ぎ出す。それはまるで、離れてしまうかもしれない曖昧な関係を、このままの姿で続けられる事を望んでいるかのように。

「・・・・・・あなたの事、好きだけどね。」

「嬉しい事言ってくれるじゃないか。」

「・・・・・・こんな形じゃなければ、もしかしたら・・・・・・。」

「・・・・・・やめよう!辛気臭い話は。気持ち良いから、お互いが必要だから側にいる。それでいいじゃないか。」

わかってる。お互いがお互いにズルいと感じているのは。だけど、確かなものにしてしまった瞬間、それは脆くも崩れ去りそうな気がして・・・。

「・・・・・・そうね。私たちらしくないわ。」

まるで自分に言い聞かせるように。

お互いの本心を、隠すか納得させたいのかはわからない。

だけどそこには水のようにあやふやな、それでいて確かな絆があった。

いつ終わるかなんてわからない。どちらかに良い人が出来れば、終わってしまう関係。

いつもの行為を終えてから、お互いの顔を何度も見ながら。その視線が交わる事も無く。

意識的に逸らしていたのかもしれないが、タイミングが合う事は無い。

情事の際には、お互いをあんなにもまっすぐ、見つめる事が出来ると言うのに。

「・・・・・・また、したくなったら連絡をくれよ。」

「・・・・・・わかったわ。」

一度も振り返る事無く、俺は部屋を後にする。




「本当に・・・。」

こんな形じゃなければ。もっと形にこだわらずに。

「本当に・・・。」

私の涙がポタポタと落ちる。みっともない。でも溢れ出る涙を止める事が出来ない。

あなたの側にいるのに、心はうんと離れてる。

「・・・・・・それでもあなたの事、・・・・・・あい・・・・・・してるのよ・・・・・・。」

零れる涙は嗚咽となり、言葉さえも遮って私は泣いた。泣き叫んだ。

どうしたらいいのかわからないの。近づいたらあなたとの関係が壊れてしまいそうで。

もうダメなのかもしれない。耐えられない。私。我慢出来ない。

溢れ出す感情が、次にあなたに会う時に告白させる事を決意させた。
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1987/01/14
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自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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