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とうとうここまで辿り着いてしまった。
時計を見ると、いつの間にか壊れて止まってしまっていた。
必要の無くなった時計を付けている事に意味は感じないが、
捨ててしまうのも勿体無いのでそのまま着けたままにする。

あれからどのぐらい歩いたのだろう。どれだけの人間を
置き去りにして来たのだろう。気がついたら一人だった。
けれども別に後悔は無い。手を差し伸べるつもりは無かったし、
立ち止まりたい人間は自分でそうしているのだからそれでいい。

日差しの無い曇り空が続いている。誰にも理解されないのなら
それでいいとただ自分を奮い立たせて歩いて来たのだ。

目の前には大きな城が建っている。ここに辿り着いた事は
当初の目的でもあり、ゴールでもあるのだが、これで終わりではない。

城の門をくぐり、天守閣に向かう。辿り着いて外を見ると、
何も無い砂漠が続いている。ここから世界を広げていくのだ。

「Never Ending Storyみたいだな。ファルコンはいないけど。」



「会社を設立して、運営していくなんて、そんなものだよ。」

独立祝いに飲みに誘ってくれた大恩ある社長はそう言った。

「そんなものですか。」

社長にとって馴染みのある、大切な好物だと言っていた
メロウコズルをちびりちびりと飲みながら、耳を傾け続けた。

「美味いかね。」

地元の酒を美味しそうに飲む俺を嬉しそうに眺めながら、
自分自身も味わって飲んでいる。肩に手を置かれる。

「今夜は格別に。」

立場は違えど、同じ目線に見てくれた、それでいて一生
追い抜く事は出来ないであろう社長の背中を横目で追いながら、
歳喰って小さく、丸くなっちまったなあと、一緒に会社を盛り上げて来た
我らのリーダーに対して失礼な事を思うのだった。当然、愛着を込めて。



俺の砂上の楼閣は、一体どんな箱庭を作り上げていく事が出来るのだろうか。
きっと社長は、盆栽でも眺めるかのように、俺の箱庭を見届けてくれるだろう。

さあ、ここからが俺の本当の始まりだ。
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耕助
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誕生日:
1987/01/14
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音楽鑑賞
自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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