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狭い部屋に銃声が鳴り響いた。銃弾は引き金を引いた男の頭をぶち抜き、脳をぶちまけた。

「・・・・ふー。」

向かいの男はひとつため息をつくと、あらかじめ用意してあった皮手袋をはめ、死んでしまった男の手紙を読んだ。

―死ぬことは恐くない。今まで自分がしてきた所業を考えれば、当然のことだと思う。ただ、苦しんで醜い姿を晒すぐらいなら、死を選ぼう。この死は、誰でもない、俺の意思で選んだものだ。

向かいの男は手紙を元の場所に置くと、拳銃の中身を確認した。・・・5発残っている。

「最初から弾丸は満タンだったわけか・・・満足か?」

もはや返事のない屍に問いかけるようにして、札束をしまい始める。

「死んでしまったら何も残らない。生きていれば何かの可能性は残されている。まぁ、お前の人生だったんだ。俺が何かを咎める必要はない。」

ドアを開けて、部屋を出て行く。

「身寄りのないお前が、他人に最後を看取ってもらうのは、寂しかったからなのか・・・今となってはわかるわけもないが。冥福を祈るよ。」

男は、無表情のまま、その場を後にした。
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