完全フィクション
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両腕を折り曲げて、肘で天を突くような格好で
自分の両肩を揉み始める。仕事柄、肩が凝るのだ。
「言ってくれれば、私が揉むのに。」
彼女がそう言って、顔をしかめる。しかしながら、愛する人を
疲れさせると言うのは、何となく気が引ける。他の事で
疲れさせたりはするのだけれど、結構な力がいるからね。
彼女の事を良くマッサージするので、そのお返しにと
思ってくれる気持ちは幸せで嬉しいのだけれど。
「いや、まあ自分で揉めるから。」
親指で下に突く様に肩の凝りを解していく。残りの四本の指は、
支点として首の後ろで支えるように添えておく。あー気持ち良い。
そして今度は首だ。首は、手で掴むような感じで揉むといい。
肩に繋がる根元の方から、耳の裏に近いうなじの方まで。
この辺にリンパがあるから、流すイメージで徐々に手の位置をずらしていく。
頭痛だったりすると、これをやるだけで軽減する時もある。
頭が痛ければ肩が凝るし、肩が凝れば頭が痛くなるからね。
まさに不条理な痛みの永久機関。早めに断ち切ってやるのが
リラックスへの近道ともなるのだ。なんて事も考えられないぐらいに、
そして気を抜けば寝ればよだれを垂らすか眠くなるぐらいに気持ち良い。
そして気が済むまでやると、自然と方が軽くなって目も覚める。
眠くなったり目が覚めたり忙しいが、血流が良くなると元気が出るのだ。
伸びをして、身体に喝を入れたら、今度は思いやってくれた
彼女に感謝のマッサージでもしてあげる事にしよう。
幸せそうで気持ち良さそうな、彼女の顔を見ていると、
こっちまで気持ち良くなって幸せになってくるから不思議だ。
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震災後の影響がどのように働いたのかはわからないが、
ここ数年、蝉の鳴き声が聞こえなくなったように感じていた。
それは少なからず平穏を感じる日常や夏らしさを味わえない
寂しさであったり、不安であったり、どこか負の感情を抱えていた
心中が少なからずあった。これは異常事態なんだな、と。
それが今年に入って、うるさいくらいの蝉の声がけたたましく聞こえる。
墓地と林の中の涼しげな風景も何処吹く風、蝉たちはまるで
俺たちは滅んでいないぞ、生きているぞと主張しているようにさえ感じる。
何はともあれ、数年経ち、日常が戻って来たのであれば言う事無し。
自然界にも大きく震災の影響が出ていたのだなと、爪痕を振り返るような、
それでいて少しづつ取り戻している平和を心から望むばかりだ。
ただ、蝉の声が聞こえないだけで、こんなにも夏らしさを失ってしまうとは
うるさいなと汗をかきながら蝉時雨の中に身を置いているとなかなかに
普段は気付かないようで、微笑ましくも感じていたのだなと思う。
何もかも解決はしていないけれど。そして、何も終わってなどいないけれど。
せめて人の心の平穏ぐらいは取り戻しておきたいなと願うばかりである。
そうでなければあまりにも救いが無さ過ぎて泣けてくる。
犠牲者の方々のご冥福を祈ると共に、少しづつでも日常と言う
本来誰しもが持つ事の出来るささやかな幸せを取り戻して、
一歩一歩前に進んでいる事を実感したいものである。
忘れてはいけないけれど、人の心は癒されるべきだ。
「んっ・・・。」
Tシャツにトランクスを着けた君は大きく不対称に腕を伸ばし、伸びをしている。僕は君の身体の曲線美が美しすぎて、前からすがりつくように抱き締めると、Tシャツの上から下着をつけていない君の乳房と乳首を、生地が透けるぐらいに舐め回す。
部屋には君の吐息と喘ぎ声で満たされる。そのまま僕は服を脱ぎ捨て、君の身体を味わいながら君の服を脱がして、いつもの行為にもつれ込む。
大きいとか、そういうのはどうでもいいんだ。僕はバランスの良い、自然な曲線美が好きだ。目の前に好物を差し出されたペットのように、我慢が出来なくなって愛情を込めて愛撫をする事に没頭してしまう。
それはきっとフェティシズムであり、僕の嗜好なんだと思う。同じような理由で、大き過ぎない乳房の女性との、騎乗位は心を満たすものがある。
「小さくて、ごめんね?」
なんて言われた日には、
「そんなこと無いよ。綺麗だよ。可愛いよ。」
と、畳み掛けるように褒めながら愛情を注がずにはいられなくなってしまう。だって本当に心から、美しいと思うんだもの。可愛いと思うんだもの。心を惹かれずにはいられない。
そんな自然で健康的な身体の曲線美に、『伸び』と言う動作が、さらに魅力を増すスパイスとなる。ましてや少し身体を後ろに反り気味に、平均的な乳房を主張する形が出来上がったとしたら、それはもう味わうしかなくなってしまう。
無駄に着飾ったり、化粧して美しくする必要なんて無い。なぜなら君自身を愛しているのだから、僕が好きなのはファッションでも化粧品でも無く、君そのもの。
もちろん付随するものとして服装やおしゃれは欠かせないものかもしれないけれど。だらしなく寝ている姿や、すっぴんでよだれを垂らしていたって、それは愛らしく、自分だけに許された特権のように、ありのままを見せてくれる君に感謝すら覚えるほどだ。
いくら、伸びが好きだからと言ったって、別に背伸びする必要なんて無い。君自身を好きになったんだから、肩の力を抜いて、自信を持って君らしくいてくれればそれでいいんだよ。
不自然なドレスアップよりも、自然が一番。普段の君が一番君の魅力を、何の曇りも無く楽しむ事が出来るんだから。毎日、ありのままの君でいい。そのままの君でいて。
十字架が好きだ。
別に私はキリスト教徒とかではない。あの十字架という形と、業を背負うと言う人間の原罪に、どこか形として持っていなければならないと言う無意識下の・・・。いや、やめよう。多分、理屈とかじゃなくて、本能的に好きなのだと思うから。
しかしながら同じように惹かれている人なんかも全員ひっくるめて、中二病扱いされるのはいただけない(笑)いや、本能的に好きだとか言ってること自体が中二病なのかもね。自分で自覚していないだけで。
もしかしたら日本人特有の八百万の神を祀る神道に基づく日本文化の、どっちつかずな曖昧宗教感から、そういったものを好む事に対しての中二病と言う批判的な例え方に当てはまる要素があるのかもしれないし。
世界中で言われている事だよね。年末、人生の終わりには仏教、年始には神道、クリスマスはキリスト教。節操が無いって。あれ?ハロウィンは宗教関係無いんだっけか。
十字架をモチーフにしている作品やアーティストなんかだってたくさんいる。最早表現方法の一つとして確立されてるぐらいに。でも、そんなこと関係なく十字架に惹かれているんだけれども、そういったたくさんの要素を否定するだけの説得力のある意見を、私は持ち合わせていない。
まあ他人から見た評価なんてそんなものなのだろうし。基本評価は主観に溢れたものだからね。平等に評価なんて、矛盾もいい所で。差別して順位を振り分ける事が評価と言う事なんだから。
結局の所、他人が評価するなんて事は全く関係無く、私個人自身が、心から十字架に惹かれているから。なんdねだろう?不思議だね。自分でも理由はわからないや。何となくどこかにルーツはあるんだろうけど。
あまり深く掘り下げると、輪廻転生とか出て来ちゃって、高尚だったりうさんくさかったりしてきてしまうから、その辺は掘り下げないでおこうかな(笑)
大体自分のアクセサリーなんかに十字架を用いている時点で、それほど高尚な捉え方はしていないはずだからね。あくまで自分が好きなだけで、ファッションとかモチーフとか、その程度の軽さでしかないのだから。
キリスト教信者の方には申し訳無いけれど、好きなんだから仕方が無い。それを罰するとかそういうことも出来ないのだろうから、どうかここは一つ寛大な御心で、許してね?(笑)
「ああ、どうにも宇宙から見る地球なんて、感動するしかないじゃないか。」
私のパートナー、クルーである彼が言った。
「うん。確かにこの光景は、見たこと無い人にはわからない感動があるのかもしれない。」
思ったよりも鳥肌が立つほどに感動してない自分は、出来る限りそれを悟られないように、それでいて彼の感動を邪魔する事の無い様、努めて自分の感情を押し殺して、出来るだけ優しい笑顔を作りながら言った。
私たちは選ばれた。もちろん、その為の努力も長年惜しまなかった。専門的な知識をつけて、数々の実績を積んで、信用を得て、宇宙に送り出すに足ると判断されて、今まさにこの瞬間、宇宙空間を漂う宇宙船の中にいる。
Gのかかった地球脱出は、思ったよりも辛くなくて、『重いなあ』と思うだけで、それほど辛いと感じるものでもなかったし、宇宙空間の無重力は、思ったよりも自分に心地良く、フワフワと漂う事に快感すら感じていたのであった。
だから、宇宙から見る地球に感動するという事よりも、帰りたくないなあのと思う気持ちが本音で、またあの当たり前のように全人類に課せられている重力と言う重石をまた味わうのかと思うと、憂鬱な気持ちが頭をもたげてくるのであった。
「このまま、ここにいたいなあ。」
私がつぶやくと、
「それは僕だって同じさ。だけど、地球にいるみんなに伝えたい気持ちの方がはるかに勝ってるよ。」
興奮する彼の言葉に、私は笑顔で返した。それはもちろん、彼とは同じ考えではない事を悟られない為であり、今現在何とか帰らないでいられないかと非現実的な方法に思いを巡らせている事を悟られないようにする為でもあった。
私たちはみんな、宇宙人であり、地球人だ。
日々の戦争や争いごと、宗教や思想、主張の違いなど実にくだらない。どうあがいたって同じ生命体である事は逃れようの無い事実なのだから、黙ってそれを受け入れればいいと思う。
ましてや、傷付けあうなんてもってのほかだ。私たちは同じ仲間なのだから、共存してしかるべきだ。自分のエゴで他人を傷つけるなんて事は迷惑行為もいいところ、低レベルな愚考に過ぎない。だからといって、みんな滅んでしまえばいいとは、欠片も思わないけれど。
権力や財力、名声や暴力に捉われないこの空間が私は大好きだ。もしも重力という重石を課せられた地球上でも、そうあることが出来るのならば、きっと私は重力も好きになる事が出来るのかもしれない。
人間なんてみんな同じ立場なんだ。有限の。それを人の上に立ちたいとか、特別扱いして欲しいとか、傲慢にも程がある。みんな仲良くすればいいじゃないか。
しかしながら宇宙まで行かせてもらった私には義務と責任がある。えばりたい、実績を積みたい偉い学者や政治家のみなさんにも、興味のある仲間たち全員に恩返しをしなければならない。
繰り返すようだけど、私たちは同じ宇宙人で、地球人なのだから。