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最近あの人と凄く仲が良い。聴かなくても、あの人と私はきっと両想いなんじゃないかって勘違いしてしまうぐらい。

それもこれも席替えで前と後ろになっただけのあなたと私。

あなたはあなただけのあだ名を私に付けてくれて、当たり前のように毎日そのあだ名で呼んでくれる。私にたくさん興味を持ってくれる。毎日楽しかったし、あなたの事だけを考えている事に気付いたの。

でもね、私も確信があっても確証を得たいじゃない。だから、あなたがみんなの前に立っている時に、口パクで聴いてみたの。

『私の事好き?』って。

あなたが大きく頷いたから、私はとても嬉しかった。

でも今思えば、あなたは途中で恥ずかしくなったのね。私の所まで来て、『今、○○って言ったんだよね?』って、私が伝えたかった事と全く違う風に言って来た。

ねえ、怖かったの?それとも恥ずかしかった?照れ隠しだった?

でも、私も馬鹿よね。だって、口パクじゃ無くて、直接声にして聴けば良かったんだって、今では思うわ。





それからも私はあなたと仲良くいられたけれど。若かった私は、あなたが些細な事で怒った時に、幻滅してしまったの。もちろん、私に対してでは無かったけれど。あなたが怖くなってしまったのかもしれない。

それから、あなたが私を好きだった友達との告白の仲介に現れたり、私の彼氏と仲良くなって、私と付き合ってるとは知らずに、私にあなたとの昔話をして来たり。あなたはきっと、良くも悪くもとても素直な人だったんだと、今は思うわ。





あなたとの思い出は、遠い昔話。こうして何かの拍子に思い出すのは、きっと楽しかったからだと思う。もちろん、今現在あなたとの交流は無いし、それ以上でもそれ以下でも無いわ。

私は今、結婚して、夫も、子供たちもいます。きっとあなたと話す事なんて、めったに現れない同窓会にあなたが現れて、私とお話してくれる気になったら、かしらね。あなたはまた照れ隠しにはぐらかすのかしら。それとも懐かしい思い出として、私と共有してくれる?

きっともう二度と出会う事は無いのかもしれないけれど、私はあなたに伝えたい事があるの。

勘違いしないでね?

今でもあなたの事を愛してるとか、そういうお話じゃ無いのよ。

ただ、たまにあのころを思い出すと思うの。

色々な事から解放されて、責任の無かったあの時代に。

あなたと楽しい時間を共有できたことが、宝物なんだってたまにだけど思うわ。

心を込めて言うわね。

ありがとう。
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生まれ付き、私は自分が異常だと思っている。人と話すと自分の考えがいかに異端であるかを思い知ったし、家族にまで宇宙人と言われる始末。いつしか自分の本心を隠しながら生きる事に慣れて、特に自分の我を通さなくても、上手く折り合いをつけて生きて行く術を身に着けるまでに至った。

社会に出て色々な異端を見て来たけれど、みんな何かの真似事で、足を踏み入れればその世界の人数が多い事を知る。言うなればそれは異端でも何でも無く、一部のメジャーなのだ。異端気取りで得意げな顔をしている人間を見て、同じような人間がいくらでもいるのになあと、温かい目で見守るようになった。

異常者ぶってる人間はいるけど、本当の異常者は一握りだ。何故なら異常者である事で、この世界でまともに生きて行く事が出来ないからだ。だから自分を主張する為に異常者を気取る。自分だけは特別だと、口で言わなくても行動がそう見せている。誰もが凡人なのに特別を気取る。その光景はとても愉快だった。

異常に仕事に没頭する人間も、病的に趣味に没頭する人間も。覗いて見ればいくらでもいる。頂点ですらそれは個性足り得ないのだ。しかしそれは極々普通の事であり、当たり前の事であって、永遠に無限に新しい何かを別の誰かが生み出す事なんて出来やしない。時代の流れに乗って、踊らされて楽しんでいる人間の方が、私には幸せに見えた。わざわざ異常者ぶる必要なんて無いのだ。何の変哲も無い平和な人生で充分じゃないか。波乱万丈なんて聞こえは良いけど、要は不安定でしか無いのだ。そして安定する事が出来ない、と言う結論まで辿り着く。

そう言った経験や考察を重ねている内に気付いてしまった。





実は『普通』が一番難しくて、異端なのでは無いか。





犯罪者なんてただ自分の欲望が抑えきれないだけだし、地位や名誉や栄光なんてものは、言うなれば自己満足に過ぎない。キチガイじみた自分が本当に辿り着くべきは、誰もが頭に思い浮かべる『普通』の人生だったのだ。果たして、これが自称異端や異常者たちに出来るだろうか。普通ってなんだよと逆ギレするのが関の山だろう。

私は私好みの極々平凡な相手を見つけて、付き合う事にした。当たり前のことを当たり前にこなし、当たり前のように相手を大切にした。もちろん裏切るような真似なんてしなかったし、普通に喧嘩もしたが、平凡な家庭を築いて、そして平凡な一生を終えた。

究極の異端とは、普通だったのだ。
新しく入ったバイト先で出会ったあの人は、お世辞にも格好良くなんて無かったけど、物凄く私に興味を持ってくれた。

私は背が低いし、暗いし…。何の取り得も無かったけど、彼とは趣味の話も合ったおかげで私は自然と笑顔で話している事に気付いた。

そんな私の笑った顔を、笑顔が可愛いって言ってくれた。とても嬉しかったし、それだけで幸せだった。

メールも良くくれたから、引っ込み思案で奥手な私には、とても居心地が良かった。彼が話してくれたらそれだけでその日は楽しかったと思えたし、話している感じから、私の気持ちには気付いていないのだろうな、と思っていたし、実際そうだったのだと思う。

だから、彼がデートに誘ってくれた時は、本当に喜んだ。彼にとってはデートでは無かったのかもしれないし、気軽にカラオケに誘われただけなのかもしれないけど。それでも二人きりの空間は、とても緊張したし、嬉しかった。歌声が可愛いって言ってくれた。もしかしたら、距離が少しは縮んだのかなって思ってた。



だけど彼は、そのすぐ後に他の人と結婚した。いっぱい泣いた。初めて号泣したかもしれない。彼にメールを送った。私が泣いた事も伝えた。だけど、彼はやっぱり私の気持ちを知らなかった。当然だ。私は、彼に一言も。気持ちを伝えていないのだから。



それからしばらくして、彼が離婚したって聞いた。私はメールアドレスも変えて、自分から彼が連絡を取れないようにしていた。だけど、今、私には大切な人がいない。寂しかった。だから少し考えて、私の居場所を書かない年賀状を送ってみた。

もしかしたら彼は気持ち悪がるかもしれない。私の事なんてとっくに忘れていて、覚えていないかもしれない。だけど、何も無くなってしまった私の人生にとって、唯一の楽しみであり、蜘蛛の糸だった。絶対に手繰る事の出来ない、願いが叶う事の無い、存在証明をするだけの。



貴方にもらったCDを、今でも大切に聴いています。その事を書いた後、彼が再婚している事を知った。その人は歩き続けていた。私はこの場所で立ち止まったままだ。



もう止めよう。



私とその人が繋がる事は無い。一縷の望みも絶たれた私は、これからどうしようかとぼーっと考えていた。





毎年届いていた、以前の職場の女友達の年賀状。居場所が書いて無いから返事することも出来ない。

不思議に思っていたが、今年は届かなかった。

きっと彼女も大切な人を見つけて、幸せになれたのだろう。
私の胸には、大きな傷がある。

正確に言うと、胸の谷間にだが。

小さい頃心臓を患って、一命を取り留めたものの、当時の医学の技術では最善を尽くしたのだろうが、大きな傷が残ってしまったのだ。

他人がそうだったとしたら、気にする事は無いと言うだろうけど、自分の事になれば話は別だ。やはり見せるのは躊躇ってしまうのが当然だと思う。

とある男性と出会い、恋愛へと発展した時も、秘密を打ち明けるまでに時間が掛かった。もちろん相手は受け入れてくれたし、愛撫だってしてくれた。だけど私の心に問題があったのだ。

私を受け入れてくれた人と長い時間一緒に過ごしたかった。だけど私は実家に住んでいたし、まだ自由でいられるほどの立場では無かった。だからやらなければいけない事がある時に、話もしないのに電話を繋いでいてもらったり、プレゼントを要求したり、どこかに行きたい時も自分で調べたりもせずに甘えまくって任せきりだった。今思えば相手が億劫に感じるのも仕方の無い事だと思う。

相手も相手で、メールや電話の数は半端無かった。今思えば共依存だったのかもしれない。でもそれも当時は心地良かったし、繋がっていると思える実感があったのだけど。

だんだんと疎遠になって行き、大して連絡も取らなくなっていた。相手の家にお邪魔する事もあったけれど、私は浮気をしてしまい、相手にそれを打ち明けた後、逃げ帰るようにその場を立ち去った。

相手が私に、プレゼントに掛かった費用の返済を要求して来た。最初は何で今更とも思ったし、怒りもあったが、裏切ったのは私だ。見苦しくも色々弁解はしたけれど、相手が本気なのがわかって、渋々従う事にした。まとまった金など無かったので、分割をお願いした。今思えば我ながらずうずうしいにも程があるのだが、それに関しては相手も了承してくれた。

そして半年ほど掛けて私は、私のトラウマを受け入れてくれた相手をぞんざいに扱った後裏切り、代償を支払って別れた。

そして今現在に至るまで、まともな男に知り合えてもいない。私はお世辞にも美人とか可愛いと言われるような類の人間では無いし、きっと自分が思っているよりもはるかに思いやりや相手を想う気持ちが足りないのだと思う。

売れ残りと言われても、良い相手も見つからなければ、良い相手が見つかっても、私を愛してくれなければ意味が無い。そしてそれを自分で無意識に選択しているであろう、思い当たる節の多さに苦笑した。
「○月○日、空いてますか。」

彼から誘いがあったのはついさっき。彼は私を大きく裏切ったくせに、証拠もあると言うのに、謝ろうともしなかった。そしてしらばっくれたまま時は流れ、ある日こんな誘いがやって来たのだ。

本来ならどうしようもないクズのような人間を相手にしている暇は私には無いのだけれど、どんな馬鹿面を下げてやって来るのか、笑ってやろうと思ったのと、どんな顔をして会える恥知らずなのか興味があった。

この連絡が来る前、私はブログを書いていた。「大切な人を大切にしよう」と言う、ごくありきたりな内容だった。まさか私のブログを今更読んでいるストーカーの様なキチガイじみた行為は、最悪でもしていない事を願う。私の勘違いであると良いのだけれど。



当日、時間より早く彼は迎えに来た。普通の顔をして謝る事も無く。最早人間としての最低ラインを超えた、哀れな奴なんだと、その茶番劇に付き合ってやる事にした。当然面白いはずも無く。情報交換だけが唯一のメリットだった。退屈な時間は流れて、単純作業のように私は乗ってやった。

別の知人も連れて来たのだが、そちらは懐かしい顔ぶれ。再会を楽しみ、息災を喜んだ。コイツラもまあ、流されているか騙されているのかわからないが。当事者では無いから放っておいてるだけかもしれない。本当の友達とやらでもあれば、彼を咎めるであろう。その関係の希薄さを薄ら笑う。

他愛も無い話と言えば聞こえは良いけれど。特に面白味も無い時間が続いた。楽しむフリをする。最低な人間が最低である事の確認作業。笑いが込み上げてくる。どこまでゴミクズなんだろう。そして何を想い、私を呼んだのだろう。自分の馬鹿さ加減と、自分の愚行が招いた、心通わぬ人間ばかり周りに集めた寂しさの、藁をも掴むような見当違いの救いを求めたのだろうか。何をしても、何も戻りはしない。時間で信用が解決すると思ってる程、頭がおかしいとは思わなかった。

ああそうか、昔からそうだったよね。どんどん浅く広い人間関係が、虚しく広がって行くだけ。その無様な生き方を、何度繰り返せば思い知るのだろう。きっと反省の仕方も謝罪の仕方も知らないのだろう。ため息とともに反吐が出る。



そして別れ際、どうにかして長く一緒にいようとする、自分本位な彼の想いを断ち切って、さっさと帰宅した。これ以上付き合ってられない。お遊びの時間は終わった。人生が交わる事も、心が通う事ももう無い。
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