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洞窟に入って行くと、奥に大きな芋虫が待っていた。
「ありえねぇ・・・。」
剣一本しか用意してこなかった俺は、鎧ぐらい着てくるんだった・・・と後悔した。
表情は芋虫だからうかがい知ることは出来ないが、明らかに俺を狙っている。
「何でこんなでっけえ芋虫がいるかな・・・小さくったって虫は嫌いなのに・・・。」
ぶつくさ言いながら、剣を構えた。
「まぁ、勝てる気はしないけど、食い殺されるぐらいなら戦ってやるよ。」
言葉が通じたのかどうかはわからないが、物凄い勢いで襲い掛かってくる。
相手の口?を剣で防御してはみたものの、吹っ飛ばされる形になり、
壁に叩きつけられた。
「コイツはちと・・・キツいぜ・・・・」
背中をモロに叩きつけられて、むせ返る。
その時だった。
芋虫の後ろから緑色の光が洞窟内に充満したかと思うと、
まるで睡眠ガスにでもやられたかのように、芋虫が力なく崩れ落ちた。
「な・・・・なんだ?」
まだ体内に壁に叩きつけられた際のダメージは残るものの、
注意深く芋虫の奥へと歩いていった。緑色の光はすでに消えている。
「なんだかわからないけど・・・助かったぜ・・・。」
奥へ奥へと進んでいくと、遠くに緑色の物体を発見した。
「あれから光が発せられたのか?」
近づいてみると、台座の上に女性の形を彩ったエメラルド。
こんな美しい像は見たことない。
しかも、エメラルドだと言うのに、形どられた女性の美しさに、
しばし魅入ってしまった。
「・・・・コイツが助けてくれたのか・・・・」
特に宗教を信じるタチでもないのだが、なんとなく両手を合わせ、
感謝の気持ちを込めて祈った。その後は、ただひたすらその美しさに
魅入ったまま、立ち尽くすのだった。