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私はきっと近いうちに殺されてしまうだろう。

この場所には悲壮感が漂っている。中にはそういう奴もいるかもしれないが、私は何一つ悪い事はしていないし、ここにいるほとんどもそうなのだと思う。しかしここには、自分の力ではどうにも出来ないのを悟っているのか、皆諦観の眼差しでその時を待っている。

ひとつ言えば元いた家を飛び出して、飼われる事から離れて家も無い根無し草でいた事が悪い事だと言うのだろうか。自然のあるべき姿が罪だと言われるなら、随分傲慢な人間もいたものだと思う。

いつも来る人間に連れて行かれると、泣き叫ぶものもいれば、全てを受け入れたのかおとなしく連れて行かれるものもいる。不思議なのが、神の救いなのかは知らないが、いつもと違う人間に連れて行かれる時は何やら嬉しそうなのが気になった。そういう奴らは殺されずに済んでいるのかもしれない。ここから出れない私には、その違いが良く理解出来ていないのだが、皆の反応を見ると、そういう事なんだろうと思う。

大勢がこの場所に収容されている。それぞれが会話を交わす事は無い。この先に死があるとわかっているだけに、気が気で無かったり、話してしまうと恐怖が溢れ出て来てしまうのであろうかわからないが、とにかくその時を静かに待っているような気がする。

毎日連れて行く人間の顔を見ると、何とも言えない表情をしている。悲しみなのか、諦めなのか、謝罪なのか…全てがその表情に込められているような気がしてならない。

私もその時を静かに待つ。騒いでも仕方が無いと言う事を、皆の反応や表情を見て知っているからだ。この場所に来てすぐに皆その事を悟るようで、私の後に入ってきた奴も、誰も質問したりなどしない。繰り返す様だが、自分の運命をある種受け入れ、諦めて、ただただその時を待つばかりなのである。

果たして私の運命はどちらに傾くのであろうか。どちらであったにしても、甘んじてその運命を受け入れようと思っている。そして私の勘なのか、何だか今日は私の番が来るような気がするのだ。何かのドアが開く音がする。何とはなしに皆聞き耳を立てる。人の気配。どうやら私の番が来たようだ。





環境省の統計資料「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」によると、年の犬猫を合わせた殺処分数は10万匹を超える。そしてその約半数が幼齢個体である。返還数と譲渡数は合わせて5万匹、約3分の1は救われ、3分の2は殺される運命にある。
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1987/01/14
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自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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