完全フィクション
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若気の至りと言ってしまえば言い訳になるのかもしれないけれど、通勤の行き帰りに私は良く叫んでいた。
パソコン関係の倉庫で働いていた。商品を選んで伝票通りにまとめてもらい出荷したり、入庫して来た品物を処理したり、倉庫内で色々な仕事をその日によって任されていた。いわゆるフリーターと言うわけだ。
まだまだ恋多き年頃、大人の異性とも言える方に惚れてみたり、仕事をこなしながら青春を謳歌していた。あまり仕事先の人たちと仲良くするタイプの人間でも無かったが、友達と一緒に勤めていた事もあって、仕事終わりに飲みに行く事もあった。
趣味の合う先輩の家に遊びに行ってみたり、その先輩と休日にプライベートで会ってみたり。仕事で一緒に働いているおじさんたちと、バンドを組んでスタジオに入り浸ったりするのも楽しかった。終わってから飲みに行って、ベロンベロンに酔っぱらってまたスタジオに入る。終電の時間までスタジオに入るのは、とても楽しかった。
ボーナスが出ると言われて頑張って働いて、なかなかボーナスが出ないなと思ったらもらったのは寸志ほどの雀の涙。そんな不満が溜まって行き、これも若気の至りと言えば良い訳になってしまうのだが、私は無断で仕事を辞める事にした。
そんな中で楽しかったのか、それとも突き上げる青い衝動を抑えきれなかったのか、帰り道、川を渡り行きつけのたこ焼き屋で醤油たこ焼きを食べに行く途中、周りは民家も無くトラックが走り回る工業地帯の中、大きな声で
「馬!」
と叫んでいた。自分でも意味がわからないが、一緒に働いていた友達が誘ってくれた競馬で走る、取り留めも無い妄想の中の馬の鳴き声として生まれた言葉だったような気がする。傍から見れば頭のおかしい奴だったのだろうけど、生憎工業地帯にはあまりそれを確認する人も少なく、心置きなく
「馬!」
と叫び続けたのであった(笑)
こんなこともあった。場外馬券場に向かう道すがら、いつものように
「馬!」
と叫んでいたら、前にいたファストフードを買って食べ歩いていた人の、両手に持っていたハンバーガーとドリンクが宙に飛んでいた。突然の
「馬!」
の叫び声に驚いたのだろう。ちゃんとキャッチしたのを見届けたから良かったものの、悪い事をした。隣で友達は爆笑していた。
いつしか歳を重ねて心も落ち着いて来て、叫ぶ事も無くなった。若気の至りではあるけれど、あの馬鹿な自分の叫びを、たまに思い出して懐かしく思う。
パソコン関係の倉庫で働いていた。商品を選んで伝票通りにまとめてもらい出荷したり、入庫して来た品物を処理したり、倉庫内で色々な仕事をその日によって任されていた。いわゆるフリーターと言うわけだ。
まだまだ恋多き年頃、大人の異性とも言える方に惚れてみたり、仕事をこなしながら青春を謳歌していた。あまり仕事先の人たちと仲良くするタイプの人間でも無かったが、友達と一緒に勤めていた事もあって、仕事終わりに飲みに行く事もあった。
趣味の合う先輩の家に遊びに行ってみたり、その先輩と休日にプライベートで会ってみたり。仕事で一緒に働いているおじさんたちと、バンドを組んでスタジオに入り浸ったりするのも楽しかった。終わってから飲みに行って、ベロンベロンに酔っぱらってまたスタジオに入る。終電の時間までスタジオに入るのは、とても楽しかった。
ボーナスが出ると言われて頑張って働いて、なかなかボーナスが出ないなと思ったらもらったのは寸志ほどの雀の涙。そんな不満が溜まって行き、これも若気の至りと言えば良い訳になってしまうのだが、私は無断で仕事を辞める事にした。
そんな中で楽しかったのか、それとも突き上げる青い衝動を抑えきれなかったのか、帰り道、川を渡り行きつけのたこ焼き屋で醤油たこ焼きを食べに行く途中、周りは民家も無くトラックが走り回る工業地帯の中、大きな声で
「馬!」
と叫んでいた。自分でも意味がわからないが、一緒に働いていた友達が誘ってくれた競馬で走る、取り留めも無い妄想の中の馬の鳴き声として生まれた言葉だったような気がする。傍から見れば頭のおかしい奴だったのだろうけど、生憎工業地帯にはあまりそれを確認する人も少なく、心置きなく
「馬!」
と叫び続けたのであった(笑)
こんなこともあった。場外馬券場に向かう道すがら、いつものように
「馬!」
と叫んでいたら、前にいたファストフードを買って食べ歩いていた人の、両手に持っていたハンバーガーとドリンクが宙に飛んでいた。突然の
「馬!」
の叫び声に驚いたのだろう。ちゃんとキャッチしたのを見届けたから良かったものの、悪い事をした。隣で友達は爆笑していた。
いつしか歳を重ねて心も落ち着いて来て、叫ぶ事も無くなった。若気の至りではあるけれど、あの馬鹿な自分の叫びを、たまに思い出して懐かしく思う。
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