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古びた缶のケースを開けて、不揃いな長さの色鉛筆を眺める。

これから思い出すのは、ずっとずっと昔のお話。



たっくんは、すっごくげんきなおとこのこ。
わたし、たっくんのことがだいすき。
だからいつもいっしょにいたいとおもうし、
いつだってたっくんにだいすきっていってるの。

あるとき、じゆうじかんにえをかいてたら、たっくんがきた。

「なにやってんのー?」

たっくんはいつもそとをはしりまわってるから、どろだらけだ。
わたしはたっくんがはしりまわるつちとか、しばふがすきで、
いろえんぴつでえをかいていた。

「へー!しゃしんみたい!みーちゃん、うまいね!」

「たっくんもかいてみる?」

「うん!」

たっくんはそらをかくのがすきみたい。
まっしろながようしにいっぱいあおをぬる。
ふたりのえをかさねると、わたしたちがみてるふうけいになる。

たっくんとずっといっしょになれるってしんじてた。
たっくんがいればわたしはうれしかった。
でもね、たっくんはおとうさんのしごとで
ひっこししなきゃいけなくなっちゃったの。

だからわたし、たっくんとはなれたくなくて。
とおくにいてもいっしょだよっていいたくて。
たっくんのだいすきなあおのいろえんぴつ。
たっくんにあげたんだ。たっくんもわたしもいっぱいないて。
てをふってまたねって。おおきなこえでなんかいもさけんだの。

たっくん。またね。また、いつかいっしょになろうね。



今日は旦那の七回忌。私は、黒い服を着て、法要に出掛けなければならない。
だけど少しだけ・・・あなたを思い出したくて、こうしてまた思い出に耽る。



「ちょっと!久しぶりだってのに代わらないわね!」

中学生になって、たっくんと久しぶりに会った。
お互いがある程度自由に動けるようになって、
お互いがお互いを探して必然的に辿り着いたのだった。

「お前だって絵ばっかり描いてて変わらねーじゃねーかw」

「まったく・・・私の青い色鉛筆、まだ持ってるんでしょうねー?」

「ああ?そんなもんこっ恥ずかしくって捨てちまったよw」

「何ですって!」

「いててて・・・本気でポカポカ殴るなよw」

でも、彼は決して失くしたのではなく、無くなっただけだった。
彼の部屋に呼んでもらって、壁に一面の空の絵。

私があげた色鉛筆は、短くなって、書けなくなっただけだった。
彼と気持ちは離れていなかった。嬉しくって、幸せで・・・。
その日のうちにあなたに抱かれたわね。軽いわ、私w



あれからあなたと一緒になって。何十年も経って。

あなたのおかげで、一人になっても笑って生きていけるのよ?
線香を上げながら、あなたに話しかける。あなたがいてくれたからこそ、
私は今でも幸せだから。安心して、そっちで待っててね。
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1987/01/14
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自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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