忍者ブログ
完全フィクション
[295]  [294]  [293]  [292]  [291]  [290]  [289]  [288]  [287]  [286]  [285
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

・・・荒野だった。一面の。最早そこにあった全てが
夢幻であったかのように何も残されていない。廃墟ですらも。

かろうじて水が残っているだけでも救いがあるのかもしれない。
否、この状態で救いを考えているこの頭こそがどうかしている。

我々は戦った。自分の為。家族の為。他人の為。何かの為。
それは恐ろしく意味のあることであったが、今となっては、
全てが終わってしまった今となってはその意味も無くなってしまった。

君は自分の為ではなく、大切な人たちの為にもがき苦しみ、
絶望を繰り返し、それでも君の出来る事を尽くして前を見ていた。
それはとても形容しがたい、形の無い美しさを携えていた。

「虚しいね・・・。」

君は呟いた。今までの努力が?それとも今のこの状況が?
全てが終わった、結末の後に、問い質す気にもなれなかった。

人は過ちを繰り返す。だから君は泣いているんだね。
そして、結果的に何の力にもなれなかった自分に。

程なくして命は全て終わるだろう。そしてこの場から消える。
何も無くなった世界。虚無の舞台の上に役者は要らない。

全てが終わった後は、雨が降っていた。この場所だけなのか
それとも世界中に涙のように降り注いでいるのかもわからない。

不意に出来た水溜りの上に立つ、この結末の後に場違いな
可愛らしい出で立ちの君は、この世の全てを悲しんで泣いた。
もうなくなってしまったのだから、この世の全てと言っても何も無いけど。

そんな、可愛らしい出で立ちに身を包み、裾を掴んで、悔しいのか
悲しいのかわからない表情で下を向いて泣く君は、この雨に打たれて
水たまりの上に立つ君は、全てが終わってしまったと言うのに
不謹慎ながらも、とても美しいと思ってしまった。

きっとそれは最後になる、心からの感動なのだと思う。
その光景を焼き付けるように目を見開いた後、平和だった
あの頃、失敗ばかりしていた君の悲しそうな顔や、何をしたら
いいのかわからない寝起きの退屈そうな顔を、ひとつひとつ
振り返るようにして、最後になるかもしれないのに、目を閉じた。
PR
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
リンク
最新コメント
最新記事
最新トラックバック
プロフィール
HN:
耕助
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1987/01/14
職業:
フリーター
趣味:
音楽鑑賞
自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター
忍者ブログ [PR]