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泥水の上に張り倒されて、頭を彼女の足で踏みつけられる。

「あなたには泥水をすする姿がお似合いよ。」

特に何の反論をする気もなければ反抗する気にもなれない。
確かに俺には醜く薄汚れているのがお似合いだから。
彼女は嘲笑混じりに俺を見下し、言葉を続けた。

「あなたは醜いままでいるの。それがあなたの生き様だから。」

地べたを這いずり回り、醜くあがいてこそ俺の姿。
そんなことは自分自身が心底痛感している。

ここで、彼女がひどく冷たく、澱んだ雰囲気を醸し出した。

「あなたは暗闇の中にいてこそ鈍く黒く光り輝くの。
全てを隠し通して。触れるだけで口を開くような鋭い刃を。
そして触れるだけで鈍痛と共に砕け散るような拳を。」

『全てはその時が来るまで。』

俺と彼女の声が重なると、彼女は薄ら笑いを浮かべながら
泥水まみれの俺を置いて、振り返りもせず去っていった。

今ここにある全てが、俺と言う人間そのものなのだ。
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1987/01/14
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夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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