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彼の言葉と共に、何かが闇の奥にやってきた。
私はこの感覚をこの場所以外で感じたことはない。

何も存在していないと感覚では認識しているのに、
頭の中に「何かがいる」という思考が浮かんでくる。
この状態をうまく説明できる術が私にはない。

「君は今日も見ているのかい?
その情報が正確かどうかもわからないというのに」

同僚が話し始めた。それに私も言葉を続ける。

「あら。わからないということは真実って可能性もあるんじゃないの?」

「いや、見ているところから、わざとそう見せられている可能性もあるよ。
『情報を得ている』というカマをかけたりしている限りね。」

「でも、情報なんて常にそんなものでしょ。100%正確に伝わる情報
なんてありえないと思うわ。報道なんかがそうじゃない。」

「確かにね。でも、彼が望んでいる情報を得ようとしているのを
無駄だと教えてあげているんだよ。むしろ関係を悪化しかねない。」

「随分と親切なのね。お互いどんな人間か自己紹介すらしてないのに。」

「まぁそれが僕の仕事だからね。・・・さて、君はそれでも見続けるのかい?
それはあまりにも卑怯で、芳しくない方法だというのに。
正確な情報が得られない以上、見続ける意味があるのかな?」

「確かに卑怯な手口ではあるわね。でもそれは同時に彼が臆病なんじゃない?」

「そうかもしれない。情報を卑怯な手で得ないと、関係を保てないというのは
あまりにも悲しく、そして虚しくはないかい?」

闇の向こうの雰囲気が、変わった気がした。
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1987/01/14
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自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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