忍者ブログ
完全フィクション
[7]  [8]  [9]  [10]  [11]  [12]  [13]  [14]  [15]  [16]  [17
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「今日、満月か…。」

摩天楼の上層階、都会の夜景を見下ろせるテラスのあるバーで、ジンベースにバイオレット、レモンを絞って濾して注いだカクテルを楽しみながら呟いた。

私は今日失恋してしまった。

それは、もちろん私のワガママだったし、相手には家庭があった。家庭をとても大事にする彼を振り向かせるなんて、出来ない事はわかっていたのに。私の想いは当然届かず、ついに決定的な返事をもらってしまった。

あまりにもハッキリ、そしてスッキリとした答えに、このカクテルが持つ意味の様な彼の素敵さを、魅力を再確認してしまった。今飲んでいるのは私が注文したからだが、状況から言って彼におごってもらったようなものだ。この恋はおしまい。始まってすらいなかったのだけど。

カクテルの香りがまるで無様に誘惑し続けた私の無駄な妖艶さのように想い、親近感を感じながら味わっている。涙はもう流さない。むしろ諦める決心が付いた。

親友には、物好きだと言われた。彼は周りの人から見たら、極々普通のおじさんだったようだ。しかし私は身が燃え尽きる程恋焦がれたし、本当に彼の事が好きだった。きっと彼の奥様には、凄く滑稽な話だけど、気持ちを理解してもらえると思う。

これで良かったのだ。彼の家庭を壊さずに済んだのだから。彼には子供だっている。守る物が、捨てられない物が多過ぎた。そしてきっと、彼は独りだったとしても、私には振り向いてくれなかったであろう事は、実は理解していたのだと思う。

青い月を見るよりも可能性の低い奇跡。そんなものを私は長い間追い求めていたのだ。非常に無駄な時間だったとしても、自分を納得させるには必要な時間だったのだと思う。時間を掛けなければ、私は諦める事が出来なかったのだ。

きっと彼はこれからも私に、今まで通りに接してくれるだろうし、その彼の優しさに対して、私は傷ついては行けない。そんな事は、今日で、今夜で終わりにしなければならないのだ。ただの気の迷いであったと、盛っていただけだと、満月のせいにして、気持ちを葬り去らなければならない。それが出来ない事は、まっすぐに私の気持ちと向き合ってくれた、彼に対しての侮辱にも成り得るからだ。

夜風が気持ち良い。火照った身体を、もう少しだけ感覚を鈍くする為に、おかわりを頼んでしまおう。酔いにまかせて、素敵な夢だったと笑い飛ばそう。そうこれは、私の真剣な、とても大切な、血迷った末の笑い話だったのだ。
PR
「ん~…。あと五分…。」

なんて呟いては見たものの、私を誰かが起こしに来たのかどうかさえも、はっきりとしない。

今自分が起きているのか寝ているのか夢の中なのかさえも判別が出来ない程、うすぼんやりと眠気に浸食された意識の中まどろみを楽しんでいた。

自分がどんな人間なのか、どんな立場にいて、今どこで寝ているのかとか、そう言う事もあまり良くわからない。と言うよりも睡眠が最優先で欲求が理性を凌駕していて、私が果たして私かさえもわからない状態にあった。

あなたはそばにいるの?それともあなた自体が、存在しない私の妄想なのかしら。そんな事を考えるのもほんの束の間、流れては消えて行く脈絡のない思考をただ茫然と眺め見送って行くような、そんな精神状態。

そもそも私は起きなければならないのだろうか。いつかのように起きてみたら休日で、な~んだ、まだ寝ていてよかったんじゃないかと後悔するよりも、このまま欲望に従っていた方が良いような気もする。

しかし何かしら起きなければいけない…例えば仕事や約束があったとして、もしも遅刻に至る程の遅い時間であったとしたら、私はすぐさま起きなければいけないだろう。

私が女性であったとしたら化粧には時間がかかるだろうし…。私は女性だっけ?考えている間に起きればいいのにとは思っても、眠気がそうさせてはくれない。

身体は動く。寝返りを打つ事は出来る。だけど目を開く事が叶わない。いや、きっと私は心の奥底から起きたくないのだとわかっている。だけど葛藤し欲望に抗おうと言う気持ちが欠片でも頭を掠めると言う事は、やはり起きなければいけない何かがあるのだろうか…。

ちょっとだけ起きて確認すればいいだけのはずなのだが、どうにもそれがもったいない事のようが気にしてならない。睡眠と覚醒の狭間にいる今の状態こそが至福の時間。私に許された贅沢。いや、許されてはいないのかもしれないが。

嘘だ。本当は悩んでなんかいない。その証拠に、一向に目を開こうとする意思すら感じられない。自分自身の事なのに他人の事の様な。

目を覚ましたら、隣に愛しいあなたがいるかしら。それともそんな人はいなくて、一人朝日の中で目を覚ますのかしら。

ああ、何故だろう。こんなにも眠っていたいのに、起きなければいけないような気がして仕方がない。そろそろ好奇心が睡眠欲に競り勝とうとしている。まだ寝ていたいのになあ。

きっと不機嫌な顔で、私は目を覚ました。
あの人には一番がいる。私はもしかしたら二番目にもなれないかもしれないけれど、彼が好き。愛してる。

ひょんなことで出会って、何かと顔を合わせる機会があって。彼も私の事を可愛いって言ってくれたこともあるし、それはおせじでは無いんじゃないかなあって、思ってる。

だけど彼には一番がいるから、邪魔しちゃいけないんだ。

私は一度、ネットでメンヘラと呼ばれるような状態まで行った事があるけど、今の私は(たまに自分でも心配になるけれど)どうやら大丈夫な段階まで自分を取り戻したような気がする。

私は一番になれないから、せめて過剰なボディタッチで、彼に触れるぐらいの事しか出来ない。連絡先も聴いても聴かれてもいない。それが私と彼の隔たりであって距離なのだ。決してこれ以上近付いてはいけない。

もし身体の関係なんて結んでしまったら、私はきっと我慢出来なくなってしまうだろう。毎日夢に見るぐらいに彼の事を考えていて、すぐにでも抱かれたい感情に駆られている。しかしながらそれはきっと永遠に叶わない夢。私は彼の今の幸せを壊したいとは思っていないからだ。私は本当に彼の事を好きだけれど、彼を不幸にしたいとはかけらも思っていない。

もし彼が私と一緒になりたいと思う日が来たとしても、私は悩んでしまうだろう。私はきっと一緒になれても、必要以上に束縛・依存してしまって、到底彼と幸せになれる自信なんて無いから。私はそれほど重い女で、めんどくさくて、頭がおかしいのだ。

だから毎日彼と過ごす時間の妄想をする。不思議と、性的な物よりも日常生活を想像する事が多い。本当に、彼の事が好きだと言う証拠だ。でも彼に抱かれたくないと言う訳では無い。むしろ、毎日、24時間抱かれたい。どんな要望にも応えてあげたい。毎日毎日、彼に気に入られるような抱かれ方をしたいのだ。

だけどきっと私と彼の距離は絶対に縮まないだろう。こんなにも彼の事を愛しているのに、ひどく冷静な私が、情熱的な私を見守っている気がする。これが理性と言う事なのだろうか。症状がコントロール出来なかった時は、わからなかったし見えなかった事だ。私と言う人間は私自身を信用出来ていないがゆえに、しっかりとブレーキを掛ける事が出来ている。これが普通で、正常なのかもしれない。

だけど少しだけ彼に会う機会を多くしたくて。理由を付けて彼に会いに行く事もある。

彼の幸せは邪魔しないから、それぐらいは許してください。
暗い部屋の中で一人。何故灯りを付けないのかも自分でもわからずに。

私はもうずいぶんとこうしている。きっと私はたった一人で、自分自身の心臓にナイフを突き立てたまま。何一つ行おうともせずに、この場所にいる。

何もかもが許せないのは、何一つ行動できないから。

自分自身が嫌いだから、この世界の全てが嫌いで。どんな事も誰かの、そして自分では無い何かのせいにしてこれまで生きて来た。そしてこれからもそうして生きて行くのだろうと思う。

それは自分で自分を見てもとても愚かな事で、だけど今の自分自身では何一つ直す事も、思い直す事も出来なくて。その方が苦しいのに、一時的に楽な気分を、楽なフリをしていられるから。

本当はもがき苦しんでいて、のた打ち回る程苦しいと言うのに。痛いと言うのに。

たまに震えが止まらない時がある。怖い。恐い。自分自身が何も見えていない事に。これから先の未来全てが真っ暗で何も見えていない事に。

本当は何一つ理解出来ていないのだろうと思う。このままではいつか、悪意のナイフを誰かに突き立てそうで恐ろしい。

どうにも我慢出来なくなって来ている。自分自身の現状に吐いてしまうことだってある。ナイフならまだ良いかもしれない。何かを行ったり役割があるのだから。今の自分には本当に何も無い。心臓が動いているだけだ。

踏み出した事も無いから、どうしていいのかもわからない。教えてもらえたとしても、それ自体がウザったく感じてしまって、受け入れる事が出来ない。自分自身が信じられない。恐い。怖い。

ああどうしたら。今を変える事が出来るのだろう。

心の中に渦巻く悪意にでも身を任せないと、誰とも接する事が出来ないような気がする。でもそれは、自分でもわかっているように、明らかな間違いなのだ。方法がそれしか思い浮かばないとしてもだ。

いつからこうなってしまったんだろう。どうして自分だけがこんな思いをしなけばならないのだろう。自分自身を傷付ける事すら出来なくて。何を以てこの苦しみから、痛みから逃れたら良いのかがわからなくて、ただただ受け入れる毎日。

もうダメなのかもしれないな。眠りに就いて起きて。普通の人たちと何ら変わりない朝が来ることをいつも願っている。自分自身が何も起こさなければ、そんな日々は永久に来ないと言うのに。

自分は世界で一番愚かで。死ぬ事すら出来ない卑怯者だ。

「助けてくれ。」

今日もただただ。心臓だけが鼓動を刻んでいる。
私はあなたに裏切られてから、あなたには何も言わずに別れて、別の道を歩き出した。

それからと言うもの、あなたはきっと罪悪感に苛まれながら、状況自体は進んでいても、そのままずっと同じ場所に、心を置き去りにしているのだろうと思う。

もしも罪悪感さえも感じていないのなら、それはもう人間としての価値を失っていて、全く以て死んでいるのと何ら変わりは無いだろうから、それはもう人生が終わったも同然、今後一生、自分を取り戻せないまま、死んだように生きて行けば良い。

あなたと顔を合わせた事もあったけれども、あなたは謝る事も出来ない、子供以下の存在だから、何を言って虚勢を張ったとしても、全てが薄っぺらくて、風に飛ばされそうなその存在のまま、終わる事を望んでいるのでしょう。

なんてちっぽけで、どうしようもない、それでいてプライドだけは強く持ち続けて、ずっと矛盾を抱えたまま、常に発言する時は嘘を孕みつつ、生きて行くのですね。

虚しくは無いですか。悲しくは無いですか。

周りがどれだけ取り繕ったところで、あなたの心はあの場所に置き去りのままだと言うのに。

誰かを嗜める事も出来ない。その前にあなたがやるべきことがあるのだから、それも片付けられずにただただ自分に嘘を吐いたまま歩いていくのですね。

私にはとてもじゃ無いけれど、そんな辱めを受けて晒しあげられた状態で生きてなんていられない。あなたはそれを受け入れて生きているのだから、くだらない自分のプライドだけを頼りに、か細く生きている事でしょう。

その生き様の、何と愚かな事か。

あなたの人生は、まるでバーチャルの様におぼろげで、何一つまともに構築出来ないまま、歩くフリだけをしていくと言うのですか。

必死に脚を動かして水面を浮かぶ水鳥とは行かないものですね。全く美しく無い。

何度も過ちや罪を繰り返して、あなたの人生を彩って。いや、黒く黒く塗りつぶされて。

何の価値も無いまま終わる事と思います。

素直になれないと言うのは本当に無様な所作ですね。

私はもうずいぶんと遠くに歩いて来ましたよ。ずっとあなたが仮想空間で足踏みしている間に。あなたが私に追いついてくる事なんて無いだろうから、今見えている内に大きく手を振って別れを告げておこうと思います。

あなたに対して侮蔑以外の何の感情も湧かなくなってしまったけれど。きっとあなたと過ごした時間が、せめて何かの糧になっている事を祈って。

「さようなら。」
<< 前のページ 次のページ >>
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
リンク
最新コメント
最新記事
最新トラックバック
プロフィール
HN:
耕助
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1987/01/14
職業:
フリーター
趣味:
音楽鑑賞
自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター
忍者ブログ [PR]