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完全フィクション
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私はあなたの所に、お仕事があるかないか聴きに行く。

あなたはあるかないか、それに答える。

私とあなたはそれだけの関係。

私は学生時代から、ギャルと言うファンションセンスを選んでしまったが為に、ブームが過ぎても肌は黒いままで、金のアクセサリーとそれなりの格好で、今更変える気も起きなかった。

仕事の時はもちろん制服を着て。だけれどもきっととっつきにくいとは思われてると実感している。だからごくごく普通なあなたにも、そう思われてると思ってたし、正直あなたの事は何も感じていなかったって言うのが本音かな。



だけど、ある日、しどろもどろになったあなたを見た。ちょっと可愛いなって思ってしまったの。あなたがその時何を言おうとしたのか確認は出来なかったけど、仕事の話ではぐらかされて濁されてしまった。…もしかしたら、私を何かの形で誘おうとしてくれたのかな?

そんなやり取りをしている間に、あなたの事が何となく気になって来て。だけどあなたには良い人がいるし、私の勘違いなのかなってモヤモヤしてたのは事実よ。それに…あなたには私みたいな女、タイプじゃないと思ってたから。

でも、辞める日が近づいて来ていて、あなたにいつ言おうかな…なんて考えていたある日、あなたの話が少しわからなくて、首を傾げた。そうしたらあなたが、それを可愛いなんて言ってくれたから、私らしくもなく一瞬で舞い上がっちゃってね。きっとそのことは、あなたにも感じ取られてしまったと思うんだけど、恥ずかしい事よりも嬉しい気持ちの方が勝ったわ。

そして仕事を通してあなたに会える最後の日。もしかしたらあなたが誘ってくれるかもしれないって思ったから、期待してさよならを告げに行ったの。あなたは私を誘ってくれなかったから、何となくモヤモヤが強くなって、我慢出来ずに言ったの。

「私、この近くに移動するだけですから、見掛けたら声掛けてください」って。覚えてるでしょ?

でもね、幸か不幸か今日まであなたに会っていないわね。仕事を通さないと会えないなんて、私とあなたは縁が無かったのかもしれない。…違うのかもしれないけれど、そうやって自分を納得させるしかないじゃない?だって、私を誘ってくれなかったって事は、そういう事なんだから。

少しだけ私に夢を見せてくれてありがとう。可愛いって言ってくれて、とても嬉しかった。もう二度と会えないのかもしれないけど、あなたの事、忘れないわ。

さようなら。
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ねえどうして?私はオバサンなのに。

君みたいな若い子が、夫も子もある私なんかを、なんでそんなに熱いまなざしを向けてくれるのかしら…。私は、あなたのその熱いまなざしが、何も言われてないのに、今にも道を踏み外しそうで怖かったんだからね?

たまたま、だったのかしらね。私の見た目が、君の好みだったのかも。そうでなければ、私みたいなオバサンが、君に愛してもらえるはずがないもの。私は一生懸命、君の気持ちに気付かないフリをしていたけれど。みんなにバレバレだったでしょう?だけど君は、そんな事もお構いなしに、私の事をじっと見つめてくれていたのね。

たくさんの事が重なって。女性としては生きられなくなって。それでも幸せだって思ってたのに。君が変な夢を見せてくれるから、少し期待して迷ってしまったじゃないの。あんまりオバサンをからかうものじゃないわよ。

こんな大きな倉庫で。最初こそ一緒の事をやっていたけれど。やっぱり男の子だからかな。君はその内チェックする側に回っていて、私が行けば必ず君と顔を合わせるようになったね。君はいつも恥ずかしそうにしていて。その初々しさがとても可愛かったわ。誤解を恐れずに言うなら、食べちゃいたいぐらいに。

だけどやっぱり若気の至りなのかしら。そして君はそれ程経験が無かったのかしらね。とある飲み会で、私が一緒の席に座った時に、みんなが君と二人きりにしてくれて。余計なお世話でもあったんだけれど、私は君に告白されちゃうかな?ってドキドキしてたの。

君は凄く緊張しているみたいで。こんなこと言ったら本当にオバサンになっちゃうけど、若いって良いわね(笑)凄く素敵な横顔に見えた。

君はしばらく、私の隣で。当たり障りの無い会話をして。君といつも一緒にいるお友達もいなくて。何か言いたそうだったけど。私の環境や、家庭の事を考えてくれたのかな。それとも私みたいな家族のあるオバサンと間違える勇気が無かったのかしら。その友達がいない事を理由に、逃げたのよね。君を責めるつもりは無いの。私も道を踏み外さずに済んだんだから、感謝してるぐらいだわ。でも、ちょっと残念だったかな。

それから君は来なくなってしまって。バツが悪かったのかしらね。それとも酔っぱらい過ぎたお友達に付き合ったのかな?そのまま無断で仕事を辞めてしまったようだった。

私の人生に潤いとか小さな夢を見せてくれてありがとうね。君の事、忘れないわ。元気でね。
私は、遠くから見てる事しか出来なかった。

もちろん話した事もあるけど。好きだって伝えられなかったし、友達から遠回りであなたがなんて言われたら嬉しいか…なんて聴いてもらったりもした。

もしかしたらあなたは気付いてたかもね。私があなたを好きだって事。

だけど私はあなたが誰を見ているか、あなたを見ていたらわかってしまったし、何より私には勇気が無かった。

頭も良くて、凄く頑張って部活もやってるの知ってたし、話せば面白いし、あなたは凄く魅力的だった。

比べてしまえば私はあまり目立たない生徒の一人だったから、あなたもそういう風にしか私を見ていなかったんだろうなあって思ってたよ。

ずっと目で追っていて。たまに話してくれる日は嬉しくて。きっと私はこのまま卒業してしまうんだろうなあって思ってたら、その通りになっちゃった。

せっかく、あなたがからかっていた私の友達があなたの事聴いてくれたのにな。私って意気地なし。

あなたと何一つ共有する事も無かったし、私なんかよりもっと可愛かったり、頭が良かったり、綺麗だったりする女の子たちがあなたを取り巻いていたから、私なんかの出番は無かったと思うし、その考えは間違って無かったと思うんだ。

でもね、今思い返してみると、あなたに伝えれば良かったなって思うの。風の噂で聴いたんだけど、あなたは一番好きな人に、想いを伝えたんでしょう?凄いなって思ったよ。私の好きなあなたは、変な言い方だけど、本当に凄い人だったんだなあって誇りに思うの。

あなたはとてもたくさんの人たちと交流があったから、私もその中に入っても良かったかなとも思ってるんだよ。あなたの為に作ったバレンタインチョコも渡せなかったし。本当に意気地なしだよね。

あなたが私をどう思っていたのか、確かめる術はないけれど。いつか一度聴いてみたいな。もしかしたら、何も感じていなくて、ただのクラスメイトとしてしか見て無かったのかもしれないけれど。それでも、あなたの口から聞いてみたい。

あなたが今どこで何をして、誰といるのかもわからないけれど。私にとっても、もう思い出になってしまっているけど。でもね、あの時にあなたの事を好きだったのは確かだから、確かめたいって気持ちは、仕方無いと思うんだ。

私はね、頭が良いとか、部活で頑張っているとか、面白いとかよりも、あなたの笑顔が好きだった。

その笑った顔が、色んな事から救ってくれる気がしたんだ。

ありがと。
何もかもを捨て去って。周りには何も無くなった。

断舎利と言うにはあまりにもゼロに等しい現在の境遇に、身軽さを感じていた。

実は私は自殺しようとしていたのだ。

けれども自殺をしようと思い立った時に、自分の人間関係や、持ち物など何かこの世に残しておくことで誰かの迷惑になってしまうのでは無いかと、全てにサヨナラを告げる事にしたのだ。

必要なものや未練があるものが結構あるのだと思ったものだが、決断してみると私には私以外に必要なものなど無くて、意外にあっさりと全てを捨て去る事が出来た。

しかしながらここでひとつの問題が生じてしまった。

スッキリしてしまったのだ。

色々な事に思い悩んで、読んで字の如く自らを殺して全て終わりにしようとまで考えた気持ちはどこへやら。どうでも良いなあと言う気持ちが心の中に満たされていた。

仕事も止めて人間関係の全てに別れを告げて、家も無いし金も寄付してしまった。服も今着ている物だけ。何の特徴も無いカジュアルな服装。

特に借金があるわけでもないし、このままどこへでも行ける。こんなにも身軽な事が、自由な自分が簡単に手に入るものなのだと自分で驚いてしまった。

捨てる事で生まれ変わったと言えば語弊がある。私は私自身でしかないし、この世で生きて行くのが辛くて辛くて耐えられなくて自殺を選んだのも私。けど今の全てがどうでも良いと感じている自分も私自身なのだ。

他人の何かを邪魔しなければ、今私は本当の自由を手に入れたのだ。

もちろん生きて行く事を選んだら今まで以上に大変な思いをするかもしれない。

だけどリセットして何も無くなってしまった今、一から始める事に何かワクワク感さえ感じてしまっている。一体どうした事なのだろうか。

実はもう疑問に思う気持ちさえ薄れて、なるようにしかならないとすら思えて来ている。それはとても清々しく、心地良い。別にこのまま何もせず、野垂れ死んでしまっても構わない。それほどに今、自分はとても気持ち良いのだ。こんな気持ちになれたのは生まれて初めてなのかもしれない。

いつまで続くかわからないが、この余生を十分に楽しんで死に向かおうと思う。

神様が最後にくれたプレゼントなのかもしれない。

そう思ったら自然と鼻歌交じりに歩き出していた。

どこへ行こうかなんて事も、何をしようかなんて事も考えない。

ただただ、からっぽの清々しい心。

自分の欲望が無いって、こんなにも気楽なものなんだなあと微笑んだ。
手作りチョコレートなんて言えば聞こえは良いのだけれど、カカオマスで一から作る人はいないだろう。溶かして固めてアレンジを加えてラッピングして完成とするだけだ。

友達が私にお願いをして来た。だったら私もお願いしちゃおうかな。夜を待って、あの人の家のチャイムを鳴らした。

あの人のお母さんが出て来た。後からあの人が出て来る。私は後ろに隠れた友達の代わりに、あの人の幼なじみに、私の友達がチョコをあげたいからって、あの人に伝える。家の裏のあの人の幼なじみの家に向かい、私の友達がチョコを渡す。

「ごめんね。こんなこと頼んじゃって。君にもあげようか?」

「良いよ、気を使わなくてw」

あーあ。欲しいって言ったらあげたのにな。

私の友達が恥ずかしそうにあの人の幼なじみにチョコをあげて戻ってくる。あの人は家に帰る。私は私の友達と帰る事にした。

「あげられなかったね。チョコ。」

「…うん。」

本当は、ずっと前から。あの人が好きなんだけど。

友達に協力する事は出来ても、ひねくれた私は素直にあの人にチョコを渡す事は出来なかった。





私はちょっと粋がってしまって。不良なんて言葉で当てはめられるような立ち位置になってしまった。

私はまだあの人の事が好きだったから、何かとあの人の顔を見ると嬉しかったのに、からかう事しか出来なかった。ひねくれてる上に、幼いだなんて、ダメね私。

そうこうしている内に、不良と呼ばれる人たちにも疎まれてしまって。私は孤立してしまった。自殺する様な人たちみたいなひどい事をされた覚えは無いけど、他人から見たら私はいじめられていたのかもしれない。



そんな割とつまらない時間を過ごして。無事に卒業する事になった。

不良と呼ばれた人たちの何人かは脱落する事になってしまったけど、私は勉強する時間に不自由は無かったから。



卒業した日の放課後。あの人が笑顔で卒業アルバムを持ってやって来た。

「ひとこと書いてよw」

昔から変わらない、少し成長したあの人の笑顔。君だけは、私に変わる事無く接してくれたね。君のそういう所が好きなの。あの時、チョコ渡せば良かったな。

『からかってごめんね。』

そう書いて渡すと、

「ありがとう!」

笑顔で受け取ってくれた。

きっと君と会うのがこれで最後になってしまうんだろうけど。

嬉しかった。楽しかったよ。こちらこそありがとう。

そう思いながらも、笑顔で見送る事しか出来なかった。

ごめんね。さよなら。

今でも、後悔してるよ。
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