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家のベッドで寝ていたはずなのに、
目を覚ますと明らかに外にいた。

起き上がると、目の前に見たことのない他人がいる。
よく見ると死んでいた。でも死体は語りだした。

「やあやあ。よく来たね。」

来たねも何も、寝ていただけなのだが。

「何をそんなに怖がっているんだい?」

怖がっているのだろうか。特に何にも感じていない。
日常からあまりにもかけ離れすぎて、実感がないから。

「人に愛されないと自分を保てないのかい?」

誰のことを言っているんだ?
一人の時間を大事に感じる自分に、
そのセリフは余りにも的外れだ。

なんてことを考えていると、後ろに気配を感じて振り返った。
女性が眠っている。そうか、彼女に話しかけていたのか。
でも彼女は眠っているのだから、聴くことは出来ないのに。

何やら女性に対して死体は語り続けていたが、
飽きたので聴く耳も持たずに辺りを歩いてみることにした。

よく見ると道端には死体が累々と横たわっていたり佇んでいたり。
それぞれが何かに話しかけているようだが、相手がいない。

「憎しみを一体誰に向けているんだい?」

「身体の繋がりでなければ実感を持てないのかい?」

「求めるものすら、あなたにはわからないのかい?」

「自分に言い聞かせても、考えがまとまらないんだね。」

「結局はただ、ありのままに欲望を満たすだけの人生。」

「中身がないから、浮かれたり蔑んだり出来る。」

「自分という存在だけしか考えられない。」

「とても哀れだね。それをあなた自身だけが気付かないだけで。」

そこらじゅうで死体の独り言が聞こえる。
それはとても耳障りで、心地良い。

しばらくすると扉が現れた。かと言って扉だけで家があるわけでもなく。
この扉の向こうに何があるのだろうか。興味本位のままに、
その扉を開けると、向こう側は真っ暗だった。

覗き込んで、一歩、踏み入れる。
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耕助
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1987/01/14
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フリーター
趣味:
音楽鑑賞
自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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