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「こんにちはぁ。」

何やらせっせと納屋の掃除をしているおじさんに声をかける。
麦わら帽子が似合っているなぁ。

「やぁ。どうしたんだい?」

「いえ、ちょっと近くに立ち寄ったもので。」

「ちょっと待っててね。」

首に巻いたタオルで汗を拭きながら
おじさんは家の奥へと引っ込んでいった。

ほどなく麦茶を持ってきたおじさんに、
納屋の奥の縁側へと通された。

「もう秋だなぁ。」

実はおじさんとは直接の交友があるわけではなく。
この家に以前住んでいたおばあちゃんと
よくお話をしていたものだった。

おじさんと葬儀に参列した時に
初めて顔を合わせたのは春のこと。

特にお互い話すこともないのだけれど、
なんとはなしに近くを通る時になって覗いていく。

おじさんも嫌な顔ひとつせず出迎えてくれる。
小一時間の短い時だけれど、縁側でそれとなく
過ごすのが通例となっている。

一言二言交わすと、後は景色を眺めるだけで終始無言。
麦茶を飲み干して、しばらくすればおいとますることになる。

理由なんて、どこにもない。
すれ違った先に得た、ちょっとした人情。

「ごちそうさまでした。おいしかったです。」

「またいつでもおいで。」

会釈しておじさんの家を後にした。
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1987/01/14
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自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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