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もう何日も山の中を歩いている。
1m先も見えない霧の中を。

たまに疲れてその場に寝てしまうこともあったが、
風邪もひかずこうして無事に生きている。

しかし、これだけ下ればもうふもとについてもいいはずなのだが・・・。
何か異次元の世界にでもハマってしまったのだろうか、
という馬鹿な考えまで浮かんでくる始末。

しかも、友人の幻を見たり、とっくに亡くなった祖父母を見たりと
妄想も満載。我ながらかなり極限状態になっていると思う。

それとも、下りているつもりでも、登ったりしてしまっているのだろうか。
そうだとしたらお手上げだ。この霧が晴れるのを待つしかない。

幸い、食料はかなり持ってきていたので、餓死することは当分ないだろう。
少しづつ食べていけば、二ヶ月は大丈夫だと思う。
しかしこの霧の中にそんなにいたくない。何より帰りたい。

無常にもいつまでたっても霧は晴れない。
こんなことってあるのだろうか?不思議でならない。
そのうち、三途の川でも見えてくるんじゃないか・・・。

などと思っていると、何やら本当に川が見えてきた。

おいおい・・・俺死んでるのか?

目の前の川岸に、舟が停まっていて、船乗りが話しかけてきた。

「乗ってくかい?六文だよ。」

地獄への橋渡しか?勘弁してくれよ。

「乗る気がないならとっとと帰んな。」

「でも、帰りたくても帰れないんです。」

「なんだお前、道に迷っているのか。こんなところに来てはダメだ。
送り返してやるから、目をつぶれ。」

言われるがままに目をつぶると、何かの光に包まれた。
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誕生日:
1987/01/14
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自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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