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夜通し熱帯夜の中で、僕は誰かを待っていた。
黒猫が僕を見て笑う。僕は声をかける。

「やぁ黒猫くん。猫の世界はどうだい?」

「同じ世界に住んでいるのだから、人間と変わらないよ。」

いちいちもっともな事を言う。

「君は猫でいることを幸せに思うかい?」

「どうだろうねぇ。生まれた時から猫だから。」

「当たり前だね。」

2人・・・いや1人と1匹で、頭を振って笑う。

「いやはや、黒猫殿に一本取られたな。」

「そもそも、猫と話をする君がおかしいよ。」

「僕?僕はもともとおかしいから、何の問題もない。」

顔を見合わせてニタァっと、1人と1匹が気味の悪い笑顔を浮かべた。

「ところで君は尻尾が2本あるね」

「君は1本もないね」

「僕は人間だからね。」

「吾輩は猫である」

キョトン、と1杯喰わされた僕が感心していると、

「猫又だよ。知ってるだろ?そもそも、
君の目の前にいる黒猫が本当に
生きている保証なんてないじゃないか」

なるほど、と思った。

「死んでいる確証もなかったけどね。」

「死んでなる奴もいれば、生きてなる奴もいる。我輩は前者さ。」

「その一人称止めないかいw」

「どうして」

「まぁいいや。機会があったら、また会おう。」

黒猫は鼻で僕を笑うと、手を振る僕を見送った。
この世に別れを告げたモノ同士。
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耕助
年齢:
38
性別:
男性
誕生日:
1987/01/14
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フリーター
趣味:
音楽鑑賞
自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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