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 いつものように滴り落ちる点滴を眺めて、私はぼーっとしていた。

もう何年もこの場所にいる。毎日のようにお見舞いに来てくれる彼と、日常の話をして、笑い、優しさに触れる。私はこの場所にいるのだから病院の話しか出来ないのだけれど、彼は嫌な顔ひとつせず聞いてくれる。

私はもういっそのこと殺してくれればいいのにと思っているけれど、彼が私と同じ状態になったら、私は死んで欲しくないと思う。だから私は彼のために生きている。

多分私は良くも悪くもならず、それでもこの場所で、彼が見舞いに来るのを待ち続けているのだろう。寿命が来て天寿を全うするまで。そんな予感も医師や看護士の態度を見れば、あながち間違いではないだろう。

この場所にいる分には、私は特に普通の人とは変わらない。だから笑顔で彼を迎える。私のために来てくれる彼を。

本当は私の事など忘れて、新しい人を見つけて下さいと言わなければならないのかもしれないが、私は彼を繋ぎ止めて置きたいのだ。その気持ちは偽れない。

だから私は、この何の変哲もない日常の中で、唯一変化を与えてくれる彼が来るのを、とびっきりの笑顔が出来るように準備しながら、待ち続ける。それが私が今生きているということだから。

あと一時間もすれば彼は見舞いに来てくれるだろう。もしかしたら仕事で忙しくて遅れるかもしれない。でもたった1分でもいい。彼が来てくれて、私の笑顔を見せることが出来るなら。
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1987/01/14
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自己紹介:
夢人に付き合わされた哀れな若輩者
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