完全フィクション
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「ぴったりとパズルのはまるような相手っていないものね。」
彼女は俺の後ろから声をかけてきた。
「やぁ。遅かったじゃないか。」
「そんなことはどうでもいいの。ロックを一杯いただけるかしら?」
俺の家に彼女を招くと、彼女は二時間遅れでやってきた。
彼女は特に悪びれた様子もなく、謝りもせず、俺の注いだ
バーボンのロックを一息に飲み干した。
「その割には俺の元によく来るね。」
彼女を少しからかうつもりで言ってみた。
「なんとなくよ。話をよく聴いてくれるし。」
「都合のいい男って所かな?」
「私だってあなたが・・・・・!」
途中で押し黙る。俺は彼女が好きだ。一度付き合ったこともある。
だけど彼女と俺の生きるスタンスは、一緒に生きていくには
すれ違いすぎたのだ。彼女の気持ちを半ば知りつつも、とぼける。
「俺がなんだって?」
「しらばっくれる所は変わってないのね。」
何年経っても、彼女は俺の元を訪れるのだろうか。
きっと理想の相手、とやらが見つかったら
こんなあやふやな関係も終わるのかもしれない。
カラン、と俺のグラスの氷が溶けて音を立てる。
「ロマンチックの欠片もないわね。」
彼女が自嘲気味に中空に微笑む。
「現実なんてそんなもんさ。夢を見ているんだよ。俺も君も。」
いつまでも決まった相手のいない二人が、
お互いの傷を舐めあうかのように、笑い合った。
まだ深夜にも辿り着かない、夜更けの晩に。
彼女は俺の後ろから声をかけてきた。
「やぁ。遅かったじゃないか。」
「そんなことはどうでもいいの。ロックを一杯いただけるかしら?」
俺の家に彼女を招くと、彼女は二時間遅れでやってきた。
彼女は特に悪びれた様子もなく、謝りもせず、俺の注いだ
バーボンのロックを一息に飲み干した。
「その割には俺の元によく来るね。」
彼女を少しからかうつもりで言ってみた。
「なんとなくよ。話をよく聴いてくれるし。」
「都合のいい男って所かな?」
「私だってあなたが・・・・・!」
途中で押し黙る。俺は彼女が好きだ。一度付き合ったこともある。
だけど彼女と俺の生きるスタンスは、一緒に生きていくには
すれ違いすぎたのだ。彼女の気持ちを半ば知りつつも、とぼける。
「俺がなんだって?」
「しらばっくれる所は変わってないのね。」
何年経っても、彼女は俺の元を訪れるのだろうか。
きっと理想の相手、とやらが見つかったら
こんなあやふやな関係も終わるのかもしれない。
カラン、と俺のグラスの氷が溶けて音を立てる。
「ロマンチックの欠片もないわね。」
彼女が自嘲気味に中空に微笑む。
「現実なんてそんなもんさ。夢を見ているんだよ。俺も君も。」
いつまでも決まった相手のいない二人が、
お互いの傷を舐めあうかのように、笑い合った。
まだ深夜にも辿り着かない、夜更けの晩に。
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「君には恋愛が向いてないんだよ。」
おかしなことを言う。何人もの異性とまぐわい、楽しんできた。
それなのに私に恋愛が向いてないなんて自分では思わない。
「だったらあなたは向いているの?」
「向いてないよ。」
彼がどうしてこんな話をしているのかわからない。
何より私と彼は恋仲ではないし、こんなこと言われる筋合いもない。
「君は独りでいることが好きだよね」
「あなただって独りの時間を大切にしてるじゃない。」
「そうだね。独りの時間はとても大事だ。」
「だったらあなたはなんでそんな指摘をするの?」
「君と近づきたいからだよ。君は僕に興味がないみたいだけれど。」
私は別に彼に興味がないわけじゃない。
今の時点で彼と恋愛をしようとは思ってないけれど。
「あなたの望む関係と、私の望む関係は違うわ。」
「知っているよ。だからもがいているんじゃないか。
君がもしも僕を愛してくれたなら、僕はどんなに嬉しいだろう。
でも、君に嫌われない作業で精一杯さ。」
「そんなことを言われても・・・・・・。」
私は俯いて、なんと言っていいかわからないので押し黙った。
「愛の言葉すら封じられた僕にはなす術がないんだ。」
彼は、寂しそうな、うつろな眼で、私を見て笑った、気がした。
おかしなことを言う。何人もの異性とまぐわい、楽しんできた。
それなのに私に恋愛が向いてないなんて自分では思わない。
「だったらあなたは向いているの?」
「向いてないよ。」
彼がどうしてこんな話をしているのかわからない。
何より私と彼は恋仲ではないし、こんなこと言われる筋合いもない。
「君は独りでいることが好きだよね」
「あなただって独りの時間を大切にしてるじゃない。」
「そうだね。独りの時間はとても大事だ。」
「だったらあなたはなんでそんな指摘をするの?」
「君と近づきたいからだよ。君は僕に興味がないみたいだけれど。」
私は別に彼に興味がないわけじゃない。
今の時点で彼と恋愛をしようとは思ってないけれど。
「あなたの望む関係と、私の望む関係は違うわ。」
「知っているよ。だからもがいているんじゃないか。
君がもしも僕を愛してくれたなら、僕はどんなに嬉しいだろう。
でも、君に嫌われない作業で精一杯さ。」
「そんなことを言われても・・・・・・。」
私は俯いて、なんと言っていいかわからないので押し黙った。
「愛の言葉すら封じられた僕にはなす術がないんだ。」
彼は、寂しそうな、うつろな眼で、私を見て笑った、気がした。
自分の中の溜まっているいろいろなものをリセットして
なんてことは人生で何回繰り返したかわからない。
意志が弱く優柔不断でそれでいて暴走するからに他ならない。
何もかも経験をリセットして色々とやり直せたらなぁと思う。
だけれども経験そのものが大事なものと感じているから
それをフォーマットするのも無理な話ではある。
リフレッシュしようにも精神面というのは
そう簡単に言うことを聞いてくれるものでもなく。
色々と頭に抱えていてそれをなかったことにするのは至難の業だ。
自分をごまかすことなんて、絶対に出来ないからね。
なんてことは人生で何回繰り返したかわからない。
意志が弱く優柔不断でそれでいて暴走するからに他ならない。
何もかも経験をリセットして色々とやり直せたらなぁと思う。
だけれども経験そのものが大事なものと感じているから
それをフォーマットするのも無理な話ではある。
リフレッシュしようにも精神面というのは
そう簡単に言うことを聞いてくれるものでもなく。
色々と頭に抱えていてそれをなかったことにするのは至難の業だ。
自分をごまかすことなんて、絶対に出来ないからね。
いつぞやの会場に集まった『自称成功者』。
彼らがその会場で感じた苦渋を飲んだ後、
どのように人生をまっとうしたのだろうか。
プライドを持って生き抜いた彼らには、
本当の幸せが訪れることはなかった。
それどころか、慕われ、尊敬されつつも
最後まで孤独なままで天に召された。
以前よりももっと大きく、たくさんの冨や
名誉、権力、財力を手に入れることが出来た。
しかしながら彼らの心の中に満足は訪れただろうか?
残念ながら、先に述べた本当の幸せも、満足もなく。
なぜならば彼らはただ自分のエゴを積み重ねて、
なんら本質は変わることなく人生を終えたからだ。
それは、何も悪いことではない。だが、彼らの心に
最後に残ったものは、言いようのない『寂しさ』でしかなかった。
結局は何も変わらない。自分の本当に直すべき非は
なんら受け入れることはなかった。その先に何もないとしても。
求めるものは、つかの間のごまかしでしかないことに、
誰一人として気付かない。いや、認めたくなかったのだ。
どれほど強がっても、自分を奮い立たせて心に鎧を
着せたとしても、自分の心だけはごまかせない。
残るものは、何もなかった。
彼らがその会場で感じた苦渋を飲んだ後、
どのように人生をまっとうしたのだろうか。
プライドを持って生き抜いた彼らには、
本当の幸せが訪れることはなかった。
それどころか、慕われ、尊敬されつつも
最後まで孤独なままで天に召された。
以前よりももっと大きく、たくさんの冨や
名誉、権力、財力を手に入れることが出来た。
しかしながら彼らの心の中に満足は訪れただろうか?
残念ながら、先に述べた本当の幸せも、満足もなく。
なぜならば彼らはただ自分のエゴを積み重ねて、
なんら本質は変わることなく人生を終えたからだ。
それは、何も悪いことではない。だが、彼らの心に
最後に残ったものは、言いようのない『寂しさ』でしかなかった。
結局は何も変わらない。自分の本当に直すべき非は
なんら受け入れることはなかった。その先に何もないとしても。
求めるものは、つかの間のごまかしでしかないことに、
誰一人として気付かない。いや、認めたくなかったのだ。
どれほど強がっても、自分を奮い立たせて心に鎧を
着せたとしても、自分の心だけはごまかせない。
残るものは、何もなかった。
泥水の上に張り倒されて、頭を彼女の足で踏みつけられる。
「あなたには泥水をすする姿がお似合いよ。」
特に何の反論をする気もなければ反抗する気にもなれない。
確かに俺には醜く薄汚れているのがお似合いだから。
彼女は嘲笑混じりに俺を見下し、言葉を続けた。
「あなたは醜いままでいるの。それがあなたの生き様だから。」
地べたを這いずり回り、醜くあがいてこそ俺の姿。
そんなことは自分自身が心底痛感している。
ここで、彼女がひどく冷たく、澱んだ雰囲気を醸し出した。
「あなたは暗闇の中にいてこそ鈍く黒く光り輝くの。
全てを隠し通して。触れるだけで口を開くような鋭い刃を。
そして触れるだけで鈍痛と共に砕け散るような拳を。」
『全てはその時が来るまで。』
俺と彼女の声が重なると、彼女は薄ら笑いを浮かべながら
泥水まみれの俺を置いて、振り返りもせず去っていった。
今ここにある全てが、俺と言う人間そのものなのだ。
「あなたには泥水をすする姿がお似合いよ。」
特に何の反論をする気もなければ反抗する気にもなれない。
確かに俺には醜く薄汚れているのがお似合いだから。
彼女は嘲笑混じりに俺を見下し、言葉を続けた。
「あなたは醜いままでいるの。それがあなたの生き様だから。」
地べたを這いずり回り、醜くあがいてこそ俺の姿。
そんなことは自分自身が心底痛感している。
ここで、彼女がひどく冷たく、澱んだ雰囲気を醸し出した。
「あなたは暗闇の中にいてこそ鈍く黒く光り輝くの。
全てを隠し通して。触れるだけで口を開くような鋭い刃を。
そして触れるだけで鈍痛と共に砕け散るような拳を。」
『全てはその時が来るまで。』
俺と彼女の声が重なると、彼女は薄ら笑いを浮かべながら
泥水まみれの俺を置いて、振り返りもせず去っていった。
今ここにある全てが、俺と言う人間そのものなのだ。