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「名前は朱城礼。男性。年齢は30前後。性格はわがまま。はっきりものを言う。めったに人をほめない。飽きやすい。家族関係、過去については曖昧な点が多い。
なぜかモテる。同時に複数の彼女がいるときもある。
彼女がどんどん貢いでくるので働く必要がない。
ただ職業はラノベ作家である。まるで売れないが本人はあまり気にしていない。
俺は賃貸マンションに一人で住んでいる。黒いクラウンを所有。クルマだけは同じ車種を乗り継いでいる。
永遠に飽きない彼女を求めて日々を過ごしている。」

「…良く調べたな。」

「まあねー♪当然でしょ?」

「何が当然だ。」

「わかってるくせにー♪」

この女のこんな慣れ慣れしい所が気に喰わない、気に喰わない…が、だんだんとその空気に慣れてしまって来ているのも事実。

「口の減らないやつだ。いつものやつを早く寄越せ。」

「はいはい。わかりましたよご主人様。」

「メイドじゃあるまいし…。」

ため息を吐きながらもらったノートは、交換日記…では無い。

「今回は結構熟考したのよ~。だから大事に読んでね♪」

「さあな。面白かったら最後まで読んでやる。」

とあるサイトで読んだ千文字小説に、初めて心が揺さぶられた。是が非でも作者に会ってみたいと思い、ダメ元でメールしてみた。意外にあっさりとオフで会う事を承諾してくれた。相手は女だと言う。不用心にも程があるが、会いたかった俺にはありがたかった。それが会ってみたらどうだ。あの文章からは想像もつかない、いやに馴れ馴れしい女が現れたのだ。しかしながら作品が読みたかった。彼女の作品が。二度と会えないかもしれない彼女と、もっと作品を読ませてもらえる手段を、限られた時間で考えなければならなかった。それがこれだ。

「アンタが交換小説やろうだなんて言い出した時は本当に興味深かったわ。」

彼女は二つ返事で承諾してくれた。それから何か用でも無い限り、こうして定期的に会って、ノートと言うアナログな手段で、俺の為だけの彼女の作品を独占していると言うワケだ。形で言えば彼女も彼女の為だけの俺の作品を独占していると言う事になるワケだが。

普段の彼女にはおれは興味は無い。作品に興味がある。しかしながらそれがどういう意味を表しているのか、自分でも本当はわかっていたのかもしれない。

「まだ続けるの?コレ。」

「当然だ。俺はオマエの作品だけは本当に好きなんだ。」

「作品だけは…か。まだ努力が必要かな~。やれやれ。」
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「何だろうね?」

「なんだろうね?」

「最近よく人が死んでいるような気がするんだけど」

「とどめを刺されちゃったかな、ご冥福をお祈りします。」

「何にさ。」

「ただちに危険の無いアレが…。」

「ただちに危険があったわけね。」

「もうさ、そういうのって、国民全体が迷惑を被るのって、本人の人生が破たんしようが、その人間の責任として償わせるべきだと思うんだよね。」

「金持ってるからとか利害の一致とか何の解決にもなってないしね。」

「未来永劫、長生きさせて償わせるべきだ。自由など無い。」

「殺せば、死ねば償えるのかと言えばそうじゃない。」

「甘っちょろい対応してるから、いつまでも経っても無能な指導者は繰り返すよ、失敗を。」

「失敗を起こしちゃいけない事でも平気で起こすからね。」

「死よりも辛い苦痛を与えるべきだね。」

「果たして関連付けて考えていないだけでいったいどれだけの人間が被害を被っているんだろうね。」

「みんなで現実逃避する事が解決にはならないのにね。」

「風評被害って実際起きて無い事に対する糾弾なんだけど、実際異常が起きてる人間はほったらかしですよ。」

「見殺しですよ。」

「言うなれば自分の利益の為なら他人を殺しても良いと、そういう事ですか。」

「そうは思って無いんだろうけど、結果的にはそうなるよね。」

「国を挙げての目を背けての現実逃避かー。」

「おめでてえな。」

「東電幹部も政治家も、炉に放り込んどけよ。働かせようぜ。民主党も。」

「天災は地震津波までで、あとは人災だからね。」

「おとなしい人たちだよね。」

「ブチ切れて殺されてもおかしくないのにね。」

「どうせ何があってもみんな死んじゃうんだけどね。」

「生きてる限りはそうだよね。」

「道連れにするつもりか?いい加減にしろよ。」

「安全って言えるならみんな炉の中で生活すればいいじゃない。」

「やる事はたくさんあるからね。国の為人の為、役に立つよ。即。」

「後でどうなっても知らないけどね。」

「諸手を上げて犠牲になってる善人がいる中で、他人を犠牲にしてなおかつ生き残れない奴もいる。」

「迷惑な話だなあ。」

「人間が滅びる時は間違い無く自滅ですね。」

「超能力者じゃなくてもわかるよね。」

「聖書って凄いなあ。」

「抽象的ではあるけど、どう見ても現代のアレでしょ。」

「迎えちゃうの?終末?」

「どうする?」

「何も出来ないけどね。」

「今更手遅れだけどね。」

「せめて叫ぼうか。」

『嫌あぁあー!!』
「ふうむ…。」

日記を読み返していた。ちょっと疑問に思った。

「私が、そう誘導した事になるのかな…でもそれって、素直な気持ちじゃないような気がする。」





君を好きなった。ちょっと気持ち悪いって人もいるかもしれないけど、君の事を少しでも知りたくて、学びたくて、君の事で気付いたことを何でも書くことにした。



『君観察日記』。



最初は友達と話してる時の内容とか、好きな漫画、食べ物、趣味、女の子のタイプとか色々聴けて面白かった。君の授業態度とか、運動してる時の君とか、ずっと見てて、その場で書いたり、後で思い出して書いたりしていた。1ヶ月もすると、君と目が合うようになった。君が私を見ているのがわかった。最初は偶然だと思ったけど、何度も目が合うたびに、回数も時間も増えて行ったような気がする。

今思えば、それは私が見ていたからなのかもしれない。だけど君は私を気にするようになり、授業中とか、友達と話している時、下校中なんかでも君が私を見ていることが分かった。

そのうち君は私と目が合うと、照れ臭そうな顔で笑うようになった。それは私にとってとっても嬉しかったし、何よりも『私を見て』そんな表情をしてくれることが恥ずかしかったけど凄く嬉しかった。

ある日、君に呼び出されて、期待に胸を膨らませて人気の無い場所に呼び出されて、真面目な顔をした君に見惚れていると、告白された。私は二つ返事でOKした。私の方が多分先に好きだったんだから当然だ。浮かれた気持ちで、君観察日記、付けていたかいがあったなあとと見返していた時にムクムクと湧き上がった、言いようの無い不安と言うかこだわりと言うか、良くわからない気持ち。

君と付き合えて、お互いに好きになったのだから、それで良いと思う。良いと思うのだが…。なんか誘惑したみたいでもどかしい気持ちになっている。

「ん~…。なんだろうこれ。嬉しいはずなのに。」

大好きな君をだました気がしてしまう。謝った方が良いのかな。でも本人はそんな事気にするなって言うだろうな。それはわかっているんだけど、どうにも気になって仕方が無い。明日君と登校する予定だから、お弁当食べる時でもいいや。どうせお弁当作ってあげるつもりだから。とにかく二人っきりの時に洗いざらい話して意見を聞いてみよう。

「私ってこんなにめんどくさい女だったのかしら…。」

本気で悩みながらも苦笑しつつ、眠れぬ夜を迎えるしか今は術が無かった。

あ~あ…。
「暑いねえ。」

「暑いねえ。」

「ジュース飲む?」

「サイダーがいいなあ。」

「あるかな?」

「似たやつでも良いよ。」

隠れる場所の無いぐらい暑い日に、公園のベンチで休む事にしたけれど、休んでいるだけで体力を失いそうだった彼女との時間の為に、買い物を提案した。

さっき来た道に確か自動販売機があったはずだ。…あった。

「サイダー、サイダー、っと…あった。」

小銭を投入して一本。…そこで下心を沸かせた自分を、誰が責められよう。密かでささやかな企みを胸に、購入したサイダーを持って、彼女の元に向かった。

「はい、お待たせ。」

「ありがと。汗が噴き出て来ちゃう。」

「だから水分補給だよ~。」

ゴキュ、ゴキュ。と喉を鳴らして彼女が美味しそうにサイダーを流し込んだ。それでも、彼女はそんなに炭酸が得意なわけじゃなかったらしく、一休み。

「飲まないの?」

「飲むよー。」

「はい。」

おもむろに彼女に渡されたサイダー。彼女は、何も気にしていないのだろうか。それとも…。

「ありがとう。」

彼女からサイダーを受け取る。

「私が全部飲み切れないってわかってたんでしょ?w優しいな~相変わらず。」

逃げ道まで用意してくれたと考えてしまうのは、心が汚れているからなのかな。その言葉が彼女の本心からだったとしたら、やばいよ。惚れ直しちゃう。っと…。

「そういえば、炭酸好きだけどいつも飲み切れないってぼやいてたもんね。」

思い出した。

「うん…。」

「じゃ、いただきます。」

本当は手が震えるぐらい緊張してるんだけど、出来るだけ平静を装って彼女と目が合わないように、我ながらなんだか照れくさくて煽るようにサイダーを乾いた喉へと流し込む。

「…っぷはー!たまらないねえ、この一杯!」

「あんたは酒飲みかw」

何事も無かったかのように、サイダーを飲み干した。





一日遊び回って、彼女の笑顔をたくさん楽しんで。時間が来て、ちょっと残念そうで物足りなさそうな彼女を可愛いなと思いながら、ちゃんと家まで送った。

一人になった帰り道。自ずと思い出し笑いが込み上げる。実はさっき見てしまったのだ。サイダーのペットボトル越しに見えた、彼女の顔。

上目遣いで、間接キスをしている事を、どこか彼女も気にしていることに気付いたのだ。頬を赤く染めた彼女が見えた。

「あんなに美味しいサイダーを飲んだのは、初めてだなあ…。」

心に美味しい好きな人の照れた表情に染まった桃色サイダー。あの瞬間がまた味わえると良いな。
「ねえねえ、ピンクと水玉、どっち好き?」

「何かさ、ピンクが好きなんだけど、ピンクって選ぶとちょっといやらしいイメージ。」

「じゃあ水玉?」

「自分の中では水玉ってなんかダサいイメージ。」

「ドット柄とか言って可愛いとか言われてるけどね。」

「言い方変えただけでしょ。あ、でもひらがなにするといやらしくないかも。」

「どういうこと?」

「ひらがなで、ぴんく」

「なんかバカっぽいw」

「仰る通りwでもいいなあ。ピンクよりぴんくかあ…。」

「桃色もなんかね。下心を感じます。」

「それはあなたに下心があるからだと思われます。」

「やめてください死んでしまいます。」

「死にはしないだろう羞恥心や後悔で。」

「仰る通りw」

「真似スンナ。」

雨上がりの帰り道。君と二人で。とりとめの無い会話をする。それはとても楽しくて嬉しくて。そんな時間がずっと続けば良いなあって思ってる。それを実現するには二人でずうっと留年しなきゃね。二人でずうっと…。いればいいのかな。

「なんかさあ。」

「何?」

「この時間がずうっと続けばいいね。」

「…私もそう思ってた所。」

良いのかなあ。二人でずうっと。一緒にいても。だって二人が同じ事考えてるんだから、何も問題無いよね?

一緒にいたいな。ずっと二人で。それって適わない事なのかな。難しい事なのかな。今はこんなに簡単なのに。こんなに二人で、二人ずうっと一緒に入れたらなあって、二人が思ってるのに。適わないわけないよね。だって二人が望んでるんだから。うん、大丈夫だよ。二人でいれば、きっと大丈夫。

「ずっとさ。」

「うん?」

「ずうっと二人でいようね。」

「…ね。」

死んじゃったらどうかとか、これから二人の進む方向が違ったらとか、そういう事は一切考えなかった。問題が起きたら二人で解決していけばいいんだもん。それだけのこと。二人でいる事を最優先していれば、きっとずっと、ずうっと一緒にいられるよね。

神様とかわかんないけど、何となく神様にお願いする気持ちになった。でも本当は、二人がお互いにお願いする事なのかもしれないね。だって神様がいたとしても、二人の事は神様の事じゃないんだから。自分たちの事は自分たちで決めるべきだよね。神様だってそう思うでしょ?

これからもずうっと一緒に。そればっかり頭の中で考えてた。それが一番重要で大切で。それが幸せで全てだった。湿気があるのに突き抜けるような青空と、モクモクとした白い雲が浮かぶ夏の日。
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